第101話かれはてむ のちをばしらで 夏草の

題知らず

凡河内みつね


かれはてむ のちをばしらで 夏草の 深くも人を おもほゆるかな

                       (恋歌四686)

※かれはてむのち:「かれ」は「離れ」を意味する。つまり、あの人の心が自分から、「離れ」、「別れ」てしまうだろうと、わかっている。また、「枯れ」の意味もあり、夏草が枯れる。深く思ったところで、その夏草もやがては枯れてしまうの意味を含む。


(おそらく)あの人の心が私から離れてしまう行末を知ることもなく、まるで夏草が深く茂るように、あの人のことを深く愛してしまったのです。


確かな別れの予感を詠む歌として、秀歌と思う。

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