小説を書く秘密道具 ①
昔と違い小説はいつでもどこでも書くことができる。
かつては原稿用紙に鉛筆を走らせて書いたものだが、高校→大学→成人とワープロで書いていた。もちろん、その頃のワープロなんて十万円以上が当たり前、3.5インチフリッピーの容量も1枚1.44MBと今から見ると笑っちゃうくらいの低性能。
でも、それがよかった。
今考えればオレのためにワープロ買ってくれた親は偉大だったと思う。(いや、ホント)
ワープロでオレの世界は変わった。推敲・訂正・プリントアウトまでできるワープロはその時代の最先端。表計算だの何だの一切その辺にはかかわらずひたすらに文字を打ち続けた。
その頃にいったいどんな物語を書いたのかおぼろげながらだが、今見れば笑っちゃうくらいのご都合主義の何でもない物語だったと思う。
でも、そこがオレの原点。出発点だ。
今みたいに情報があふれているわけではない。書籍化されなければ他の誰がどんな作品を書いてどう評価されているなんて知る手段も方法も分からなかった。周囲に小説書いている奴なんていなかったし、「オレ小説書いているんだ」と公言する奴もいなかった。正に「井の中の蛙」自分がいる世界が井戸の中だとは知っていても大海原がどんな世界なのか知る由もない。
今、カエルなオレは大海原にいる。その時になって、オレが砂漠の一粒の砂粒だということを知った。風が吹けば飛び、踏まれれば沈み込むようなそんなちっぽけな存在だ。
でも、輝ける!
ちっぽけなカエルだってみんなで力を合わせれば大きな力になる。
歌ってやろうじゃないか!鳴いてやろうじゃないか!
鳴いて!泣いて!輝いてみせようじゃないか!
オレはここにいる!
死ぬまでこの世界にいる!
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