第69話人知れぬ 思ひのみこそ わびしけれ

題知らず

紀貫之


人知れぬ 思ひのみこそ わびしけれ わが嘆きをば 我のみぞしる

                        (恋歌二606)


あの人が知ることもない、私の思いこそ、本当にわびしく辛いものなのです。

そして、この私の嘆きは、私だけしか知ることもないのです。


「思ひ」の「ひ」を、「火」に。

「嘆き」を「投げ木」として、火を燃やし、その中に、恋の苦しい「思い」を投げ込むと、解する人もいる。


ただ、あまりにも、「掛詞」や「詠みも技術」を意識して解釈し過ぎると、歌本来の魅力が褪せる場合もあるので、納得しがたい。

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