Door Land
那由
第1話 開
AM4:30 獅童来人
「腹減ったなぁ…」
夜更かしをしてしまったせいで変な時間に起きてしまった
パカッ
冷蔵庫を開けてもなにもなく棚の中にカップラーメンもない
「買いに行くかぁ…」
仕方がないのでコンビニに向かった
ガチャ
「寒っ」
11月半ばの真夜中は身体の芯が凍るほど寒く
上着と手袋を着けていても手が痛かった
「いらっしゃーせー」
店員の眠そうな声が響く
「お、新発売のシュークリームじゃーん」
シュークリームを取ったはいいもののトイレに行きたくなってしまった
「寒いとトイレがちけぇなぁ~」
のんきに歌を歌いながらトイレのドアノブに手を掛けた
それがあんなところに繋がるとも知らずーーーー
AM4:40 園田蘭
「お弁当作らなきゃ…」
まだ朝日も昇らない朝の中
油の跳ねる音だけが部屋の中に響いた
目を擦りながらウインナーを焼いていると
「あっつ!」
油が跳ねてやけどをしてしまった
「冷やさんと…」
ジャー
蛇口から出た水は刺すように冷たくやけどが悪化してしまいそうな感覚だった
「朝からついてないなぁ、、、」
そう文句を垂らしつつも食器を準備するために食器棚を開けた
彼女が本当についていないのは
これからだったーーーー
AM4:30 佐藤ケント
「ぁ…」
彼がまだ幼いのにこんな時間まで起きているのには理由があった
「ねぇ~りーくーん!
きょーは楽しかったねぇ~」
「そーだなー
またいこーなー」
母がこんな時間まで外に遊びに行っていたのだ
「は?こいつまで起きてんの?
うぜーんだけど」
「ごめんねーりーくん」
父ではないその男はこちらに向かってきて
メコッ
バキッ
ケントの細く脆い骨が次々と音を立てて折れていく
「ぁぐっぅ、、、」
「うるせぇ!いっつも!」
母はたばこを吸いながらケータイをみており
こちらにはまるで興味がない
「ふぅ、、、
あ、さちぃーカラオケ行こー」
「いまから~?まーいーけどぉー」
母とその男はまた外に出掛けていった
「ぁぁあ…」
悶えながら冷蔵庫のドアノブに手を掛けた
神は年齢なんぞ関係ないと嘲笑うかのように
彼を異界へ手招いた
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