第14話 継続クエストの報酬
「薬屋さんってどこ?」
始まりの街の門番を潜り、継続クエストの薬屋に向かう。凛はキョロキョロと周りを見渡す。黒華は薬屋の場所をマップで探していた。
「そう言えば、俺らって一度もポーション買ってないよな」
「だって、いる?」
「まぁね」
お互いは千夏の方に視線を移した。回復ポーションより千夏のヒールの方が金銭的に節約できるし、回復量も千夏の方が上だ。
「ここを先に行くのかな?」
「あの〜」
「ん?」
薬屋に探し回ろうとした時に後ろからハンマーを背負った大男が話しかけて来た。
「少し時間よろしいでしょうか?」
「ん?別に良いですけど。どうしたんですか?」
「薬屋さんを探している会話が聞こえまして、薬屋さんはあそこの道角を曲がり、そこから3つ後の右に道にあります」
「あー、ありがとございます」
「いえいえ、もしよければフレンド登録しませんか?」
「フレンド登録?」
フレンドとは言葉のそのままの意味で、遠くにいてもチャットで会話を出来たり、オンライン状態なのか確認できたり、そしてアイテムなどを交換する事が出来る。
「別に大丈夫ですよ」
黒華はハンマー男にフレンド申請を送った。
ハンマー男は嬉しそうに承諾して解散となった。
ハンマー男から教わった道に向かうと薬屋さんがあったのでその店の中に入った。
「いらっしゃいませ」
中にいたのはNPCのおばさんだった。そのお婆ちゃんの前に立つ。
「今日はどの御用件で参りましたか?」
「あの、手紙を渡したくて」
NPCなので、決まったセリフしか言わない。アイテムボックスから手紙を見せると顔色が変わった。
「それは?」
「お!セリフが変わった」
手紙をお婆ちゃんに渡すと、手紙の中身を取り出しそれを読み上げる。すると涙をこぼしたと同時に頭の上に[Congratulation!!quest clear!]が流れる。
「冒険者様、これをお持ちしていただきありがとうございます。これは私の孫からの手紙でね...」
何かお婆ちゃんは語り始める。
「そう、あれは3年前かしら伝説の職業を授けられる神殿があるのよ。そこを守護してる者が強くて孫は修行をしていたのよ。どうしても伝説の修行を授かり、私の為に金儲けをするって言ってくれてたわ、でも馬鹿よね。その守護をする者を倒すために強くなって行ったのにゴブリンに捕まっちゃってよ...うう、弱いんだから、この馬鹿野郎」
お婆ちゃんはポロポロと泣き始めた。すると、凛はお婆ちゃんの肩に手をポンっと置いた。
「お婆ちゃん、その息子さんはお婆ちゃんの事が大好きだったんだね。だから息子さんを馬鹿野郎って呼んじゃダメ。あたし、馬鹿だからお婆ちゃんに何て言えば良いのか分からないけど、多分これだけは分かる。息子さんはお婆ちゃんに幸せに生きて欲しかったんだよ。だから泣かないで、息子さんは笑ってって言ってると思うよ」
相手はNPC、例え言葉を言ってもただのプログラムなので会話が出来なくても、絶対でも凛は本当に悲しそうな顔をしていた。千夏も少しお婆ちゃんの話を聞いていて暗い表情になっていた。
「...ふふ、息子に良く笑ってって言われてたわ」
すると、頭の上に再びメッセージウィンドウが現れる。[bonus quest clear!!]と流れる。
ーーボーナスクエストーーー(クリア)ーーー
クエスト:店主を慰める。
解放条件:『手紙を届けよう!』に指定のセリフを言う。指定のセリフは『笑う』。
推定レベル:0
報酬
1、伝説の職業を授けられる神殿への地図
2、薬屋の家宝『聖なるネックレス』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、『手紙を届けよう!』がクリアの通知が流れる。お婆ちゃんから報酬を貰い、最後に地図とネックレスをもらった。
「少し気が晴れたわ。ありがとね冒険者様。このネックレスは私達の家宝の物よ。貴方達冒険者様が使ってちょうだい。そして、これは神殿への地図よ、私の息子の夢を冒険者様が叶えてちょうだい」
頭の上にメッセージウィンドウが再び流れる。
ーー隠しクエストーーーーーーーーーーーー
クエスト:神殿を攻略せよ!
解放条件:『店主を慰める』をクリア
指定レベル:20以上
参加可能:レベル10以上
内容:地図を辿って神殿を守る守護神を倒せ。
報酬
1、伝説の職業を授けられる*5人まで
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「あと、これは私からの気持ちよ」
10つの本を机の上に取り出した。
「1人1個よ。好きなものを選んで頂戴」
3人は魔導本に書かれてる内容を読み上げた。
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