第79話こひこひて まれにこよひぞ あふ坂の

題知らず

よみびとしらず


こひこひて まれにこよひぞ あふ坂の ゆふつけ鳥は 鳴かずもあらなむ

                          (恋歌三634)

恋し続けて、ようやく今夜逢うことができるのです。

逢坂のゆうつけ鳥は、夜が明けても、鳴かないで欲しい。


※あふ坂の:「あふ」は掛詞で「逢ふ」を掛けてある。逢坂の関を略したもの。

※ゆふつけ鳥:世の中に混乱が生じた時、四境の祭りという、鶏に木綿を付けて神事として四境の関で祭らせるところからの名前。鶏の意味で用いている。

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