第5話・か弱き女性?
私は先程のイケメン騎士様三名を席に案内した。
すると、先程の黒髪の強面様が再び立ち上がり
「先程は大変失礼した。私は第一騎士団隊長のカイル・モーガンである。無礼をお許し頂きたい」
ちょ、ちょっと……そんな立たなくても……
ほら、またみんな見てるし……
クスクスッ
ほら周りの人だって……
「隊長! もう座って! 何やってるんですか!」
そう言って巻き毛の男性が無理やり大きなその強面の男性の腕を引っ張り椅子に座らせた。
「本当にごめんね? 隊長悪気はないんだけど……ほら? ね? こんなで……」
そう言って彼はクシャっと破顔して笑った。その笑顔がとてもキュートで女の私でも可愛い! と思える程だった。
「い、いえ……大丈夫です……」
「もう、隊長、おとなしくじっとしといてください! 隊長が動くと余計迷惑になりますから!」
そう言って頬をぷぅっと膨らませて怒る姿は、本当に弟みたいで可愛らしい。男性に可愛らしいと表現するのは失礼かもだけど、本当に子犬のような笑顔が素敵な人だった。
「す、すまぬ……」
強面の男性が、体に似合わず肩を
クスッ。
はっ! 私ったらお客様に向かって…… 急ぎ謝る。
「ごめんなさい……私ったら……」
すると、今度は金髪碧眼の爽やかイケメンさんが
「いやいや、お嬢さんが悪いのではなく、うちの者がねぇ? ね?」
と、先程の赤毛の子犬似たマークさんと目配せしていた。
「お姉さん? 名前教えて貰ってもいい?」
マークさんがウルウルした子犬のような眼差しで私に懇願してきた。
「こら、マーク!」
今度は金髪碧眼のアンディさんがマークさんを叱責する。
私はそのやり取りを少し楽しく思え笑顔で答えた。
「今日からオープンしたこのカフェひだまり亭の店主サーシャです。これからもご贔屓にどうぞ」
そう笑顔で挨拶した。
社交辞令の挨拶には自分で言うのも何だが私は慣れていた。聖女時代は戦闘がない時は、政府の高官に連れられ各地を「聖女巡礼」に回らされていたからだ。
「聖女巡礼」と言えば聞こえがいいが、単純に各地を巡って、寄付金を集めるのだ。「聖女」の名前を利用したお金儲けにすぎない。そんな国の広告塔のような仕事も無理やり、やらされていた為、その時培った社交辞令の挨拶や、振る舞いは自然と出来るようになっていた。
「こんな美しい方が営むカフェなら毎日でも食べに来たいよ」
「ホントほんと。美人のお姉さまの作るサンドイッチなら何個でも食べれそう!」
そう言って巻き毛の子犬顔のマークさんと爽やかイケメンのアンディさんが、にこやかに笑った。
「ああ、今日は本当にすまなかった……」
無骨な表情を見せるカイルさんの照れた顔も中々だ。
帰り際、三人は隊のみんなへの土産にと、サンドイッチを30個も買って帰ってくれた。
そんな目の保養も終り、お客様がみなさんお帰りになったところで、私は一息付き、自分の
あ! カップが空中に浮いてたら変に思われるかしら?
私は急いで認識阻害魔法を掛け、念の為に店全体に結界を張った。
まぁこの程度の空間魔法なんて初歩の初歩だから誰でも気軽に使えるだろうけど、中には魔法が使えない人もいるから念の為用心は必要ね?
防犯用に結界を張り続けておくほうが良いかしら? 女一人だと思って変な人が入って来ても面倒だし……
まぁ下手な
バインド程度なら1秒も掛からずに発動出来るから心配は無いとは思うけど、一応何かあっても面倒だから結界魔法を掛けておいて。
あ! どうせなら、盗賊用の檻を作ってバインドと同時に発動するように改造しとこうかしら?
縫い付けられた悪党共を結界空間に閉じ込める檻を作成し、少しづつ
これで防犯対策も安全よね?
何しろ私はこの世界では、か弱き女性ですものね?
うふふふっ
──そんな物を笑いながら作るお前が一番悪党じゃわ。と何処かで声が聞こえたような気がしたことは、気にしないでおきましょう!
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