「Waiting in the rain 」4人声劇台本
深海リアナ(ふかみ りあな)
『waiting in the rain』4人声劇
男2 女2 約20分
東雲 晴(しののめ はる)♂
夏川 陽鞠(なつかわ ひまり)♀
西園寺 颯(さいおんじ はやて)♂
優雨(ゆうう)♀
※「ゆうう」が発音しづらい時は「ゆう」に変更可。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
晴:
(通話しながら)
おう、陽鞠か。今向かってるとこだ。は?
んな超速で着けるかよ、超人じゃあるめーし!
晴:
あーうるせーうるせー!
大体こんな雨の日に呼び出すとかありえねー・・
今?お前んちに行くバスのバス停着くとこ・・
あっ!ごめんもう切るわ。
晴:
(M)通りなれた歩道を曲って少し行くと、
彼女の家へ行くバス停がある。
使い慣れたこの場所で前々から不思議に
思うことがあった。
雨の日にこのバス停を訪れると、
必ずと言っていいほど出会う美しい女性がいる。
毎度バスに乗るでも濡れた長い髪を気にするでもなく
ただ立ち尽くしている。
いつか何かのきっかけで話しかけてみたいとか思ってることを知ったら、陽鞠は怒るに違いない。
−スマホの着信音−
晴:
陽鞠?しつけーなアイツ、
今バス停着いたとこだっつの。もしもし?
陽鞠:
悪かったわね、しつこくて。
晴:
うお!?なんだよお前!何してんだよ!
陽鞠:
近くに来てるって言おうと思ったのに、
途中で通話切ったの誰よ。
晴:わり。
陽鞠:
もういいわよ。とりあえず詰めて座ってよ。
時間まであと少しあるんだから。
晴:へいへい。
陽鞠:
ねえ晴、あの人大丈夫だと思う?
晴:あ?
陽鞠:
びしょびしょだよ?
髪とか服とか拭かないのかな。
もしかしてこんな日にハンカチ持ってきてないとか?
晴:
あー・・。お前、貸してやれよ!持ってんだろ?
陽鞠:あ、うん。そうだね。
陽鞠:
あのー・・ハンドタオルでよければお貸ししましょうか?
優雨:・・・・ありがとう。
晴:陽鞠グッジョブ!(ガッツポーズ)
陽鞠:何か言った?
晴:や、なんでも!
陽鞠:
あの、どこ行かれるんですか?
私たち如月町(まち)まで行くんです。
優雨:バスには、乗らないの。
陽鞠:じゃあこの雨の中誰か待ってるんですか?
優雨:わからない。どうしてここにいるのか。
陽鞠:もしかして記憶喪失!?
優雨:記憶喪失なの?私?
晴:おい陽鞠、適当なこと言うなよ。
陽鞠:ああごめん。
あの、今日はこんなに雨降ってるし晴れた日に出直した方がいいんじゃないですか?
もしよければ私の傘を貸しますよ?
晴:お前が濡れるじゃねーか。
陽鞠:私は晴と相合い傘すればいいでしょ?
晴:いや、そうだけどよ。
陽鞠:何よ、私と相合傘するのそんなに嫌なわけ?
晴:そうじゃなくて!
陽鞠:じゃあ何なのよ、一体何が言いたいわけ?
晴:あーもう!いいからお前こっちに来い!
陽鞠:え!?ちょっと何すんのよもう!
(晴、陽鞠の腕を引っ張って雨の中走っていく。)
−間−
(晴の部屋)
晴:ほら拭けよ。
陽鞠:
ありがと。・・じゃなくて!
説明してよね、さっきの事。
晴:
お前が地雷踏みまくってるような気がしたんだよ。
陽鞠:どこがよ、
至って普通のやり取りだったじゃない!ごく自然な。
晴:そうなんだけど!陽鞠は知らないから・・。
陽鞠:何の話よ。
晴:
あの人、俺がお前んち行く時 よく出くわすんだよ。
しかもいつも同じシチュエーションで。
陽鞠:いつも同じシチュエーション?
晴:そう。毎度毎度、雨の日にあの場所で。
陽鞠:え、晴れた日は?たまたまなんじゃないの?
晴:
ほぼ毎日あそこのバス乗ってるけど
雨の日のどの時間にもいるんだよ。けどそれ以外では見たことがないんだ。
陽鞠:ええ〜怖い怖い!幽霊とかじゃないよね?
晴:そう見えたか?
陽鞠:
見えなかった。いや、今となっては自信ないなぁ・・・・何なんだろうね。
晴:ただ一つ言えるのは・・。
陽鞠:なに・・?
晴:
・・・あのお姉さんはめちゃくちゃ綺麗な人だったってことだ。
陽鞠:は?
晴:
陽鞠、よくやった。これで俺はあのお姉さんとお近づきになれるきっかけを・・
陽鞠:
(食い気味に、平手打ち)晴のばかーーーーーーっ!
晴:ってーーーーーーーっ!何すんだよ!
陽鞠:
ばかなの?あんたばかなの!?
彼女の前でそういうこと言う!!?
晴:
はいはい、予想通りの反応ありがとう。
とりあえず馬鹿な俺らじゃ話してても埒があかねぇな。こういうのにピッタリな相談相手がいるじゃねーか!あいつに聞いてみようぜ。不思議オーラ全開のあのボンボンによ!
陽鞠:
一緒にしないでよ!不思議オーラ全開のボンボンってもしかして西園寺君のこと!?
私あんまり喋ったことないんだけど。
晴:
心配するな、俺もだ!
けどあいつなら俺らが考えつかないような
突拍子もないことを考えつきそうじゃね?
陽鞠:そ、そうね。
ー間ー
晴:あれ、お前ん家の車?すげぇな。
まぁいいや、座れよ。
颯:
どーも。それで?いちいち家に呼んでまで
僕に聞きたいことって何?東雲くん。
晴:えーっと幽霊っていると思う?
陽鞠:質問下手か!!
颯:そんなこと聞くために僕を呼んだの?
陽鞠:
違うの!こいつがよく使うバス停にね、
雨の日にだけ現れるびしょ濡れの美人がいるんだって!私もこの間少しその人と話したんだけど、本当はあの人幽霊なんじゃないかって。
颯:ふーん。
陽鞠:ふーんて・・・
晴:
それで、不思議系の西園寺なら色々相談乗ってくれるんじゃねーかってな。
颯:不思議系・・・颯でいいよ、東雲くん。
晴:じゃあ颯。俺も晴でいいぜ。
颯:
晴、その人って毎回雨の日に現れていつもびしょ濡れなの?
晴:
そうなんだ。自分が濡れていることを気にもかけないで、1日中 立ち尽くしてるみたいなんだ。
颯:カバンとか何かもってた?手ぶら?
晴:そういや何も持ってなかったなぁ。
颯:他には?
晴:あ、会うたびいつも同じ服だったわ。
陽鞠:それは明らかに変じゃない。
颯:
夏川さんは喋ったんでしょ?何か変な所なかったの?
陽鞠:あ、私も陽鞠でいいよ。西園寺君。
颯:変なとこなかったの?夏川さん。
陽鞠:ふえーん。
晴:
なんか颯、陽鞠に塩対応じゃね??
・・どうしたんだ?目が泳いでるぞ?
陽鞠:
とりあえず今は何でもいいや。
私が変だなって思ったのは、
なんで自分がここにいるのか分かってない様子だったこと。記憶喪失?って私が言ったら、
「記憶喪失なんですか?私。」って・・。
あ、あと素足だった。綺麗めのスカートで素足に靴って不自然だなって思ったの。
晴:あの一瞬でよく気付いたなそんなの。
颯:
女性の目線じゃなきゃわからなかったかもね。
とりあえず次の雨の日僕と一緒にもう一度そのバス停へ行ってみよう。人間にしろそうじゃないにしろ、普通じゃない事にに変わりはない。心配だね。
晴:
そうだな、頼むよ颯。やっぱお前って頼りになるわ。
ーピピッピピッと陽鞠のスマホのアラームー
陽鞠:
やっば!もうこんな時間早く帰らないとまたママに怒られちゃう!
晴:
おーそっか、今日は悪かったな。
今から急げばバスに間に合うだろうし遅れんなよ?
陽鞠:うん、ありがと!じゃあまた明日ね!
晴:おう!颯、お前はいいのか?電話しなくて。
颯:僕は男だし、···まだ大丈夫。
晴:
お前さ、なんで陽鞠にはあんな冷たいんだ?女苦手?
颯:・・・・。
晴:
お前って綺麗な顔してるくせに女の噂一度も聞いたことがないんだよな。まさか男が好きなのか?俺お前だったらアリかもしんねー・・・
颯:顔を近づけないでくれる?普通に女が好きだよ。
晴:
もしかしてお前、陽鞠に好意があってわざとあんなツンデレに・・・
颯:
デレてない。
それに僕は年上好きだし、好きな人だっているし。
晴:そ、そっか。ならいいんだ。安心した。
颯:めちゃくちゃ好きなんだね。彼女のこと。
晴:陽鞠に言うなよ?
颯:
分かった。僕ももう帰るよ。
明後日雨らしいからその時にバス停で落ち合おう。
晴:おう。またな。
ー2日後・雨のバス停ー
晴:
(M)颯の言った通りその日は、しとしととうっとうしい雨がやまなかった。時間通りバス停には着いたが奴の姿はまだなく、雨除けの下に離れて立ち尽くすのは俺と例の女性の姿だけだった。
それにしても綺麗だ。雨の雫が滴るウェーブのかかった長い髪も、長いまつげやほっそりした横顔もどこか儚げで、ついうっとりと見つめてしまっていた。
視線に気づいたのかこちらを見て彼女はゆっくりと口を開いた。
優雨:あの、なにか?
晴:
え?あ、いや。雨の日いつもいるなぁって。
ところで分かったんすか?ここにいる理由。
優雨:あなたと、どこかでお会いしたかしら。
晴:
一昨日、俺の彼女がハンドタオル差し出した時に一緒にいたんすよ俺。
優雨:あぁ。あの時はありがとう。
あの子はあなたの恋人なのね、可愛らしい子だったわ。
晴:
生意気だけどそこがまた可愛いんすよねー!
優雨:ふふ、いいわね。うらやましい。
晴:
名前、何て言うんすか?俺、晴って言います!
「晴れ」と書いて「ハル」。
優雨:
素敵な名前ね。私は優雨。優しい雨で「ゆうう」よ。
晴:き、綺麗な名前っすね。
優雨:ありがとう。
晴:ここにいる理由、まだわからないんすか?
優雨:
・・・誰かを、待っているみたいなの。
あの女の子に言われてね、やっと思い出したわ。
晴:誰かを、待ってる・・んすか。
優雨:えぇ。もしかしたら・・・
ースマホの着信音。画面には「西園寺颯」の文字ー
晴:
お?颯か。もしもし?何やってんだよ、
俺もうとっくに着いてるぞ!
颯:
『悪い。うちの車が渋滞に巻き込まれて・・
少し遅れる。例の人は?』
晴:
隣りにいる、早く来いよ。普通に感じのいい人だぜ?
颯:『晴。』
晴:あ?
颯:『僕が行くまで一人だよね?』
晴:あぁ。
颯:『気をつけて。』
ーブツッと通話が切れる音ー
晴:
何だアイツ。気にしすぎだっつーの。
(優雨に向き直し)すいません、話の途中で。
これからダチが来るんすよ!
優雨:そうなのね。なら早くしなきゃ。
晴:え?
優雨:なんでもないわ。
晴:
んで何でしたっけ?誰を待ってるのか思い出したんすよね!誰なんすかそれ!
優雨:・・・・・・おどろかないでね。あなたなの。
晴:・・え?
優雨:
あなたを待っていたのよ。あなたに会いたかったの。
晴:
けど、優雨さんって、一昨日俺と言葉交わしたばっかっすよね。
優雨:ええ。私のこと、キライ?
晴:
いや、キライ・・と言うより・・・・
どっちかっつーと。・・・でも俺彼女いるし・・
優雨:
この場所から抜け出して、
どこか遠い所へ行きましょうよ?
一緒に行ってくれるでしょう?
晴:・・・・けど、俺には陽鞠が・・・・
優雨:
大丈夫、あなたは私に着いてきてくれればいいだけ。
晴:いや、けど・・・
優雨:
もう一人にしないで。ずっと一緒にいるの。
ここから逃げて二人で遠い所へ行きましょう?
ねぇ、晴?
晴:
(頭を抱える)うっ・・・ヒ、マリ・・ヒマリ・・・・・うぅ、
・・・ヒマリってダレだ?
優雨:
ふふ、やっと・・やっと一緒になれるのよ。
さぁ、ここを出ましょう。二人で。早く。
晴:・・・ハイ。
優雨:こっち・・・こっちよ・・・・ふふふ。
陽鞠:出ちゃダメ、晴!
優雨:!!
陽鞠:
目を覚ましなさい、このバカ!(平手打ち)
晴:
ってぇ!・・ん?陽鞠じゃねぇか。
あれ?俺一体何して・・・・。
優雨:
あなたは・・どうして私たちの仲を邪魔するの?
陽鞠:
クラスの子が教えてくれたのよ。
自分の弟が雨の日バス停に行ったっきり戻って来ないって。綺麗な女の人に出会って通いつめるようになってある日突然、帰って来なくなったんだって。
あなたの事よね!
優雨:なんの事かしら。
晴:
優雨さん・・ウソっすよね。
俺をどこかに連れて行こうとしてたんすか!?
陽鞠:
それだけじゃない。この人は人間じゃないの。
晴をあの世に連れて行こうとしたのよ。
晴:人間じゃ・・・・ない?
陽鞠:
私知ってるんだから。見たんだもん一昨日の帰り。
悲しそうにうつ向いてた時、
足の方から少しずつ透けていってたの。
すぐ元に戻ったけど、あれってそういう事よね!?
優雨:・・・・見ちゃったの。
感情が溢れ出すとあぁやって実体を失ってしまうから気をつけてたのに。
晴:うっ・・・優雨さんの体が透けて・・・・・・!?
陽鞠:晴は返してもらうわ!
優雨:・・ふふ。アハハ・・
アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!
(けたたましい笑い)
陽鞠・晴:!!!?
優雨:
この人は私のものよ、必ず連れて行くわ!
あの雨の日・・・、ずっとずっと待ってたのよ。
なのにあの人は来なかった。何故かは分かっているわ。父と母が反対したのよ、そうに違いない!
だってあの人は愛してるって言ったもの。
血のつながりがあったって関係ない、二人で遠くへ逃げようってそう言ったもの!だから私はっ・・・・
陽鞠:
誰のこと言ってるのよ!
晴や友達の弟くんは関係ないじゃない!
巻き込むのはやめなさいよ!
晴:いいよ陽鞠!もういい。
陽鞠:
よかないわよ!連れてかれそうになったのよ!?
あんた。
晴:だってさ、泣いてるじゃんか。
陽鞠:え?
優雨:
じゃあ私は、いつまで待ち続ければいいの。
陽鞠:・・あ・・・。
優雨:
もう、ー人は嫌よ。
いつになればあの人は来るの。
陽鞠:ごめんなさい・・私・・。
(泣いている優雨)
優雨:(泣いている)
陽鞠:なんか・・・可哀想。
晴:
幽霊だなんて思えるかよ。
待たせたままほったらかしにしたのは何処のどいつだよ。ちくしょう、こんな綺麗な人をずっと待たせるなんて。
陽鞠:えぇ。そうよね。
颯:・・・・姉さん?どうして・・・。
晴:え?
陽鞠:西園寺君!
颯:
姉さんの事だったんだね。
雨のバス停で立ちつくしてた女性(ひと)って。
・・・やっと見つかった。
晴:は!?
颯:
遅くなってごめんね晴。
それと・・色々悪かった。姉さんのこと。
晴:
ちょっと待てよ、説明しろよ。
さっき彼女、血のつながりがとか、
父と母が反対したとか何とか・・お前・・。
颯:
僕はその人の弟だ。血の繋がった。
そして同時に彼女は僕の大切な人だ。
病弱で籠の鳥だった彼女と、小さい頃から大人の闇ばかり見て育ってきた僕と、お互いがこの人しかいないと傷を舐め合うように生きてきたんだ。
ある日父と母に見つかり引き裂かれた。だから二人で決めたんだ。駆け落ちしようって。
陽鞠:・・・西園寺君、気をつけて。
その人もう人間じゃないのよ!死んでるの!
颯:・・・え。
優雨:
・・・・颯?
は・・颯!颯っ!!
あぁあなただわ、私がずっと待っていたのは!
やっと来てくれた。
颯:
そっか・・姉さんはもう・・・。
あの雨の日、姉さんのもとへ行けなくてごめん。
母さんに捕まったんだ。
強引に僕の婚約者を決められて僕は監視されてた。
その間に姉さんが死んでしまってたなんて知らなかったんだ。これは僕の責任だ。
陽鞠:西園寺君・・。
晴:颯・・・。
颯:体の弱い姉さんを待たせて死なせたのは僕だ。
もうどこにも行かないよ。
晴:お前のせいじゃないだろ。
颯:
二人とも、ありがとう。
二人が僕を呼んでくれなかったらずっと知らずにいた。やっと、姉さんと一緒になれるよ。
晴:
待てよ、一緒になるって・・それってつまり。
颯:そうだよ。
晴:
何考えてんだよ!お前まだ生きてるだろうが!
陽鞠:
そうよ!西園寺君は生身の人間じゃない!
颯:
晴、夏川さん。
姉さんが死んだなら僕に生きる理由はないんだ。
僕たちにはね、僕たちにしか分からない痛みがある。それは簡単に消せるものではないし 二人でないと癒えない傷なんだ。
優雨:お願い。私たちはもう自由になりたいの。
何者でもなくなれば、私たちはやっと一つになれる。
幸せになれるの。
陽鞠:そんな・・。
晴:どうにも・・ならないのかよ・・。
颯:
姉さん。長い間待たせてごめんね。
ずっと・・悲しい思いをさせてごめん。
陽鞠:さ・・・颯くん!!!!
(西園寺と呼びかけようとして)
颯:行こう。
優雨:えぇ。
晴:颯ーーーーーーーーっ !!!!!
晴:
(M)そうして二人は雨のバス停を出るとすぅっと消えていった。しとしと降っていた雨は二人の姿が消えた後すっかり上がり、空には綺麗な虹が掛かった。
この虹をあの二人は見れたのだろうか。
まるで夢でも見ていたような感覚の中、
俺と陽鞠は無口でそれぞれの家へ帰った。
ーそれから、幾つかの月日が経ちー
陽鞠:
晴!早く早く!濡れちゃうよ!
あーもう、いきなり降るなんてー!
晴:
大丈夫だろこれくらい!
バス停もほら、目の前なんだし。
陽鞠:そうだけどぉ。・・・あ。
颯:ん?どうしたん・・あぁ。
陽鞠:雨の日のバス停・・・
晴:なんか、物足りない感じがするって変だな。
陽鞠:そうだね。もういないんだね。
晴:そうだな。
陽鞠:なんだろ、この心に残る不思議なモヤモヤ。
晴:あぁ。
晴:
(M)幸せの形は人の数だけあるという。
俺の大事な友人は俺たちには見えない世界で、
その人と幸せにやっているだろうか。
時々そんな話を彼女としながらあの日を思い出す。
これは、俺と彼女だけが知ってる出来事。
陽鞠:
(M)今も時々訪れる雨の日のバス停。
その場所に彼女の姿はない。
私たちは顔を合わせ、手を繋いだ。
陽鞠:(気を取り直し)ねぇ晴!
晴:あ?
陽鞠:
私たちも負けないくらい幸せになるんだからね!
晴:・・・!あぁ、あの二人みたいになれたらいいな!
陽鞠:うん!
晴:(M)空を仰ぐといつしか雨は止み、
あの日のような虹が見えた。
俺と陽鞠の「幸せ」はどんな形だろう。
お互いの疑問を同時に察して 照れくさそうに笑い合いながら、俺たちはあの空に二人の未来を描いた。
【完】
「Waiting in the rain 」4人声劇台本 深海リアナ(ふかみ りあな) @ria-ohgami
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