帰郷
美作為朝
At the air port.
「ねぇ、あなたはドワイト・カーターでしょ?」
シャーロット・ダグラス国際空港で5、6歳の白人の少女が大柄な静かに座った黒人男性に向かって話しかける。
「そうだよ」
「サインくれる?」
そう言って少女は、カラフルな子供用のペンとフードコートのどこかから取ってきた紙ナプキンをドワイトに渡す。
「いいけど、お嬢ちゃんは俺のこと知ってんの?」
「パパがいつもあんたのことボロクソに言いながらTV見てる」
だろうな、昨シーズンは4勝12敗だ。
グリーン・ベイでプレー・オフに行ったときは控えだったし。
あのときのランボーフィールドの点差以上に寒さったらなかった。
ドワイトは自身の太ももの上でサインをしナプキンをその子に渡そうとすると、その子供の母親らしき白人の女性がものすごい勢いでチャールズの眼の前まで駆けてきた。
そして無言でドワイトを睨みつけ娘を抱き上げると何処かへ消えた。
ドワイトの手には自身の太ももの上で書いたがゆえに歪んだ紙ナプキンのサインだけが残った。
4月の暖かい午後の日差しがシャーロット・ダグラス国際空港の待合室を燦々と照らす。
アメリカで黒人なら当たり前にある極々普通の出来事。
Don't Fuck with me anymore.
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