第87話思ふどち ひとりひとりが こひしなば

たちばなのきよきがしのびにあひしれりける女のもとより、おこせたりける

よみびとしらず

※たちばなのきよき:橘清樹。 平安時代 前期の 貴族 ・ 歌人 。 官位は従

五位下。阿波の守。古今和歌集に所収一首。


思ふどち ひとりひとりが こひしなば たれによそへて ふぢ衣きむ

                         (恋歌三654)

※ふぢ衣:喪服。


かえし

たちばなのきよき

なきこふる 涙に袖の そぼちなば ぬぎかへがてら よるこそはきめ

                          (恋歌三655)


密かに思い合う二人のうち、一人が恋死にしてしまったなら、誰のためと、喪服を着たらよいのでしょうか。


返歌


亡くなってしまった人を偲ぶ涙で袖が濡れたとしたら、夜の着替えの時に(人目につかないように)喪服を着ることにしましょう。

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