第94話みちのくの あさかのぬまの 花かつみ

題知らず

よみびとしらず


みちのくの あさかのぬまの 花かつみ かつ見る人に こひやわたらむ

                          (恋歌四677)

※あさかのぬま:現福島県郡山市にあった沼。沼は現存しない。安積山公園が、その遺跡らしい。

※花かつみ:菖蒲、あやめ、薦(こも)など諸説あり。この歌により、「花かつみ」は陸奥国の安積の沼の名物となり、多くの歌が読まれるようになった。


花かつみには、古より諸説があり、幻の花とされ、松尾芭蕉も花かつみや安積沼を人々に尋ねまわりましたが、知る人がいなかったと書いています。

明治9年6月17日、明治天皇の東北巡幸のさい、日和田の安積山の麓、横森新田のご休息所で、花かつみを「菖蒲に似て最(いと)些小(ちいさ)き花」なるヒメシャガを花かつみとして天覧に供しました。

以後、「ヒメシャガ」が「花かつみ」とされ、昭和49年、郡山市の花に制定されました。(郡山市HPより)




※かつ見る人:逢えたり逢えなかったりする人。時折にしか逢えない人。少しだけ見た(逢瀬をした人)


(みちのくの安積の沼に咲く幻の花の、花かつみ)の話のように、少しけ逢瀬をした、幻のような人に、これほど恋し続けるのでしょうか。

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