ネル・フィルター

畜生!

いつもそうだ

俺は

澄み切った寝室に光を返す

サイドテーブルの水差しだ

寝覚めのほかに顧みず

惰性を注ぐ

カルキの染みついた

ワインの器の成れ果てだ


畜生!

いつだってそうだ

お前は

清も濁も飲み下す

フランネルのフィルターだ

冷蔵庫の海に漂い

朝に夕に饗応される

食器棚の公女殿


畜生!

俺は

不味い不味いと言いながら

今日も

ちびた煙草を吹かしている

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