第22話 再燃
「いやー、こうやって街中を堂々と飛べるなんて信じられないなー」
「今だけだぞ、楽しんどけ、事が終わればいつものラマゴスに戻る」
あれこれ言いながら、チャンクリイ家の屋敷に辿り着いた二人、問答無用と大きな門を開け屋敷へ入って行くのだが、それを遮るように、庭の池から巨大な双頭の亀が姿を現した。
「わー、出たコレさっきの紋章の亀だ!!」
「あー、そのようだ、どおりでこの屋敷だけ無傷でいられたわけだ」
「あ、あれ、別に襲って来ないよ」
「あー、思い出した、コレあれだよ俺が昔デペカニスと実験したんだ、亀の頭を移植して双頭にしてみようってな、生きてんだなお前、ヨシヨシ、イイ子だぞー、イイ子だからホラ、池に帰りなさい」
「そ、そう…懐かしい再会だったね」
びしゃーんっと大きな水飛沫が上がると、今度はそれに気づいて素早く動く黒い影が近付いて来た。
その人影は一瞬にしてデペカニスの背後を抑えると、首元にナイフをあてがって一言、「何奴」と問いかけた。
「おいおい、どれだけ呑んだんだフラエ、身体に良くないぞ」
「は、デ、デペカニス!!!」
二人は抱き合った。それだけでよかった、酒臭くても、掘られてても、もうどうでもいい、愛が全てを勝ったのである。
「おーい、お二人さん日が暮れるよ〜、まったくいつまでキスしてるんだよー、また僕だけ放置プレイじゃないかー」
二人は分断された時を繋げるように、時間を忘れて抱きしめ合った…
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