死にたがりのラブレター
おかゆ
第1話 死にたがりのラブレター
拝啓、私を愛してくれたあなたへ。私が愛したあなたへ。私は今日死のうと思います。
あなたと出会ったのは高校1年生の入学式。初めて話したのは4ヶ月後、9月。私が1人で困っていた時にLINEで送られてきた「大丈夫?」。私が学校を1週間休んだ時に送られてきた「早く会いたい」。疲れていた時に頭を撫でてくれたこと。泣いていた時に抱きしめてくれたこと。初めて遊んだ日のこと。手を繋いだこと。全部私の大切な思い出です。死んでも忘れません。
けれど最後までお互いに言えなかった「好き」の二文字。あなたが私を好きだって、あなたの親友が教えてくれました。そう、いつもあなたと一緒に帰ってるあの人です。あとは私が好きと言うだけだったのだと思います。
言い訳にはなるけれど、私が好きだと言わなかったこと、言えなかったことにはちゃんと理由があります。死にたいからです。なんで死にたいのか、理由を考えてみたけど思い浮かびませんでした。ただ漠然と、気がついたときには、自分は死ぬために生きているのだと、早く死ななければと、そう思っていました。あなたと話すことが、触れ合うことが、嬉しすぎて、楽しすぎて、このことを忘れていました。いえ、正確には忘れた振りをしていました。でも、ごめんなさい。やっぱり私の生きる目的は死ぬことです。あなたと遊んだ帰りにはいつも思っていました。死ななくてはならないはずなのに、思い出を、未練を残してどうするのだと。あなたをより深く悲しませるだけだと。
夜になると、いつも思い出していました。高校3年生の夏休みに、電話越しに突然あなたに言った「あなたを異性としてみていない」という言葉。少しの沈黙の後「そっか」と答えたあなたの声。送られてこなくなったLINE。落ち込んでいるあなたの顔。態度。本当は直接言わなきゃいけなかったのに、意気地無しで、泣いてしまいそうで、電話越しになってしまったこと、ここで謝らせて下さい。本当にごめんなさい。
でも、言ったことを後悔はしていません。これで良かったんだと思います。たぶん、きっと。私にはそう願うしかありません。
さて、そろそろこの手紙も終わりにします。最後になりますが、愛してくれてありがとう。そして、あなたのことを愛しています。なんて今言うのはずるいかな。
この手紙があなたに届かないことを、あなたが悲しまないことを、あなたが幸せになることを、心から願っています。さようなら。
死にたがりのラブレター おかゆ @moeeeeeee
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