第77話逢ふことの なぎさにしよる 波なれば 

在原元方


逢ふことの なぎさにしよる 波なれば うらみてのみぞ 立ち帰りける

                          (恋歌三626)


私は あなたという(私には)出会う気持ちが無い渚に、寄ろうとするだけの波なのです。だから、恨みを感じながら、向かっては帰って来るだけなのです。


自分を無慈悲にも見下し、逢う気持ちなど何も無い女。

しかし、男としては、思いを捨てきれない。

だから、何度も女の家までは行く。

しかし、目の前にするだけで、肩を落とし、戻って来るのみ。


その自分の哀れな姿を、波にたとえた歌。

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