Stage-Sub カレンのサラシ
ご機嫌なカレンは王都で流行の曲を口ずさみながら、俺の部屋で自主勉学に励んでいる。
今もこうして教科書と問題集を広げて、顔をつきあわせている。
「私たち二人きりなんて珍しいね」
「ああ、マシロとレイナはアリスを連れて、服を買いに行くそうだ」
もちろんカレンも誘ったと聞いているし、その返答が用事があるからと答えたことも把握している。
だが、それを彼女に直接尋ねる必要はないし、わざわざこうして二人きりになりたいと考えて断ったならかわいらしいとさえ思う。
「それでどこを教えて欲しいんだ?」
「うん、この部分なんだけど……」
机の上に少し身を乗り出して、とある設問について質問してくるカレン。
途中まで真剣に聞いていた俺だったが、姿勢のせいで机の上に乗っかった二つの膨らみに目線が行ってしまう。
「………………」
……実は前からどこか心の隅で引っかかっていることがあった。
だけど、直接それを聞くのは相手にも失礼だろうし、男としても恥ずかしいのでは……? という思いがあって口にすることは出来なかった。
「……あの……オウガ」
「…………」
「そ、そんなに胸を凝視されると私も恥ずかしいというか……」
しかし、今の俺は違う!
本当の意味で愛し合う形となった今ならば……聞いてもいいんじゃないだろうか。
「カレン」
「うん。わかってくれた?」
「……どうやってその胸を誤魔化していたんだ?」
「……へ?」
大きな存在感を放つカレンの胸……おっぱい。
このおっぱいをサラシで巻いて潰して男装していたみたいだが、どう考えてもサラシで誤魔化すことのできる大きさではない。
「ど、どうって……こうサラシをグルグルって巻いて」
「それはわかる。だが、サラシでおっぱい全部を誤魔化しきれるわけがないだろう? だって、こんなに大きいおっぱいだぞ?」
「おっぱいおっぱい連呼しないでほしいな! 恥ずかしいから!」
そう言って、たわわに実ったおっぱいを抱きしめて隠すカレン。
腕に力がこめられているせいで、形がすごく歪んでいる。
そう。サラシを巻けば今の状態のように上下に分散しても、厚みを持たせるはず。
しかし、俺の記憶が正しければカレンは別に胸板が厚かったことはない。
「……そんなに知りたいの?」
「知りたい」
「……オウガのえっち」
しばらく見つめ合った後、赤面したカレンがぼそりと呟く。
「……じゃあ、ちょっと準備するから待っていてほしい。部屋からサラシ持ってくるから」
「わかった」
カレンはそそくさと部屋を出て行く。
俺は口頭で説明してくれればそれでいいと思っていたが、まさか実演してくれるとは……。
もちろんそちらの方が嬉しいので黙っていた。
瞑想をして興奮を押さえ込み、カレンが帰ってくるのを待つ。
そして、ガチャリと扉が開いた後がしたので目を開けば、もじもじと体をよじるカレンがいた。
その手には確かにサラシが握られている。
「私も恥ずかしいから……一回だけだからね?」
「ああ……この目に焼き付けるよ」
「それはそれで恥ずかしいんだけど……オウガって結構エッチだよね」
「カレンが可愛いからだよ」
「その返し、アルニア王太子みたいだからやめた方がいいよ」
「もう二度としない」
俺としたことが浮かれてしまっていたのか、まさかあのバカ王太子と同じ言動をしてしまうとは……!
しかも、カレンの前で。
みんなにプロポーズして気が緩んでしまっていたみたいだ。
きちんと一人一人に誠実に向き合って、その上で愛を育まなければ……!
「そ、そんなに唇を噛みしめなくても……」
「いや、これは俺自身への戒めだから気にしなくていい」
「オウガがそう言うならいいんだけど……と、とにかく少しだけ後ろを向いててくれる? 上着、脱ぐから」
返事をするまでもなく、俺はカレンに背中を向ける。
シュルリと布と布がこすれ合う音。
サラシを巻く。それはつまり、カレンは何も身につけないということ。
振り向けば、白くきめ細やかな肌が――
「……いいよ、オウガ」
――なかった。
それどころかおっぱいも半分くらい消えていた。
「はい。サラシ巻いたよ」
「……カレン。俺に実演するところを見せてくれるんじゃなかったのか?」
「なっ!? オ、オウガ、そんなこと考えてたの!? ……そ、そういうのは夜でベッドの上じゃないと……でも、それじゃかわいそうかな……私は婚約者なんだし、オウガの欲を発散させてあげるのも役目なんじゃ……う~ん、わかったよ!」
何やら小声でブツブツと呟いていたカレンはいきなり大きな声を上げたと思うと、服の裾を掴む。
「一回! 一回だけだから!」
――そして、一気に胸元までまくり上げた。
視界に飛び込んできたサラシに巻かれたカレンのおっぱい。
ギリギリまで押しつぶされた胸は今にも自由を求めてはじけ飛びそうで、ギチギチと苦しげなうめき声をあげている。
俺が解放してあげたい。
この巻かれたサラシをほどいてあげれば、とてつもない揺れと質感を目の前で感じられることだろう。
「……サラシをやめてからまた大きくなっちゃって……もう前みたいな男装はできないんだ」
「そ、そうなのか……。辛いだろうに、ありがとうな」
「本当だよっ。オウガの頼みじゃなかったらやってなかったんだから……」
カレンは視線をキョロキョロと右往左往させて、必死に俺と目を合わせないようにしている。
当然だと思う。婚約者とはいえ、男におっぱいを見せているのだから。
こんなに献身的な女の子はきっと世の中を探しても見つからないだろう。
カレンは恥ずかしさが限界突破して、もう顔どころか首元まで髪色に負けないくらい真っ赤に染まっていた。
「そ、その……もういい? もし、こんなところを他の誰かに見られたら、なんて言い訳したらいいのか……」
「……!? ダ、ダメだ、カレン! そんなフラグみたいなことを言い出したら、すぐに――」
「――ただいま~! オウガくん、お土産買ってきた――はぁ?」
「あらあらあらあら、オウガ君ったら」
「私たちがお買い物に行っている間に、ずいぶんと楽しいことになっているみたいですね」
……ほらな。こういうことになるんだよ。
「……カレン」
「……なに?」
「俺はもう何も見たくない」
「きゃっ!? オウガ!?」
現実逃避を決めた俺はそのままカレンの胸へと顔を埋めて、視界をシャットアウトさせる。
しかし、現実は非情だ。すぐに首根っこを掴まれて引っぺがされるのであった。
◇ 本当はサラシ巻くシーン書きたかったけど警告が怖かった……。
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