第4話 爆乳お嬢様とご就寝
『劇場版:シン・本当にあったこわぁ~い話』の鑑賞を終え、お嬢様と俺は宅内のIMAXシアターを後にする。
「大迫力でしたね、お嬢様」
「……」
「やはり映像がきれいだと、怨霊たちのリアリティが違うというか」
「……」
「まさか序盤でお焚き上げされた呪いの人形が、成仏のお礼に空からドロップキックをかまして最後の怨霊を倒すとは。お嬢様のご学友がお勧めするだけあって、とてもおもしろかったです」
「……使用人」
お嬢様が細い声を出す。そういえば、上映終了後から何ともテンションが低いようだ。
「今日、残業してくださるかしら……?」
「はい?」
「無理なら無理と言ってくれて構いませんわ。とても、個人的な用件ですので」
「い、いえ。ぜんぜん大丈夫ですが……」
……別に無理じゃないし嫌でもない。とはいえめずらしいな。残業を頼まれるなんて1カ月お嬢様の乳持ち係を務めてきて初めてのことだ。
「それで、なにをすればよろしいでしょうか?」
「今夜、私の側から離れないでいただきたいんですの……」
「へっ?」
「こんなっ、こんな怖い映画を観たら今日はひとりで眠れませんの! だから今日は朝まで私といっしょにいてくださいましぃ! うぅぅぅっ!」
映画の内容を思い出して恐怖メーターが振りきれでもしたのか、お嬢様が俺の腕にしがみついてくる。
「お嬢様……ホラー苦手なんですね?」
「う、生まれて初めて観ましたわ。まさかこんなにも恐ろしいものだったなんて……」
お嬢様の足は小鹿のように震えていた。
「……分かりました。お嬢様に付き添わせていただきますね」
「感謝しますわ。明日代休を取っていただいて構いませんので……」
お嬢様、雇用契約に関してはどんな企業よりもしっかりしている。どこに出しても恥ずかしくないコンプライアンスだった。
俺はお嬢様を洗面所へお連れして歯磨きをいっしょに行い、トイレにも付き添い、万全の体勢でお嬢様の自室へと戻った。
「さて、それでは今日はもう寝ることにしますわ」
「はい、おやすみなさいお嬢様」
ベッドに横になったお嬢様の体にプレミアム羽布団をかける。
「使用人、なにをしていますの?」
「え?」
「貴方も入るんですのよ?」
お嬢様が布団をめくった。
「朝まで付き添ってくださると言ったじゃありませんの」
「え……はい。ですので、私はこのベッドの横で待機をしようと思っていたのですが」
「夜の間中そうしていて、風邪を引いたらどうしますの?」
「でも、仕事ですから……」
「何を言ってますの! 貴方の健康が一番大事ですわ。さあ、私の隣へいらっしゃい」
「は、はい。それではご厚意に甘えさせていただきたいと思います」
俺がそう答えるとお嬢様は微笑んだ。
……使用人想いのお嬢様だな、本当に。
俺はいったん自室へと戻り着替えを済ませてから戻ってくる。そしてお嬢様のベッドへ、お嬢様の隣へとお邪魔した。
「さて、それでは眠りますの。怖いので灯りは夕方にしますわ」
手元のリモコンを操作して、部屋が二段階ほど暗くなる。暗いオレンジ色の光が部屋を満たしていて、目を凝らせばすぐ近くのお嬢様の顔くらいは見える程度だ。
「おやすみ、使用人」
「おやすみなさい、お嬢様」
目をつむって少しして、パキリとどこからともなく音が響く。
「きゃっ⁉ い、いま音がっ⁉」
お嬢様がビクリと大きく肩を震わせた。
「さ、さっそく怪奇現象ですわ……うぅぅ」
「お嬢様、ご安心ください。ただのラップ音でしょう」
「ラップ音……? 本当ですの……?」
その場はお嬢様を信じさせることができたが、しかし。お嬢様の恐怖の夜は幕を開けたばかりだった。
「う、上の部屋からドンドン音がしますわ……空き室のハズですのに!」
「お嬢様、ご安心ください。別の部屋や廊下の音が
「お外のバルコニーから『コーン』って鉄を叩く音が! 誰かがいますわ!」
「冷却収縮の音でしょう。昼間に熱膨張した金属が冷やされ
「得体のしれない『コォーコォーコォー』っていう息遣いが聞こえますのぉ!」
「ただの空調の音です、お嬢様」
「天井に人の顔が!」
「シミュラクラ現象です」
お嬢様は暗闇から訪れる恐怖になかなか寝付けないようだ。
「あ、足をお布団の中に引っ込めなくては……ガッと足首を掴まれてしまいますの……!」
「誰にですか?」
「使用人、私の上に誰もいませんわよね? 誰も私のことを覗き込んでませんわよね? 怖くて目が開けられませんの~~~!」
「誰もいませんよ」
「も、もうダメですわ! 恐ろしさのピークですのっ!」
お嬢様はそう言うやいなや、体を勢いよく起こすと俺の頭をガバっと抱きすくめた。
「むぐっ⁉」
「怖くてどうにかなりそうですわぁ~!」
お嬢様の爆乳が俺の顔面へと押し付けられる。しかも、
「オバケさん幽霊さん全国の怨霊さん、もう許してくださいましぃ!」
「おっ、お嬢様、落ち着いて……」
「これからはもっと良い子にしますのぉ~! 学食の高級プリンの買い食いもやめますのぉ~! だから私を見逃してくださいましぃ~!」
お嬢様は半狂乱だ。半狂乱で爆乳の谷間へと俺の顔面を挟みこんでくる。
……ヤバい。ムラムラする!
お嬢様の香りと柔らかな爆乳のダイレクトな感触に、俺の性欲が刺激されアソコがバキバキに
……イカン、このままでは間違いが起こる!
とっさに、俺はワシッとお嬢様の乳を掴んで揉みしだく。揉んで揉んで揉みまくる。
「性欲なんかに……負けてたまるかっ!」
──もみっ もみっ もみもみもみっ!
両手に伝わるいつもの爆乳の感触。それが、俺の内なる『乳持ち係』としてのプロフェッショナリズムに
「ン、はぁんっ! こ、これは……!」
お嬢様が我に返った。
「使用人、これはいったい……!」
「お嬢様、落ち着いて私に体を委ねてください。お嬢様が見出したこの『乳持ち係』の私を信じてください」
「……! わ、分かりましたわ!」
乳持ち係の使用人、完全
──もみっ もみっ もみもみもみっ!
「んっ、あぁ、イイ……!」
──もみっ もみっ もみもみもみっ!
「体が……羽のように……軽く……」
──もみもみもみもみもみもみもみっ!
「……zzz」
お嬢様は眠りについた。
「ふぅ……乳に特定の刺激を与えることによって生み出される『オキシトシン』。これには
俺は額に浮いた汗をぬぐう。乳持ちミッション、コンプリートだ。
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