第5話 まるで夫婦みたい

「千夏、もう結構夜だけど大丈夫か?送って行くぞ?」


「...あ、あの少しお話をしていいでしょうか?」


「え?」


一緒にソファーに座っていた黒華と千夏はシリアスな空気が走る。なんの話をされるのかとゴクリと息を呑んだ。


「私って魅力ありますか?」


「え?!」


いきなりの質問に驚く黒華。千夏は真面目な瞳で顔を赤くして真っ直ぐと黒華を見る。


「あ、あるよ?」


「でしたら何故襲わないのですか?」


「...」


正直黒華は漫画の主人公の様な鈍感男ではなかった。千夏の気持ちはとっくに気付いているが、童貞なのかヘタレだったのだ。千夏はさっきからシャツの上三つのボタンを外したり、暑いとスカートを仰ぐ形をしたり、誘っていたが黒華のヘタレが理性をブレーキ代わりになっていて、なんとか我慢をしていた。


え?未だ童貞かって?あははは、確かに建人達は全員は非童貞だ。何回かそうゆう場所に誘われる事はあったが、そうゆう事は好きな同士でやりたいと言うと、みんなは『うわ〜ロマンチックだね〜』っと少し可哀想な目で見てくる。別に俺が間違ってる訳ではないのに、どこか虚しく思ってしまう。


「私黒華君の事は好きです。一目惚れです」


千夏は覚悟を決めて告白をする。初めて告白をされた事それにこんな可愛い子に好意を向けられている事にニヤけてしまった。


「...」


ニヤけた顔を手で隠す、はじめての告白に対してどう答えれば良いのかと少し戸惑ってしまった。


「...あ、あんまりお互いの事は知らないし、今まで殆どの話さなかったんだ。だ、だから、お互いの事を教えてながらお付き合いして下さい。こうゆうの、は、初めてだから不甲斐ないと思うけど、宜しく?...お願いします」


黒華はナヨナヨと動揺しながら千夏に告白をする。千夏は顔を赤くして嬉しそうに黒華の手を取った。


「付き合ってくれるのですか?」


「...正直、こんな可愛い子からの告白を断れる訳がないよ。う、嬉しすぎて顔が熱い」


「ふふ、私もです。殿方とお付き合いするのは初めてなので、分からない事もありますが、よろしくお願い致します」


「ああ、よろしく頼みましゅ...あっ」


初めての恋人に嬉しすぎて噛んでしまった。


「へ?」


千夏は黒華にキスをする。いきなりの出来事に目を大きく見開いて固まってしまった。


「は、初めてなので、よ、優しくしてください」


千夏は着ていたシャツを脱ぐ。千夏の下着姿で黒華の理性は吹っ飛んだのだった。これは千夏が恋人と言うのを知らなく、付き合った初日にそうゆう行為をするのが当たり前と言う勘違いから始まる。


☆ ☆ ☆


「親とか大丈夫なのか?」


 千夏は一晩中黒華の家に泊まった。娘が家に帰らなかった事に親御さんが心配してないかと千夏に問いかける。千夏は大きな黒華の服を着て朝食を作っていた。


「ふふ、大丈夫ですよ。昨夜殿方の家に泊まると伝えましたので」


「えっと...親御さんはなんて?」


どこの馬の骨か知らない男に娘を泊まらせた事に怒っていないだろうかと心配になる。


「お母様は祝福してましたが、お父様は打首だぁ!っと電話で叫んでましたね」


「スーーーーー」


黒華は咄嗟に自分の首を抑える。

 そうだよね、知らない男に一晩中2人っきりになってる事にお父さんは許す訳ないよな。


「あははは」


殺されないよね?とあまりにも心配で笑う事しか出来なかった。2人は制服に着替えて学校に向かう。玄関先で千夏にネクタイをギュッと締められた事にちょっと照れくさくなってしまった。


「いつも、1人なんですか?」


「うん、まぁあんな広い家だけどこの1年間1人で住んでたからね」


千夏はあんな広い家で1人でずっと住んでると聞く。黒華の答えに千夏は頬を赤らませて俯く。


「も、もし良ければ何回か泊まっても宜しいでしょうか?め、迷惑じゃなければ...」


「べ、別にいいけど。千夏は大丈夫なのか?」


千夏は無理してないかと心配になる。


「...はい、逆に黒華君ともっと一緒にいたいぐらいです」


千夏の仕草に黒華は思わずドキッとしてしまった。物凄く可愛い彼女が出来た嬉しさに千夏をギュッと抱きしめる。2人が手を繋ぎながら登校する姿を見て学校中ガヤガヤと騒ぎ出していた。

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