第015食 大きな玉ねぎの脇に:Komi’z(A12)
木曜日の夜、書き手は、メトロの銀座線の神田駅を降り立った
〈4〉番出口を出て、中央通りから〈神田警察通り〉を右折し、最初の路地の曲がり角に位置している建物の二階に在るのが〈Komi’z〉である。
建物の外壁には、メニュー・ポスターが貼ってあり、そこには「大阪名物!!ねぎカレー」という文言が見えたので、この店って関西がルーツなのかなって思いながら、書き手は階段を上がった。
店に足を踏み入れたところ、先客が飲んでいたので、神田駅北口側のこの店は、どうやら〈ちょい飲み〉もできるようだ。
とはいえども、書き手が注文するのは、無論、カレーである。
しかも、この日は既に注文する品も決めていた。
それは〈丸ごと玉ねぎカレー〉である。
冊子にも「他店にないオリジナルメニュー」、「唯一無二の丸ごと玉ねぎをご賞味あれ!」と書かれており、この店独自のメニュー以外の選択肢は、書き手にはなかった。
冊子によれば、この店のカレーは、「野菜など旨味を凝縮させたカレールーをベースに、牛肉がホロホロに溶けるほどじっくり煮込み、12種類のスパイスを加えた本格的ビーフカレー」との事であった。
どんな野菜を使っているのか、スパイスは何なのか気になるところだが、それこそが店の秘密なのだろう。
そんな事を考えていると、やがて料理が出てきた。
運ばれてきた、白く平たい円い皿全体には、カレーが広がっており、その上に、白いご飯と大きな玉ねぎが載っていた。
その大きな玉ねぎの脇には、白いご飯が丘のように盛り付けられていたのだ。
書き手にとって驚きだったのは、玉ねぎとご飯の大きさがほぼ同じであった事である。つまるところ、玉ねぎが、とにかくドデカいのだ。
さらに、この料理には、カトラリーとして、カレーライスのためのスプーンだけではなく、ナイフとフォークも付いてきたのだが、これら切り分けのための道具は、大きな玉ねぎを切るためのものなのであろう。
店内のポスターによると、「淡路産丸ごと玉ねぎ」は、単品としても提供されており、その特徴は「1時間以上煮込まれた玉葱は淡路島産本来の甘味を十分に引き出した一品!」であるそうだ。
そこで書き手は、まず、玉ねぎを単品として味わってみる事にして、ナイフとフォークで玉ねぎを薄く剥がしてゆき、切り分けをフォークで刺して口に運んでみた。
!!!
あっまぁぁぁ〜〜〜いっ!
これは、皿上のアマイ大島だっ!
このままだと、玉ねぎだけを食べてしまいそうなので、次に、カレーライスとして味わい、それから、玉ねぎをカレーにつけ、玉ねぎカレーとし、三種の食べ方で、書き手はこの一皿を味わった。
それにしても、である。
このカレーの見た目の印象は、皿上のカレーが〈瀬戸内海〉で、ご飯と玉ねぎが双子島みたい、であった。
この大きな玉ねぎは淡路島産なので、玉ねぎを淡路島とみなすのならば、ご飯の方は、紀淡海峡に浮かぶ〈友ヶ島(ともがしま)〉なのであろうか。
もっとも友ヶ島は淡路島の隣の島なのだが、大きさは、淡路島の方が圧倒的に大きい。
でも、ご飯を先に食べ、白米の島を小さくすれば、友ヶ島になるかもしれんな。
ちなみに、友ヶ島とは、アニメ『サマータイムレンダ』の「日都ヶ島(ひとがしま)」のモデルとなった島で、実は、書き手は、七月末に、作品の舞台探訪でこの島を訪れていた。
そのため、このような発想をしてしまったのである。
〈訪問データ〉
Komi’z;神田・神田駅北
A12
八月二十五日・木曜日・十九時半
淡路島産丸ごと玉ねぎカレー:八〇〇円(QR)
〈参考資料〉
「Komi’z」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、六十ページ。
〈WEB〉
「神田駅 構内図」、『東京メトロ』、二〇二二年九月四日閲覧。
〈漫画〉
田中靖規『サマータイムレンダ』、東京:小学館、全十三巻、二〇一八〜二〇二一年。
〈アニメ〉
『サマータイムレンダ』、二〇二二年四月期・七月期、全二十五話(予定)。
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