靴選び

バブみ道日丿宮組

お題:栄光の靴 制限時間:15分

 赤い靴という話を知ってるだろうか。

 自ら止めることなく踊らせられる不思議な靴を。

 赤いというのはそれが赤というわけではなく、血を意味する。

 それを作り出してるのは履いてる本人である。

 そんな靴が存在してるのであればと、僕は世界を回った。

 曰く付きの靴はそれなりに入手することができたが、赤い靴は見つからない。

 いっそのこと誰かを強制付で踊らせて、チェンソーで切ってしまえばいいか。

 はたして誘いにのってくれるような人はいただろうか。

 長らくほったらかしにしてた実家に戻ると、執事たちが驚いたがすぐに姿勢を正し受け入れた。

 家主であるのだから、当然と言える。

 彼らに給料は依然として支払われてる。

 家を守るという仕事をし続けてくれてた。

 そうだ。

 どうせなら、彼らにもっと役に立ってもらおう。

 毎夜一人ひとり、部屋に呼びつけて靴を履かせる。

 性に走ったあとでは、誰もがが力を失っており(薬を飲ませたこともあるが)、簡単にできた。

 折れ曲がったり、拗られたり、半分に裂けたりということは起こった。

 悲鳴も聞いた。

 だけど、赤い靴はできなかった。

 血が足りないのだろうか?

 彼らでは役不足か。

 人を探すことにした。

 靴を履くにふさわしい人をーー見つけた。

 孤児院に一人の少女がいた。

 まだ幼稚園に通うような幼いこ。

 少女は他のものと違って、色鮮やかに見えた。

 闇市でほんのりと輝くそんなものがあった。

 引き取るといえば、特に制限がつくこともなく引き取れることになった。

 少女は別れを寂しそうにしてたが、きちんとついてきた。

 家につくと、驚かれた。

 お金持ちだとは思わなかったらしい。

 夕ご飯を食べ終わると、一緒にお風呂に入り、部屋に呼びつけた。

 慣れない感じに恥ずかしさを持ってるのか、赤みがかった頬をした。

 少女に靴を履くようにいうと、転がってる靴を履いた。

 大きさという問題は関係なかった。

 自動収縮するような特別な力があるようで、少女の足にフィットするように動いた。

 少女は気味が悪いように感じなかったようだ。

 その場で一回転して見せて、どうかな?と質問してきた。

 これは……あれだ。

 赤い靴ではないが、素晴らしいものかもしれない。

 他の靴も履いてみてといえば、その言葉に従い履いた。

 結果は一緒だった。

 欲望が渦巻いた。

 少女が履けない靴があるとするのであれば、つまりそれは本当に特別な靴ということなのだろう、と。

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靴選び バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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