3 清光の十女神と悪崎の噂
「はぁ……。 これは酷いなぁ」
学校生活が始まって一週間。
僕は同様に窓際に追いやられたクラスメイト達と同様に、机の上に落書きされたりとかの被害に遭っていた。
それなのに、担任も他のクラスメイトは誰も助けてはくれない。
僕達を助けようとすると、プライベートを盗撮されて拡散されるか、無理やり大衆の前で失禁させられる光景を世界中に拡散されるからだ。
憂鬱になりながら机の落書きを消していると、窓から女子生徒が何人か登校してきた。
同時に多数の生徒がその周りに集まって来た。
(何だろ、あれは……?)
窓の外をチラ見しながら机の落書きを消していく。
すると前の席の男子が話しかけて来た。
「あれ、【清光の十女神】と言われる女子生徒らしいぜ」
「そうなの?」
「ああ、他のクラスで陰キャ底辺扱いされた奴から聞いたんだけど、二学年生と三学年生の先輩達の中でひときわ美少女な10人がそう呼ばれてるって話だ」
「そうか……」
どうやら登校してきた女子生徒は、【清光の十女神】と言われる10人の美少女らしい。
二学年生と三学年生の先輩達の中でとびっきりの美少女な10人がそう呼ばれているようだ。
ちなみに、この清光学園では『一年生』、『二年生』ではなく『一学年生』、『二学年生』って呼ぶようだ。
「まぁ、俺達には手の届かない存在だろうさ。 何より奴らに……
「担任も助けてもらえないもんな……」
「プライベートな内容が拡散されちまったしなぁ。 しかも悪崎によって休ませてもらえないらしいぜ。 他のクラスの担任もそうさ」
「何だかなぁ……」
この一学年生全てにカースト制度を築き上げ、この学園を支配しようという悪崎によって、僕達【陰キャ】グループはその【清光の十女神】に遭う事すら許されないようだ。
酷すぎてどうしようもないなぁ。
「でも、何とかしないとこのままじゃ、奴らに汚染されるよ」
「とはいえなぁ……」
そこに同じく陰キャ扱いされた女子も話に加わる。
「あいつの家は警視庁の父と教育委員会の母を持つからなぁ。 私立であろうと公立であろうと圧力をかけるに決まってる」
そう。
悪崎の両親は警視庁の父と教育委員会の母を持つ。
それ故に公立だろうが私立だろうが、カースト制度を無理やり作り上げて自分の都合のいいような形で支配しようとしているのだ。
どうやらこの学校だけでなく、他の公立に通っている奴の弟もそれで支配を確立させていると昨日知った。
「とにかくもうすぐホームルームが始まるからトイレに行ってしまおう」
「うん」
「そうだな」
僕達三人は、そそくさと教室を出てトイレに向かった。
だが、そんな様子を怪しげに見ていた生徒たちがいた事を、僕達は知らなかったのだ。
そして、その生徒たちが先輩達で学園長に報告してくれていた事も。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。