恋心
望月
恋心
「好き」
そんな言葉は日常のように飛び交っている。
誰かが告白しただの、誰が好きだの、そんな噂は絶えない。
こんなことを言っている私にもやっぱり好きな人はいるもので、授業中や帰り道にふと彼を見つめてしまう。
今どんなことを思っているのか
好きな人はいるのか
そんなことばかり考えながら過ごしている。
本人に聞こうかなんて考えられない、なぜなら私の好きな彼は高嶺の花。
いつも1人で本を読んでいるようなタイプの少年だ。私はそんな彼の儚く美しいところに惹かれた。
メガネから覗く綺麗な瞳と長いまつ毛。
薄く白い肌。
長く骨張った指。
彼の動き一つ一つ。
全てが私には美しく思える。
彼と出会うまでの私は学校に魅力なんて感じられなくて、クラス替えだって行事だって、そこまで楽しいと感じることはなかった。
でも、中2の春に彼と出会った。席が隣だったのだ。
そこからは彼を見ることができない土日なんて嫌いだし、彼の運動している姿や歌っている姿を見ることができる体育祭や合唱コンはとても楽しく、練習も張り切った。
去年は嫌々やっていた係の仕事も彼と同じ係を選択したから、仕事が待ち遠しくなった。
私の学校生活に彼は不可欠だった。
彼が学校を休むと1日がすごく退屈に感じるし席替えで席が遠くなった時は周りから不審がられるほど落ち込みんでいた。
その度に、あぁ私は彼がすごく好きなんだなと思いしらされる。
彼が他の女の子と話しているのを見るのは嫌だし、彼女ができたら、なんて考えるだけで嫌になる。
でも、勇気が出ない。
そんな私にも転機が訪れた。
それは球技大会だった。
球技大会では男女合同チームを組み他クラスと対決する。
その球技大会で運良く彼と同じチームになれた私は放課後の練習の後、彼と一緒に下校することができた。
下校中、彼と話すのはすごく楽しかった。
この時間が永遠に続けばいいのに、なんて考えてしまう。
球技大会が終わると彼の良さに気づく女の子が増えてしまった。
他の子に取られてしまう前に私はやっとの思いで告白することを決心し、呼び出すことに成功した。
彼が目の前に来るとうまく話せずあたふたしてしまう。
そんな私を見て彼は優しく微笑みながら先に口を開き、こう言った。
恋心 望月 @tu11ki31
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