十八 スキップ
バルデス監視隊長が食われた!どうしたらいいんだ・・・。
「クピ。多重位相反転シールドでアイネクを捕獲して焼却できるか?」
「できるけど、産卵して孵化する速度が捕獲して焼却する速度より早いよ」
「クピが何人いれば捕獲焼却できる?」
「百人以上だよ」
「クピのコピーを作るんだ。
イオス共和国のあらゆる電脳空間にクピのコピーを作るんだ!
多重位相反転シールドでアイネクを捕獲し、シールド内を加熱焼却するんだ!
できるか?」
「了解!あらゆる電脳空間にあたしを派遣するね!
コピーができたら、やってみるね!」
クピがベッドの上で空間にむかって手を動かしている。
マリーが言う。
「バスコ。重要な事を思いだした!アイネクの目的は全銀河のヒューマ絶滅だよ!
テレス連邦共和国のマリー・ゴールドはヒッグス粒子弾でアイネクを壊滅できる!
ヒッグス粒子弾は、ロックした標的のヒッグス場を時空間を越えて追尾し、標的だけを確実に壊滅する!
アッキ・ダビドは、アイネクと卵をヒッグス粒子弾で壊滅する事をマリー・ゴールドに知らせたかったんだわ!」
「わかった!俺とマリーとクピはテレス連邦共和国へ行こう!
マリー!気密防護バトルスーツとバトルアーマーを着けろ!」
バスコはベッドから出て、気密防護バトルスーツを着た。
マリーも気密防護バトルスーツを着て言う。
「アイネクを攻撃しないの?」
「もうすぐクピが百人以上出現する!みんなに攻撃をしてもらう!」
バスコはバトルアーマーを身に着けている。マリーもバスコに従った。
「アイネクの駆除はあたしたちにまかせてよ!」
ベッドのクピは多重位相反転シールドの微細間隙から4D探査の触手を伸ばし、惑星イオスのあらゆる電脳空間にハッキングしてクピのコピーを作っている。コピーたちはただちにアイネクをシールド捕獲して焼却している。
バトルアーマーのクピが言う。
「そしたら、あたしはマリー・ゴールドに会いにゆくね。
アイネクの飛行艇の記録から、テレス連邦共和国とマリー・ゴールドの位置情報はわかってるよ」
渦巻銀河ガリアナのオリオン渦状腕外縁部、テレス星団が連邦国家テレス連邦共和国の宙域だ。マリー・ゴールドはテレス連邦共和国のフローラ星系惑星ユングのユング共和国にいる。
「ねえ、バスコ。祖父ちゃんたちはだいじょうぶかな?」
マリーは祖父の安否を気づかっている。
「ネイティブ居留区は全体を多重位相反転シールドして、各岩窟住居をさらに多重位相反転シールドしてる。あそこは治外法権で監視隊の記録にも載っていない。アイネクにも知られていないはずだ」
バトルアーマーのクピが言う。
「祖父ちゃんの家にも、あたしのコピーがいるよ。シールド内にアイネクはいないよ」
「わかった。クピ。こっちは頼むぞ!
クピ、俺たちを飛行艇へスキップしてくれ!」
バスコはベッドのクピにそう言い、バトルアーマーのクピにスキップを指示した。
バスコとマリーとクピは飛行艇にスキップした。
コクピットでバスコがマリーに言う。
「マリー。アイネクの目的は全銀河のヒューマ絶滅だと言うのはどういうことだ?」
飛行艇のコクピットでバスコはマリーにそう訊いた。
「あたしにはわからない・・・。クピはどう思う?」
クピは飛行艇のクピと一体化して、マリー・ゴールドがいる惑星ユングの4D座標を飛行艇の電脳空間に入力している。
「スキップの準備ができたよ。
アイネクは、食物連鎖の頂点に立つヒューマを絶滅していいと考えてるみたいだよ。
そうすれば、他の生物が共存できると思ってるよ」
「その情報はどこから得たの?」とマリー。
「ここからだよ」
クピが飛行艇のコンソールを示した。飛行艇の記録に、あらゆる銀河のヒューマ絶滅計画がある。
「と言うと、ヒューマを捕食者と考えてるのか?」
「そうだよ」
「なんてことだ!大変なことになったぞ!
俺たちはアイネクが食物連鎖の頂点に立つ捕食者だと考えてた!
アイネクの捕獲焼却はどうなってる?」
「まだ、あたしのコピーが足りないよ!」
「惑星イオスのヒューマが絶滅する前に、マリー・ゴールドに会おう!」
「了解!惑星ユングの静止軌道にスキップするよ!」
「待って!この飛行艇の燃料はどうするの?」
マリーの質問に、クピが低温核融合ドライブに隣接したバスルームについて説明する。
「ここでうんちしてね。うんちの成分は全部、軽い原子だよ。低温核融合ドライの燃料だよ。生成した鉄は資材だよ」
宇宙空間では、あらゆる元素が有効的に使われる。生命体の存在も有効的かつ友好的なことが望まれる。アイネクはそう考えているのだろうか・・・。
飛行艇が多重位相反転シールドでステルス状態のまま、渦巻銀河ガリアナのオリオン渦状腕外縁部・テレス星団・フローラ星系・惑星ユングの静止軌道へスキップした。
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