第91話おもへとも 人めつつみの たかけれは

題知らず

よみびとしらず


おもへとも 人めつつみの たかけれは 河と見なから えこそわたらね


※人めつつみ:世間の目という堤。慎みにも掛けてある。

(恋歌三659)


深く思ってはいるのですが、世間の目という堤が高いので、川は見えてはいるのですが、(彼女のもとには)なかなか渡ること(逢瀬)が難しいのです。


題知らず

よみびとしらず


たきつせの はやき心を なにしかも 人めつつみの せきととむらむ

                         (恋歌三660)


激しく音を立てて落ちるような思いはあるのですが、何故に、世間の目という堤は、せき止めているのでしょうか。

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