真っ逆さまな海

三日月静

第1話

小魚達が集団を作って泳いでる。

1匹でも乱れればそこから後ろは崩れていくか、そいつだけ置いてかれる。

だけど、いくら綺麗な集団でも最後は大きな魚達の餌になる。無意味なのだ。

小魚がノイローゼになろうともどうでもいいのだ。

小魚が罪を犯しても環境は変わりはしないのだ。

小魚が頑張っても愛されはしないのだ。

小魚が生きていても邪魔になるだけなのだ。

小魚が死んでも新しく光は生まれる。

いっその事、海が真っ逆さまになって落ちてくればいい。

そうしたら、きっと、みんな、星になる。

真っ黒な空と真っ黒な海が入れ替わっても誰も気付きはしない。

木が海藻になろうとも誰も気付きはしない。

土が砂に飲み込まれても誰も気付きはしない。

小魚が生まれても、刹那の感覚だ。

そう、誰も気付きはしない。

だから、海が落ちてくればいい。

みんな落ちてくればいい。

みんなが落ちて来て欲しかった。

小魚は幸せにはならない。

小魚は地獄がお似合いだ。

小魚は真っ赤なドレスがお似合いだ。

小魚はいきられない。

黒い、黒い、黒い、海に暖かみがお似合いで、生ぬるい。いや、肌寒い。

全て落ちてしまったらきっと幸せだろう。

小魚が消えてしまえばきっと笑うだろう。

小魚が放り投げられたらきっと嬉しいだろう。

海が落ちてくればいい。今すぐにでも。

海が潰れればいい。

真っ逆さまな海は鉄の塊に轢かれるだろう。

小魚が泣いても音は響かない。

小魚は居なくなった。

海は冷たい、小魚は冷たい。


END

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真っ逆さまな海 三日月静 @hakumukagamiya

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