第2話 二股しないと死ぬってマジ?
2人と付き合い始めて3日たった。
これといった進展もなく、予知もなかった。
まだ二股がバレていないのは、2人に付き合っていることを秘密にしてほしい。とお願いしたからだ。
糸からは
「アンタ女々しいのね、ちょっとカッコ悪いわ」と。
ユメからは
「先輩って、シャイなんですね……」と言われた。
俺だって自慢してぇよ。
考えていると、スマホが鳴った。
ん?メッセージだ、糸から。
『ねぇ、今度の土曜日なんだけど、暇よね?』
はい、キタコレ。完全にデートのお誘いです。
糸に「暇だよ。」とメッセージを送ろうとしたその時、
ピロンっと通知音が鳴った。
またメッセージだ。相手は……ユメ!?
『先輩!土曜日あいてますか!?』
最悪だ。予定がバッティングしてしまった。
ユメには悪いが、断ろう。
『悪い、土曜日は予定があるんだ。日曜日はどうだ?』
『分かりました!また連絡します!』
ごめん。ユメ。俺は最低な人間だ。
二股をしている。クソ野郎だ。
でも仕方ないんだ。これも全部予知が悪いんだ。
2人の死因が分からない以上、下手にフることもできない。
「それはそれとして、だ。」
実は、いつデートに誘われてもいいように、プランは完璧に組んでいる。
まず近所のショッピングモールで洋服を見る。
次に映画館で映画を見る。
最後に夜景の見えるカフェでディナー。完璧だ。
あとは、これをユメにバレないようにするだけだ。
近くのデートスポットと言えば、バカでかいショッピングモールの”オゾン”しかない。つまりユメが偶然居合わせることもありえるのだ。
……まぁ大丈夫だろ!漫画じゃあるまいし、そんなの
スケジュールも考えている。
13:00 糸と待ち合わせ
13:10 洋服を一緒に選ぶ
14:00映画を見る
17:00カフェでディナー
完璧だ。
待ちに待った当日を迎えた。
朝早く起き、身支度を整える。いつもより気合いが入っているのは仕方がない。
寮からバスで15分、目的地に到着した。
まだ待ち合わせの時間ではないが、遅れるよりはいいだろう。
辺りを見回す。家族連れや同じ高校の学生が目に入る。
来てなんだが、ユメに出くわさないか心配で気が気じゃない。
万が一でも出くわしてしまったら、どうなるだろうか。
間違いなく評判はがた落ちだろう。さらし者になる可能性もある。
校内新聞の1面になってしまうかもしれない。
ありうる。あの噂好きの新聞部なら。
色々と不幸な展開を考えていると、人影が見えた。
糸だ。相変わらずスラっとしている。
同じ年ながら、雑誌のモデルをしていても何らおかしくはない。
「早かったわね。殊勝な心掛けじゃない。」
普通の服でも糸が着ていると、なんだか上質なものに見える。
「当然だろ、あと、その服、似合ってるよ。いつもよりきれいだ。」
「ありがとう。あんたは制服とあんまり変わらないわね。」
照れ隠しのつもりか。かわいい奴だ。
記念すべき初デート、今日は絶対成功させるぞ。
と、思った矢先、視界がチラつく。
予知だ。
3日ぶりの予知が始まった。
頼む、いい未来だ。いい未来が見たいんだ。
結末よ、変わっててくれ。
視界がハッキリしてくる。俺の目に入ってきた光景は―――
ユメと糸がばったり出くわしている、明らかな修羅場だった。
なんでやねん。
場所はどこだ、ショッピングモール内であることは確かだが、正確な位置までは分からない。まずい。せめて時計でもあれば――――
予知が終わった。得られた情報はゼロ。嫌な気分になった分マイナスと言ってもいい。
周囲のカップルやら家族の談笑が煩わしい。
「ちょっと、大丈夫?」
糸が心配そうにのぞき込む。
「ああ、ごめん。」そうだ、考えても仕方ない。
「そしたらさ、服買いに行こうよ。」
デートプランを始めよう。
13:10 オゾンの洋服売り場に到着。予定どおりだ。
お互いの服を選び合う、との事だが、
糸はどんな服でもに合いそうだ。
う~ん。あんまり服のこと分かんないんだよなぁ
どんな服が似合うかな~。と辺りを見回す。
まわりの女性も参考にしよう。
俺はオゾンの中にいる女性たちを見た。
上品な服、ストリート系の服、清楚な服。
うん。特にあのスポーティーな服とか似合いそうだ。
ん?あれ、おかしいな。どこかで見たことあるような顔だが――――
ユメじゃないか。あれ?
まじで?
うっそでしょ。
あ、こっちみた。手振ってるじゃん。やば。
まずいまずいまずいまずいまずいまずい
間違いなくユメだし、こっちに気付いてる。
どうする?俺の取るべき行動は――――
そうだ糸、糸を更衣室に入れよう!
一番まずいのは、二人が鉢合わせることだ。
急いで糸のもとに向かう。
「糸!この服どうだ!?」
そこらへんにあった服を適当に掴む。
「あ、レイジ……って、え!?」
「この服、糸に似合うと思うんだ!!」
と、言ったところで気付いた。
あれ、この服、妙に小さくないか?
手元を見る。
俺の手には、しっかりと、幼児用のたいへんかわいらしい服。が握られていた。
空気が凍る。目の前から氷のような殺気が迫る。
「……」
「あの。すみません。マジで、本当に。ご――
「この変態ロリコン小児性愛者!!!!!」
本気のグーで殴られた。周りがスローモーションのようになり、ゆっくりと進んでいく。
そして、遠くからユメがこちらに向かっているのが見える。
ああ
――俺の青春はここで終わってしまうんだな。
BadEnd1 "二股ロリコンクソ野郎"
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