Stage4-27 忍び寄る闇

「魔石の質の高さ……量……ここを選んで正解だったわね」


 私は――フローネ・ミルフォンティはロンディズ王国から離れた山の山頂 にいた。


 ここはかつては人類の土地だったが、今は魔龍に占拠されている場所。


「……正確には占拠されていた……かしらね」


 ここの主はもういない。


 先日、追い出したが、今ごろどこかで暴れているだろう。


 私が行う祭りの前座として、ちょうどいい働きをしているはずだ。魔龍が現れたとなれば、オウガ・ヴェレットは黙っていないだろう。


 あの正義を体現した男は必ず魔龍を阻止するために動く。


 奴の動きを封じている間に私はじっくりと祭りの準備を進めることができた。


「アンドラウスと同じく私の作戦のための時間稼ぎになればいい」


 あの男も一応役には立ってくれた。


 実験体の確保。政治への干渉。


 だけど、一度でも失敗した人間を私は必要としない。


 私の目指す世界へついてきたいなら完璧に仕事をこなさなければ。


 有用な闇属性魔法が使えるから手元に残しておいてやったが、ちょうどいい始末方法を思いついてよかった。


「オウガ・ヴェレット……あの目障りな男の活躍も、もうじき終わりを迎える」


 ことごとく私の計画の邪魔をしてきた忌々しい奴……。


 結局、奴の魔法を打ち消す技の からくりは最後までわからなかった。


 だったら、魔法など関係ない質量で押しつぶしてしまえばいいだけのこと。


「ふふ……ふふふっ……!」


 目の前に並んだ大量の機械人形。


 魔石を動力にして動く魔導具ならば、魔法を無効化できたとしても意味が無い。


 オウガ・ヴェレットの存在を確認してから各地での生産速度を速めておいて正解でした 。


 ゴードンたちもまさか私が世界各地に兵器製造のための工場を置いていたことには気がつかないでしょう。


 各地で作り上げたパーツを、ここで自ら魔法を用いて組み立てた。


 持ち運ぶのには苦労したが、苦労した分の見返りはある。


 なにより私の手となり足となる道具ならば、喜んで働くというもの。


「これで舞台は整った……!」


 マシロ・リーチェを狙った大規模な襲撃をかける。


 私が生まれ変わるにふさわしい器を奪い取るための聖戦を。


「やっとだ……やっと私の野望は果たされる」


 さぁ、始めましょう? オウガ・ヴェレット。


 世界を舞台にした、大切なものを賭けた、私と貴様の戦争を。






 ◇ 今回のお話で第四章【独立機械都市】編は終了となります!

  次はいよいよ皆様のお待ちかね、フローネとの決戦となります。

  強く、格好良いオウガを書けるように頑張りますので引き続き応援をよろしくお願いします!

  本編に入る前に幕間をいくつか挟む予定です。

  

  それといただいている誤字報告にも順次対応して参ります!

  ちょっとプライベートが忙しくて時間がなく、対応が送れてしまい、申し訳ないです……。 本当に誤字報告助かっています……!

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