2022.8.26(fri)ラジオ体操
自然と目が覚める。今何時だろうと時計を見たら、まだ朝の六時だった。菜都奈はもう一度寝ようと横になったが、一度起きてしまうとクーラーの止まった部屋は蒸し風呂に感じられる。否応なしに起こされて、菜都奈はぺらぺらのTシャツにパジャマみたいなハーフパンツ、ビニールサンダルを履いてラジオ体操に出かけた。
近所の公園では六時半からラジオ体操があるのだ。夏休み期間は早起きな老人の他に、小学生で賑わっている。菜都奈も小学生の時は毎日、中学生の時も友達に誘われれば行っていた。
公園にはやはり朝から元気な小学生が続々と集まって来ている。時刻は六時二十五分。ラジオは既に流れていて、もうすぐ曲が流れ出す。菜都奈の知っている人は誰も起きていないようだ。菜都奈は公園の隅で時間を待って、ラジオ体操に参加した。
清々しい気分で静まり返っている家に帰ると、外が少しだけ涼しかったのだと感じた。止まった瞬間に熱気が体にまとわりつく。菜都奈はたまらずに自室のクーラーをつけた。
すると、いつも昼まで寝ている風輝が、菜都奈の部屋が冷えた頃に避難してきた。
どうやって気付いたのだろう。
「姉ちゃん、ここで寝ていい……」
寝ぼけている風輝はベッドに転がって寝息を立てる。菜都奈はしょうがないな、と風輝にタオルケットをかけてやる。
部屋の外では両親が仕事に向かう準備をしていた。ふんわり漂う朝ごはんの匂いに、菜都奈の胃がきゅうっと小さく鳴いた。
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