獣仁志

かつらぎ未来人

序章 伝説の始まり

 どうも初めまして、私は〈獣仁志〉を生み出した神だ。おっと、さっき私が言った〈獣仁志〉と言われる者達は一体何者なのかをまず教える必要があるようだったな。〈獣仁志〉とは、この世界が始まったばかりの頃に誕生した全種族初のギルドだ。創設メンバーは合わせて五人だ。強さの順で言うと〈創神〉、〈破壊神〉、〈聖神〉、〈魔神〉、〈混沌神〉といった所だろう。まぁ、私の可愛い息子達だから全員強さや価値は同じだろう。では、〈獣仁志〉の話も粗方紹介出来た事だし…改めて私の自己紹介を…

「最初に言ったからもう良いだろ!」

あぶっ!?何でこのタイミングで作者からの鉄槌が来たのだ!?まぁ良い…では自己紹介は追い追いするとして、代わりにこの物語の簡単な紹介からしよう。一言で言うなら、この物語は皆が考えている様な真面目な物語ではありません。真面目なシーンは戦闘シーンだけです。それ以外はしょうもない事やしょうもない話ばかりだ。言ってしまうと失礼だが、これは作者の不満や鬱憤を纏めた物語に失礼な物語だ。そんな物語でも読んでくれるなら私としてはとても有り難い。ではでは、この物語の中心となる一人の息子を紹介しよう。彼を一言で言い表すとすれば…「最強」だろう。恐らく数万の多種族が彼に襲い掛かっても彼が勝利するだろう。そのくらい彼の力は強大なのだ。なので、彼を敵に回した物はすぐに死へと誘われるだろう…まぁ、彼の事は私が一番知っているが…ここで口頭で説明しても皆にはイマイチ分かり難いだろう?だから、今回は少しだけ彼を映そうと思う…いや、これは文章だけの本になるから映すと言うより絵を以って説明すると言った所だろうか?まぁ、その説明する時のナレーションも私がするんですけどぉー、作者さぁーん?ちゃんとギャラ高くしてくださいねぇ~?という訳で、〈獣仁志・創神〉が登場しまぁーす。


 ここは人里離れた鬱蒼とした木々が茂る森。小鳥達が各々鳴き、動物達が穏やかに暮らしている。そんな大きな森の一角に何処からどう見ても違和感しか感じない白塗りの大きな一軒家が建っていた。その一軒家の中から青い髪を持つ狐の獣人族【ビースト】が出て来た。着用している服はもう何十年も使っているのだろう、もうボロボロだ。彼は外に出ると、清々しく晴れた空を見上げてこう呟いた。

「今日も平和ですね…あの時と違って…ミラル、貴方とまた会える日も近くなりましたね?」

そう呟くと、彼は顔を下げ、嗚咽した。そして、暫くして彼のダイヤの様に輝く両眼から一滴、一滴と涙が零れ落ちた。可哀想に…彼は一体何故泣いているのだろうか?もしや、昨日何か嫌な事があったのだろうか?いやいや、もしかしたらもっと前に悲しい事があったのかもしれない…我が息子の苦しみを理解出来なかった私が憎い!!私が頭の中でそう試行錯誤していると、彼は泣き跡がびっしりと残った顔を上げて、空に向かってこう呟いた。

「神様…いや、我が父よ…私はいつまでこの孤独な地獄の日々を生きていかなければならないのですか?私はもう限界です…グスッ…友も、恋人も、家族も…私にとっては大切な存在でした…なのに…なのに…何故…奪うのですか?私は確かに罪深き事を犯しました…ですが、こんな仕打ちあんまりです…私はただ…この孤独から抜け出したかっただけなのに…うぅっ…ヒグッ…」

そうか、お前は「あの罪」をまだ忘れられないんだな?確かにアレは御法度だったが、仕方の無い事だったんだろう?だったらそんなに悲しむ必要は無いじゃないか?しかし、残念ながらお前が受けている「罰」は私でも解除する事は出来ない。あと数十年だからどうか耐えてくれ、そうすれば…お前の願いは成就する。私は信じているからな、お前が幸せな道へ進む事を…

「ミリア…特に貴方には散々悲惨な目に遭わせてしまいましたね…そして、もう数百年の間辛い事にも巻き込んでしまいましたね…でも、安心して下さい…私が貴方の苦しみを、貴方の悲しみを…全て終わらせてあげますから…仮にも私は…『最強』ですから!」

おっと、さっきみたいに酷く心配する必要は無くなったみたいだな?この苦しみの連鎖を止めようとお前も必死に動いていたんだな…お父さんは嬉しいよ、こんなに立派な大人に育ってくれて…今まで厳しく育てて来た甲斐があったというものだ!おや、彼の元へ強い魔力を持った飛行体が迫って来ているぞ?

(地響きが起こる)

「オマエ、ツヨイ、ハヤク、オレト、タタカウ!!」

「初めましてなのに自己紹介もしないとは…これはキツイお仕置きが必要みたいですね?」

「グヘへ、オマエ、ミノホドシラズ、オレニ、マケルミライシ…」

(〈獣仁志・創神〉、謎の魔物を一刀両断する)

「ナンダト…!?オレガ、マケル、アリエナ…」

(謎の魔物、力尽きる)

流石は私の息子だ、この程度の魔物など眼中には無いという事か…しかも、魔法も使っていないし県に魔力も籠めていない状態でさっきの魔物を討伐しているので、これは流石に普通の剣士と言う訳にもいかないだろう。

「ふぅっ…まだ剣の腕は落ちていないみたいですね?一ヶ月振りの戦闘でしたが、思っていたより私自身の攻撃速度は速かったですね…日々鍛錬していた甲斐があったというものですよ」

そう、ここで読者の皆に勘違いして欲しくない事が一つある。彼は生まれながら特別な力を持っていた訳では無い、生まれた頃は私の息子の中で一番弱かったからな?でも、今の彼が何故ここまでの力を身に付けたのか…答えは一つだ。彼は誰よりも鍛錬や勉学に励んだからだ。彼が行った日々の努力がこうして今この時に実ったと言う訳だ。彼の行動から一つ皆に覚えてもらいたい事がある。それは…

『努力すれば出来ると思うんじゃない、努力すれば必ず出来るんだ』

凄く当たり前の事だが、これは是非皆に覚えてもらいたい事なんだ。これを書いている作者も今はどん底な世界で生きている。でも、その世界から脱しようと頑張っている。まぁ、作者の話はどうでも良いが、確実に言える事はこうだ。学校で、職場で、家で…今やっている責務を頑張るんだ。そうすれば、その努力を認めてくれる人も現れる。そして、そこから次の世界へと歩む事が出来る。努力とはそう言う物なんだ、だから、これを読んでくれている皆も彼みたいにとまでは言わないが、少しずつ努力を重ねていくんだ。そうすれば、きっと幸せな未来が待っているはずだから…

「なんか凄く良い事言ってるけど、適当に尺を稼いでいるだけだよね?それ、俺の作品では御法度だって前に言わなかったっけ(怒)?」

おっと、作者に釘を打たれてしまった。ゴホン、では…私の息子の一人を紹介出来たのでこれで〈序章〉はお終いだ。では、ここから主人公とか愉快な仲間達が登場するのでどうぞお楽しみあれ!


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