第24話 『一蓮托生』の裏話 その12 10万字完結までの道のり

 私が『一蓮托生』をカクヨムに連載し始めたのは2021年9月20日のことだ。私の執筆ペースでは、カクヨムコン開始からの連載では締め切りまでに到底10万字には届かないと判断したからだ。しかし、この計画は誤りだったと今だから言える。

 私がすべきだったのは12月1日のカクヨムコン開始までひたすらストックを作り、12月1日から毎日公開することだったのだ。こうすることで12月からの新規読者の★を効率的に取り込むことが出来たと思われる。


 9月から連載を始めた『一蓮托生』だが、カクヨムコン7開始日、12月1日には27話『たかしからの手紙』を公開していた。隆がかつらに手紙で秘密を告白する、ハリウッドの三幕構成にならえば「ミッド・ポイント」にあたるイベントだ。

 しかし私は悩んでいた。当初の予定では八馬やまに捕らわれた康史郎こうしろうを救うため、隆と廣本ひろもと、かつらと八馬が対決するシーンがクライマックスになる予定だったが、このままでは10万字に届かずに話が終わってしまう。私はイベントを増やすことで話を延ばすことにした。


 ここで最後に追加されたサブキャラクターが、ヒロポンの横流しについて調べている新田にった金三きんぞう刑事だ。新田刑事に隆や山本やまもと隼二しゅんじが協力することで、かつらたちが知らない八馬たちの企みに迫ることが出来、後ろ盾ができたのは大きかった。


 もう一つ追加したのが、かつらたちがカイとリュウの大掃除を手伝い、壊れたミシンを発見するイベントだ。ミシンの修理を通してカイとリュウがかつらたちに心を開き、リュウが女の子に戻るきっかけに繋げることが出来た。


 『一蓮托生』本編では新年会から最終回の花火大会に話が飛ぶが、3月にかつらたちが花見をするイベントを入れる予定もあった。締め切りに間に合いそうもないので飛ばしたが、もう少し時間があればじっくり考えられただろう。

 本来クライマックスに考えていた康史郎の救出シーンが第二部の山場に前倒しになってしまったことで、終盤の盛り上がりが足りなかったのではないかというのも反省点である。


 とにかく、一月の最終週は毎日ほぼ2000字を執筆して更新、最終2話は3000字越えというハードスケジュールでなんとか1月31日の締め切りに間に合わせた。完結ブーストさせようにも読者選考期間は残り一週間であり、つくづく見通しが甘かったと思う。もし再度長編にチャレンジすることがあったら、同じ過ちは繰り返さないようにしたい。


 というわけで、『一蓮托生』の裏話はひとまず終了するが、思い出したことがあれば別の章で追記する予定だ。

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