現代人達、龍を極力狩らずに手懐ける

@izayoizuki

第1話 スラム街の元英雄

はじめに


1.前作十六夜立志伝の登場人物と設定を引き継いでます。見た方がわかりやすいです。


2.タグの通りモンスターハンターをリスペクトして書いてます、龍とか色んな物を狩られる姿が見たくないとかなら見ないことを勧めます。


これらが好きなら楽しめるでしょう、では本編











「……生きてはいる、か」


この男、十六夜月は戦争で皆を逃すべく殿を務め無事に逃がすことには成功したが、その後逃げれないと判断したため渦潮の中に自ら飛び込んだ。

その結果がこの、森の中だ。

装備はあも式バトルライフルにインペリアルオルデンのみ。

言葉は通じるかどうかわからないという始末だった。


「街を探すか……」

「!!」


赤い鱗に青いトサカ。

見ての通り二足歩行で尻尾もある。

会話など通じないのは目に見てわかる!これは敵だ!


「弾の事なんて考えてる余裕はないか……」


謎生物がこっちに襲いかかってきたがカウンターで銃弾をぶち込んだ!

しかし、全くと言って良いほど効いていない!


「マジかよ!?インペリアルオルデン使いたくなかったが!」


十六夜月は咄嗟にインペリアルオルデンを構えシールドタックルをする。

しかし相手の力の方が遥かに強い!

これでは埒があかないと十六夜月はインペリアルオルデンで謎生物に叩きつけた!


「嘘だろおい!?インペリアルオルデンの刃が一発で折れた!?」


あのダマスカス鋼を使ったインペリアルオルデンが使えないとなるとさあもう勝ち目はない。

十六夜月は死を覚悟した。

その時だった!

閃光が瞬き謎生物は目眩を引き起こしてる!


「………!!」

「何て言ってるかわからねえが行くしかねぇ!」


こうして、謎の女性に助けてもらいつつも言葉が通じないためぎくしゃくした中行くのだった。


??? ベースキャンプ


「………」

「5枚の紙?」


5枚の紙を見たが何とか読めるのが1枚あっただけだった。

場所の名前は『ホムラ』と読むらしい


「……」

「なんか扱いに困るなーって顔やめてくんない?」

「ウェ!イッカイ!エウケ?(これが迷い込んだ一般人か?)」

「ユヘ、マスタキナ。ハアケホムラ(はい、ホムラ語を喋ってるので)」

「……あっあ、これでどうた?」

「言葉が通じたあああああああああ!?」

「驚くのはそこからか……まぁいい、君は今危険な場所にいる。ここは大量のウメスがいて一般人は入れないはずだ。なぜ入ってこれた?」

「そもそもここどこだよ、渦潮に飲み込まれて死にかけたんだよ」

「水龍の仕業で吹き飛ばされた被害者かはたまた……緊急事態だ、これを」


そう言って騎士の格好の男性から2本の短剣を渡された。


「なるほどね、双剣ね」

「見た感じなぜ君はジェネラルバルドを持っている?」

「それもう壊れて使い物にならないから研究するなら持ってっていいよ?」

「……何を考えてるかわからないな、君は」

「さて、安全な場所と言葉が通じるとこまで連れてってくれるなら仕事手伝うが?」

「……今は緊急時、仕方ないハンター適合試験として認めよう、ウメスを5体狩猟せよ」

「あの赤い鱗の奴ね」


こうして、異世界オワタ式リアルモンスターハンターが始まるのだった。


???


「さっきの恨みじゃおらああああああ!」


十六夜月は、何故か鬼を纏ったかの如く暴れまくってた。

素質があったのかもしれない、十六夜月はまさしく風のような速さでウメスを切り刻み、蹴飛ばし、軽く2頭を狩猟した。


「次はどいつだ!ああ!?」

「(鬼神化している!?本当に一般人なのか!?なんの加護がらついてるんだ!)」

「!!!!!」

「デカそうな奴が出たな!殺す!」

「待て!くっ、鬼神を制御出来てないのか!?」


ウメスより2倍の大きさ。

まさしく長といった感じだった。

しかし十六夜月は我を忘れて突撃している!


「ギャギャ!」

「取り巻きか!」

「死ねや!」


風のように舞い、雑魚を蹴飛ばしウメスの頭蓋骨を粉砕しながらオサウメスに突貫する!

しかし、急に十六夜月の動きが鈍くなった!


「なんだこの疲れ……動けねえ……」

「鬼神化の影響だ!鬼神を宿してる時は超人的力を発揮するがスタミナを消耗する!スタミナ切れだ!逃げろ!私があとは相手をする!試験は合格だ!」

「どうやら、逃してはくれなさそうっすよ?」


みるみるうちにウメス達に囲まれていく。

その数、約25頭。


「これを飲め!一般人には使わせたくなかったが!」

「……まずっ」

「いいから飲め!」


飲み終えた途端にいきなりスタミナが回復していくのを感じた。

これなら動けると十六夜月は双剣を構え始めた。


「私はオサウメスを倒す、雑魚を引き寄せないでくれ!」

「あいよー!」

「ウォ!ゴメット!(援護します)」

「オーウェンイフフォ、ウェイン!(君は私と一緒に!)」


十六夜月は精神を研ぎ澄ませ、双剣を構え今度は静かにウメスの首を掻っ切った!


「(鬼神化の性質がかわった!?そんな事が出来るのはホムラの里でも上位以上のハンターのみ!奴は一体……)」

「汝、己の弱さ悔いるがいい」


十六夜月のイメージはただ一人の猛将をイメージしていた。

蘭陵王を、体にイメージしそれを双剣を使ったなんか勝手に憑依というかそんな動きになっていた。

原理は十六夜月には全く知るよしもなかった。


「耐えれるものなら耐えてみよ!」

「クォークアフェン!?(空中演舞!?)」

「ヲッエッイッ!?アッフゥオエッアエイッ!?(何だと!?本当にやつは何者だ!?)」


空中で横回転しながらウメスの大群を切り刻んで行く。

まさしく、鬼神だった。

その間にもオサウメスは戸惑いを隠せず後ずさりを見せていた。

そんな中謎の火器の徹甲榴弾が頭に突き刺さる、そして時間差で爆発した!

オサウメスは完全にフラフラになってスタンしていた!


「弱ってるようだな」

「シビレ罠を使う!」


直後足元にしかけられた罠がオサウメスの体の自由を奪った!

それを見て謎の女性が手投げ弾でオサウメスにぶつけ眠らせた!


「終わったか」

「試験は合格通り越して君は一体何者なんだい?鬼神化を使いこなすなんて本当に人なのかい?」

「私に言われても知らんよ、この世界知らんのやぞ」

「……100年に1人の逸材だ、是非ハンターになって頂きたい」

「で、安全な場所と食事は?」

「ああ、このウメス達を剥ぎ取りしてから行こう……これだけ狩れば少しは落ち着くだろう」


こうして剥ぎ取りすること2時間

全て剥ぎ取りが終わりキャンプに戻り戻りが来るまで待機する間に説明を受けるのだった。


「ここはグランデ大陸といって多数の陸に覆われた地続きな場所だ、人々は自然と共存して生きていき……魔法と技術と両立して生活をしている」

「完全異世界やん、異世界チートなろう物やん」

「……話を戻そう、そんな中君は狩猟祭といった中で武器はあったが抵抗できずに助けられなかったら死んでた状況で何故いた?」

「君ら水龍といってた影響じゃない?」

「……本当に渦潮から来たのか?」

「うん」

「なら間違いない、古龍エンシェントドラゴンの仕業だ」

「モンハンらしくなってきた」

「君が戻るにはまず同じ状況の再現だが、まず無理に近いだろう……残念だがこの地で骨を埋めてくれ」

「知ってた」

「次に、君の戦闘能力から間違いなくハンター確定だ。その為ホムラ語以外の共通言語の『ハンター語』を覚えてもらう。まぁ翻訳ネコはいるが下位でそれを雇う余裕はないだろう……。」

「猫の種族はなんていいます?」

「ネコ族だが?」

「まんまシンプル!」

「あとは君は1ヶ月勉強と鍛錬漬けだ、ハンターの基礎をギリギリまで叩き込み緊急的にハンターにする」

「どんだけ切迫詰まってんだよ」


そうこうしてるうちに見覚えのあるのがやってきた。

台車に二足歩行するネコが2匹、モンハンのネコタクであった。


「違約金として翻訳兼オトモネコを雇えニャ」

「丁度いい、ハンター候補生につけよう」

「……どんな子?」

「ネコ族なのに人形態によくなって人と結婚したいとか言う夢見がちな奴ニャ」

「厄介払いって言わないそれ?まあいいや連れてきて」


そうして連れてきたネコ娘。

縞ネコらしく尻尾とネコ耳は縞々でそれ以外は小さめな人ていうこれ本当にモンハンの世界じゃないんだと実感する事に。


「よろしくお願いしますニャ」

「多分新人ハンターになります、よしなに」

「名前はどうしますニャ?」

「アイルーにしよう」

「(アイルーってなんだ……?)」

「アイルー……!なんだか知らないけど嬉しいニャ!」

「んじゃあ帰りましょ」


翻訳兼任のオトモネコを連れてネコタクでガタゴト居心地悪く帰ったのだった。


その間の移動3日間で言語勉強をさせられたが、十六夜月はパンクしそうになりながらなんとかマスターしたと言う。


ヴェルチ村


「相変わらずいつ来てもひどい村だな……」

「何にもねえ……」

「あ、言葉覚えたなら私のいってることわかりますよね?」

「あ!助けてくれた女性!ありがとなー」

「いえいえ」

「これから君の所属が決まるまでこの村のハンターだ、鍛錬と勉強のために先輩ハンターたちもオサウメスのもっと強い個体とかを狩に来たりするからその暇な時間に君は勉強をしてもらう事になる」

「いや、何するんさ具体的には」

「まぁ、勉強が終わったら村の依頼を受けてくれ。生活もあるだろうし」

「私は暫くここで金策と錬金素材集めでオサウメスを狩ってるので」

「あー完全にモンハンね理解した」


そんな中、一人不思議な女の子が十六夜月に鍵を渡した。


「仮宿、使って」

「?」

「……君はもう少し人と仲良くしなさい」

「基本ソロだから、じゃあ」


そう言うと女の子は村の出口に待たせてあったネコタクに乗って行ってしまった。

何だったんだと考える暇はなく、十六夜月は食事のために加工屋を探すのだった。


ヴェルチ村 加工屋


「特例新人か、防具なしで狩猟とか正気じゃないな!」

「やりとうなかった」

「で、食いつなぐには仕事するしかないぜ?」

「鉱石掘りの依頼とかない?」

「お前普通のハンターならやりたがらない仕事やるんだな、なら魔術琥珀まじゅつこはくを取ってきてくんないか?あれ加工して売ると村の大事な収入なんだよ」

「どんなん?」

「こんな奴」


見た目は綺麗な琥珀だった、樹液だまりを掘ればすぐわかるだろう。

しかし十六夜月でも分かった、並々ならぬ霊力とかを感じると。

十六夜月は戦国時代では隠してはいたが霊的素質を持っておりその力を媒体さえあれば引き出せるのだった。


「普通の琥珀と違って青いから分かるはずだよ、んじゃクエストとして貼っとくから」

「あいよー、アイルー仕事じゃけ」

「分かったニャ」

「おや、アンタのネコ人形態にさせてんのか……珍しいね、普通ネコはネコ形態が多くてね。普通は人形態になりたがらないんだ」

「アイルーだからな、うちのは」

「信頼してるなあ」

「ご主人、僕も新人だからまだ期待されても困るニャ……」

「一緒に強くなればいい」


そう言って、十六夜月はネコタクに運ばれる事5時間、そしてベースキャンプで寝て朝から魔術琥珀を探しに密林に来たのだった。

村の特産品集めとかのため依頼金は不要だった。


「支給品はと……回復薬4つにカロリーメイトみたいな奴3つにピッケル1本、更には支給用肉焼きキット?こんなんで焼けるんか?」

「ご主人、名前そういや聞いてなかったけどなんて言う名前ニャ?」

「十六夜月」

「ここら辺じゃ聞かない名前ニャ、後狩猟のルールとして小型生物は狩り過ぎちゃいけないニャ」

「気をつけんとなー、いくかー」


密林 エリア5


「青い樹液だぁ、これ掘るか」


掘れば掘るだけみるみる魔術琥珀が出る。

ここら一帯は魔術琥珀の産地なのだろう、そのため一杯出た。

ある程度掘る事2時間、指定された分は集めきったのだった。


「さて、鉱石探すか」

「確かに武具防具のために鉱石はいるニャ」

「アイルー、まだ持てるか?」

「お腹は空いたけどポーチは余裕ニャ」

「これ食う?」

「いいのかニャ!?それはご主人の!」

「いや、きのみあるからそれ食う」

「それは弾薬用木の実だに……!?」

「硬い、だが食えないことはないし普通に味付け次第じゃうめぇなこれ」


十六夜月、弾薬用木の実をバリボリ食う。

アイルーからしたら異常な光景だった。


「……ご主人大丈夫かニャ?」

「多分これ油で揚げたり粉にして砂糖入れて卵いれて焼いたらもっとうめえな?」

「……食には貪欲みたいニャ、ご主人の食事だけは奪わないようにしないとか僕がクビになるニャ」


木の実を食べつつ鉱石と魔術琥珀を掘ってたらすっかり夜へとなってたのだった。

依頼の魔術琥珀を支給品ボックスに入れて帰りを待っている間、十六夜月は拾った木の実を焼いて待っていた。フライパンの上に木の実を乗っけて肉焼きキットで焼いて。


「うん、ゆっくり火を通すと柔らかくなる!逆に瞬間的に熱を加えると金属より硬くなるわ。食えたもんじゃない」

「ご主人よくそれを自分の胃袋で試そうと思ったニャ」

「木の実だけで腹一杯なりそう」

「食用じゃない木の実を食うのはご主人だけだと思うニャ」

「家帰ったら調味料借りて作ってみるか、金ないし」


こうして、平穏無事に初クエストは成功したのだった。

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