初雪

陽炎に咲く萩の木は

ぬるい水が恋しいか

天にそぼ降る雨よりも

バケツの水が恋しいか

それは藻が湧き虫が湧き

きれいな水とは言えないが

清い言葉の二、三より

情のこもった歌がいい


震える手酌で酒を注ぎ

緑の空気を眺めれば

クロスのかかった赤ら顔

町場の空気に交わらねども

ひとり静かな宵もある


木々が戴く星々は

町を見渡ししたり顔

滑った星の行き着く先は

煎餅布団で糸を抱える

寂しがり屋の膝小僧

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