20年越しの卒業式

凪 景子

卒業

桜の咲く、4月のことでした。

ある女性が好きな人に振られ、失恋してしまいました。

その女性にとって、大きな大きな失恋でした。


女性は失恋の傷を癒すことも治すこともできず、

自分の気持ちに蓋をしてしまいました。

感情を殺し、本当の自分の姿は見て見ぬ振り。

その間女性はずっと独り、気づけば20年経っていました。


失恋から10年経った頃、女性はうつ病を発症しました。

女性の心のコップから、水が溢れ出てしまったのです。

病状が良くなる兆しは見られないまま。


それはちょうど20年経った時でした。

偶然っだったかどうかは、誰にもわかりません。

女性は思ったのです。


〝過去の悲しみから卒業して、新しい人生を歩みたい〟


女性は初めて、過去と向き合うことができたのです。


失恋から20年後の、桜の咲く春。

40歳になった女性は、一人で卒業式を迎えました。

一人で卒業式を迎えられ、一人で卒業を乗り越えたのです。


新しい自分が生まれ、自分の足で、

新しい人生を、前を向いて歩み出しました。

まずは、自分探しから。

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20年越しの卒業式 凪 景子 @keiko012504

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