第93話したにのみ こふればくるし 玉のをの
題知らず
紀友則
したにのみ こふればくるし 玉のをの たえて乱れむ 人なとがめそ
(恋歌三667)
※した:内心、心の中。
※玉のをのたえて:首にかける玉を貫く緒が切れて。「乱れむ」にかかる助詞。
心の中だけで、あの人を恋しているので、苦しくてしかたがないのです。
いっそのこと、玉の緒が切れて弾けるように、理性は無視、思い切り迫って(我が物として)しまおうか。
こうなったら、世間の人は、とがめないでください。
誰にも言えず。心の中だけで恋続け、その苦しさも頂点。
首に掛けた玉の緒は、理性の制約か。
しかし、そんな理性は無視、世間の目も無視、恋する相手に自分の思いを遂げたい、世間(世の中の道理)は、自分の恋路を邪魔してはいけないと詠む。
なかなか複雑な意味を含んだ歌。
藤壺に迫った光源氏。
女三の宮を我が物とした柏木。
そんな連想をしてしまう。
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