第1話 じいちゃんに怒られる。

「阿呆、何しとる!」

じいちゃんは僕を叩いた。僕はじいちゃんの代から長く続く色線屋の跡取りになるはずの父ちゃんの息子の式泉清和(しきせん せいわ)です。

ちなみにまだ7歳。よくしっかりしすぎと言われます。なぜ、じいちゃんに怒られたかというと線をカタチ作るために大切なペンを落としたからです。色泉家から代々続く人の血でできた万年筆です。その血は私たちの家のものが入った血で式泉家のものしか使えない万年筆で、それを落とすなんてやばいというか大事件です。

じいちゃんはいつも言う言葉があります。

「この万年筆から繋がった多くの人の言葉を線で表すことで伝えることの大切さを知れるのじゃ」

僕はじいちゃんの言いたいことの半分も理解が出来なかった。

だけどじいちゃんは、色線の開発者、パイオニアだから凄いと父はよく言ってるからきっとすごい人なんだってことはよくわかる。

その万年筆は血が必要で、よくじいちゃんは自分の血を専属の看護師さんに取ってもらって血を万年筆入れてる。だから、じいちゃんの書斎はいつも血の匂いが充満してる。掃除してくれる家政婦さんが綺麗にはしてくれてるんだけど、血の匂いはある。

ちなみに、色線屋に色線を依頼してくれる人はいるのかというと昔ほどではないけど、います。

顧客と呼ぶお客様がいます。

それがまた変わってる方ですごいです。


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る