6 急遽、下校することになりました
「お、春日井。 悪崎たちが呼び出しを食らったようだな」
「ああ、さっき放送を聞いた」
「遠くから見たけど、悪崎たちは抵抗したけど、屈強な先輩達が気絶させて無理やり学園長室に運ばれていったみたいだよ」
教室に戻った僕は、同じ仲間の
といっても、冬先輩との相談後に教室に戻る途中で呼び出し放送を聞いたんだけどね。
春風さん曰く、呼び出しを受けた悪崎たちは抵抗したらしいけど、屈強な先輩達が無理やり気絶させて引き摺る形で学園長室に連れて行ったようだ。
「えっと、緊急的ではありますが、今日はここで下校とします」
担任の先生がやつれた様子でそう告げて再度教室を出て行った。
職員会議が行われるのだろうか?
とにかく午後の授業は中止となり、すぐに下校となったようだ。
「僕達もすぐに帰ろう。 下手したら奴らに絡まれるかもしれない」
「ああ、俺も先輩達に声を掛けられて事情を告げたからな」
「私達も」
「優真君も先輩達に事情を話したんでしょ?」
「うん」
先輩達に事情や受けた仕打ちを話したのは否定しない。
ただ、その話を聞いてくれた相手が【清光の十女神】の一人の冬先輩だとは口が裂けても言えない。
僕達は何が起こってもいいように固まって下校することにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おや、優真くんじゃないか。 奇遇だねぇ」
「冬先輩?」
途中で別のクラスで奴らの取り巻きによって陰キャかつ底辺扱いにされた人たちと合流し、集団下校よろしくな感じで下校していると不意に冬先輩が声を掛けて来た。
僕が振り向いた際、先輩は笑顔を向けてこっちに来たようだ。
「冬先輩も下校ですか?」
「うん。 君が昼に話した件で学園長から直々に呼び出しをしたらしいし、悪崎だっけ? そいつらを入学させた犯人を炙り出すための職員会議が行われるからね。 ただ、生徒会役員たちは残るみたいだ」
「お、おい……、春日井」
どうも僕達一学年せいだけでなく、冬先輩達も同様に下校となるようだ。
そんな話をしていると、桐生君から口をパクパクさせながら声を掛けて来た。
「どうしたの?」
「今、春日井が話している人って【清光の十女神】の一人の
「優真くん、いつからその人と知り合って!?」
「昼休みだよ。 ボクも屋上で食べようとしたら丁度優真くんが食べていたからね。 声を掛けさせてもらったんだ」
桐生君が驚いた表情で冬先輩を見て、その傍らで春風さんが僕が冬先輩と何処で知り合ったのかと聞いたが、冬先輩が代わりに答えた。
他のみんなも驚いているようだ。
「何かみんなして集団下校するかのように固まってたしね。 気になったんだ。 丁度そっちに優真くんもいたしね」
「おーい、冬! 足はえーだろ!!」
「あれ? あなた達は一学年生だよね?」
(え……!? 冬先輩の友達? でも、あの人たちも……)
そんな時に冬先輩の友達らしき人がこっちに走って来た。
僕は彼女達の姿を見て固まった。
何せ、桐生君の情報で聞いた話では、この二人も冬先輩と同じく【清光の十女神】に名を連ねる人たちだったからだ。
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