夜霧

また見つけてしまった

終わりを

夜の帳が下りる頃に

今日と明日に蓋をして

清浄であり濃厚に

夜歩く胸を満たすもの

肌に纏わり影を追い

今の中に引き留める

歌う綺羅星も御簾に隠れて

ひとり男はあてなく歩く

そうさ蕾のうちが華

一度開けば葬列に

ギロチン落ちるを待っている


されど無慈悲に進むもの

朝のひばりが鳴く頃に

ナイチンゲールは隅っこで泣いた

東の空が赤らめば

清廉であり空漠に

宵のしじまを流し去る

夜霧は薄陽を歓待し

やたらめたらに朱に染める

郵便受けは叩き起こされ

夢の終わりを嘆いてる


また知ってしまった

ああ、知ってしまった

終わりを

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る