第18話 ENDmarker.

 最初は、風景が動いただけだと思った。

 気付いたら、腹に何かが刺さっていて。

 演劇部のドアの前で。


「そうか」


 ばかじゃなくなったから。


 死ぬのか。


 刺したのは、この前の学生だろうか。彼女の代わりに、自分が刺されたのかもしれない。

 それならそれで、よかった。


 腹に刺さった、何か。ナイフだろうか。血は出ていない。引き抜いてみようとしたけど、手に力が入らなくて、だめだった。あいつは脳漿をぶちまけてたけど、俺は、はらわたをぶちまけるのか。もういちど引き抜こうとしたけど、やっぱり抜けない。


 痛みはない。


 なんとなく、彼女のことを考える。


 どんな服を着るのだろうか。そして、それに気付くことはできるだろうか。


 ちょっと、眠くなってきた。


 彼女も着替え中だし。


 寝るか。


 最後に、もういちど。引き抜こうと思ったけど。


 もう、手は動かなかった。

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