第3輝 予感
「寝るか……」
今日しなければならない仕事は終わっている。これ以上起きていてもネガティブなことを考えるだけだし、これ以上起きていると明日の学校にも響くだろう。明日の朝も早いことだし───
───ズドォォン
「うぉッ?!」
リビングから寝室に移動しようと廊下に出た時、外から何かが爆発したような轟音と振動が伝わってくる。
近くで誰かが花火でもやっているのだろうか? いや、花火にしては大きい音だったし、もう花火をやるには遅い時期だ。なにか事故でも起きたのだろうか。
SOが現れた場合に鳴る警報は鳴っていない。SOが現れた訳では無いということだろう。
───気になる。
ちょっとした野次馬魂というか、なんというか。いつもはそんな冷やかすようなことはしないのだが、何故かあの爆発音を鳴らした原因が気になった俺は、寝室に向けていた足を玄関に向け、爆発があったであろう方向へと足を進めた。
確かあの爆発音はコンビニの方からしたはずだ。あそこならそれほど遠くは無いし、何も無ければついでにアイスでも買って帰って来ればいい。
玄関から出て、コンビニに向けて進む足を少し早める。───って財布忘れたじゃん。ま、スマホで払えるか。
と、考えて、スマホも持ってないことに気がついた。持っているのは家の鍵だけ。どうやら相当焦って家を出たらしい。しまったな……まぁ、見に行くだけだ。すぐ帰るから、財布もスマホもなくても大丈夫だろう。
───軽く走ってコンビニの近くまで来た。あとはこの道を右に曲がれば、すぐにコンビニが見えてくる。
「───は……?」
はずだった。こんな真夜中でも電気をつけて、暇そうな店員と、商品を運んできたトラックだけがいるはずのコンビニ。
そこにあったのは、それらだったものだ。
なにかに踏み潰され、切り裂かれ、破裂している。まるで……そう、まるで───
「S……O……」
間違いない、SOだ。SOがここに現れ、そして暴れた。そうとしか、この惨状を説明できない。
───だが、なぜ警報がならなかった? SOが現れる兆候を察知し、SOが現れる時は必ず鳴るはずの警報が鳴っていないのはおかしい。
それに、
おかしな点が多すぎる。とりあえず、魔法省に連絡を……って、スマホは家か……
近くに公衆電話もないし、あったとしても現金を持ってない俺には使えない。周りの家は電気が消えてるし……仕方ない、家に戻って直ぐに通報するか。
『早く逃げた方がいいよ、───』
「は?」
来た道をもどるために振り返った瞬間、誰が俺に
周りを見渡しても誰もいない。疲れで幻聴でも聞いたのだろうか。
いや、そんなこと言ってる場合じゃないな。とにかく早く家に戻って魔法省に連絡しなければ───
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