強制テンプレ〜テンプレは強敵すぎる

寝る人育つ

強制テンプレ〜テンプレは強敵すぎる

「なあ彩人父さん再婚することにした」

「は」


朝っぱら、父から言われた第一声がそれだった


(何を考えてるの)


そもそも父さんもう大丈夫なのだろうか?


「あ、いや何でもない。おめでとう父さん」

「否定しないのか?彩人が駄目って言うなら、この話はなかったことになるからな」


そんなことできるわけがない


そう言いたい。でもここでそれを言うとテンプレになってしまう気がした。ならここは…


「否定?否定はしないでも。認めはしないか、な…」


ハハハッ


そう笑って見せると、父さんは目を細め僕をみやった


「そっか…ほんとにいい子彩人は。誰に似たのやら…でもありがとう」


父さんは一瞬悲しい顔を見せたかと思うと、すぐに明るい声と顔を作った


(解せぬ)


少し冷たいかもしれないが、別に父さんが再婚しようが僕には関係ない。少しはあるのか?まあ父さんには男で一人で僕をこの年まで育ててくれた…感謝はしている


「はあ、父さんが幸せならそれでいいよ」


僕を育てるために、夜遅くまで育ててくれたんだ。それくらい別にいい


それに…父さんがそれでいいなら、僕は父さんを応援する。前にも進んでほしい


「そう、ありがとう」


もう一度“ありがとう”と口にして、この話は終わっ……

「ところで話は変わるが」


今度は神妙な顔つきになり父さんは


「今日の朝。つまりもうすぐその再婚相手とその娘さんが、この家にくる。実はもう父さん再婚してる」

「は」


うん、待ってほしい。これはどうだろか


朝起きて父さんの第二言目がこれである


厳密には違うだろう。でも、ぶっちゃけこれは二言目と言っても過言ではない


みんなはどうだろう。朝起きて、親から再婚することになった、そしてもうすぐくると言われた経験が過去に何度あるだろうか!


いや、そんなものはない。俺が世界で初だろう。


もちろん再婚の話を朝起きて一言目、朝に再婚相手とその娘。つまり新しい家族がくる。どちらか一方ならまだあり得る。体験した人もいるだろう


だが!今回はどうだろう、朝起きて再婚話。そしてその再婚相手とその娘さんが今すぐにくる。さらに言うなればふざけるな!


ハアーハアー落ち着け俺


「で、父さんどう言うことか説明してくれるよね」

「ヒィ」


いかんいかん余りある殺意が漏れ出たようだ。平常心平常心


「はあ、怒ってないからさっさと説明。」


父さんの顔は見る見る青ざめ、恐怖の顔へと見違えた。若干涙目?


男の涙目とか、誰得?誰も得しないな。それも、いっちゃなんだが中年のおっさんだ。



まあ怒ってない。怒ってないに関しては本当である。俺は単に目の前の生物に殺意が沸いただけだ


それに心の準備がまだ出来てないって。娘…はあ~これが小学生や幼稚園児とかならいいが…そんな都合よくいかないのが世の摂理


べ、別にロリコンとかじゃないんだからね!


あ、キモッ


男がやると、吐き気がするね!!じゃなくて…俺はロリコンではない、つまり言いたいことは年頃の女だと、色々とメンドイ


どう転ぼうが…だって、だって。俺はテンプレをぶち壊したいから!


親の再婚で同年代の子がくる。まんまテンプレじゃん、俺はまだ学園に入学を控えているから。学校一の美少女ってのは出てこないと思う…だめだこれ以上はフラグでしかない…


つまり、テンプレにより好きになられようが。普通に嫌われようがどちらにせよめんどくさい。


なら無垢な小学生、幼稚園児とかが良い


ちなみに小学生は無知、だよね?そこは信じたい…


「い、いやー言うに言えないって言うか…なんと言いますか…」


ふむ、ぶったたいても良いかな。やべー右腕が勝手に上へと上がって…


ピーポンピーポン


「あ!ほ、ほら来たよ。さっき言ったでしょ。朝に来るって」


父さんは先ほどの恐怖に染まった顔から一転して、嬉しそうにスキップしながら玄関へ向かって行った


(なんともテンプレな。やはりテンプレは強敵だ)


テンプレッ殺!!



ややあって


周囲を見ると、俺と父さんそして美人に美少女二人。計三人の女性が存在した


「紹介しよう、こちらにいる方が僕の再婚相手の美紀子さん」

そう父さんが腕を動かし、美人の女性に腕をさした


「彩人君えっとごめんね。それとこれからよろしく」


俺の思った感想。うん、なんで父さんみたいなさえないおっさんを選んだのかなぞである。


それになぜにここまで若作り?正直子ずれ、それも俺と同じくらいの娘さんを生んでいるような年齢には見れない。高校生は難しくても、大学生と言われると普通に納得いく見た目だ


いや、ほんとに父さんはなぜここまでの美女を捕まえたのか。なぞだ、これはミステリーサークルよりなぞ。確率で言うなれば、ズバリッッ!!!天文文学なみだな


すまん、ミステリーサークルと、天文文学に失礼だったわ


とりあえず、父さんを睨んでおく


ピック


父さん少し肩を揺らしたな。これは少し、いやかなり楽しいかも


「ああ、そう言う事ね。ちょっとあなた彩人君にまだ言ってなかったの?」


うん、やはり常識人です。そして察しがいいな


「はあ~もういいよ父さん。えっとそれで名前は。俺の名前は彩人。」

「これはご丁寧に、先ほど紹介に預かった美紀子です。それでこちらが長女の春奈と次女の秋奈。ほら挨拶して」


「春奈です。今は高校3年生」

「秋奈はね高校2年生!!でねでね、趣味はね~お昼寝とご飯!!彩人君は何年生?」


む?ほんとに姉妹か?性格が違い過ぎる。てか二人とも年上じゃん


え、なに怖。例の話早めよ


「俺は高校1年。とはいってもまだ入学式になってないから厳密には中学三年生になるのかな?」


「へえ~彩人君は今年から高校生か、上手く行けば全員同じ高校で三人で登校することになるかもね!♪」

「そうだといいかな…」アハハ


まあないけど。俺はぶっちゃけハイスペックである。普段は髪を伸ばして陰キャとして生きているが。家では普通に上げている。つまり見た目は普通にイケメンの部類だろう。


勉学も一度見たものや聞いたものは忘れない体質だから問題ないし、運動も普段していないがそこらの運動部ではまず勝てないだろうぐらいには、運動神経も抜群


では社会的地位は財力は


それに関しては問題ない。俺ってぶっちゃけると父さんより稼いでいる。まあ父さんは知らないけどね


投資やFXなどでかなり稼いでいる。そして地位であるが日本の大統領になら、会おうと思えば会えると、だけ

ちょっと脱線したが。つまり、だ


俺は受験勉強とかやってる振りをして、遊び日本でも屈指の進学校に合格したのだ。そこらの女性ではまず入れないだろう。


それに、先ほどもチラリと話したがあの話…俺その高校の近くにマンション建てた。そこで住むつもりでいる


だから無理なんだよな。この家から通う?普通に行けるかな。だって家から一番近い場所を選んだから。それでも電車で30分ほどの距離だけど。別に田舎ってことはない、近くに大学は存在する。でもなぜか高校だけが存在しないだけ


って、また話がそれたな。つまり


「話はまとまったな。じゃあ今日からここで家族5人で暮らすぞ~と言いたいところだが、父さんは海外出勤が明日からだ」

「は」


うん、ぶんなぐって良いかな?いやほんと、黒いオーラが駄々漏れである


「ふー」


俺の体の制御が抑えきれない。体が勝手に


俺は歯をかみしめながら、にこやかに立ち上がり父さんの方へ歩いていった


「ひぃ。す、すまん許してくれ」


ついにはどけ座である。親のどけ座とか見たくなかった


「はあ、それで父さんが海外に行くのは分かった。なら美紀子さんも…」

俺は美紀子さんに目線だけやるとコクリと頷いたので間違いないだろう


「はい、私も恵一さんに付いて行きます。すみません…」


はあは、父さん何を考えているのだろうか。何も考えてなかったのか、本来はまだ先の話だったか。それでも事前に話しとけよ。報連相…社会人の常識


はあ


俺も今から言いたいことを言うと人の事言えなくなるけど……俺は社会人じゃないしノーカンだよ!!………明日までだめって用。そして置手紙とともに逃げよう。よしそうしよう!!


「ああ、美紀子さんが誤ることじゃないよ。悪いのは全部父さんだから…」

「それでもごめんなさいね。ほんらいなら海外出勤も一週間ほど前には行かないといけなかったのだけど。この人が…それに彩人君に私たちを紹介するのは一月ほど前には済んでいる話だったの。恵一さんの都合が悪い、と先送りに………」

「ちょ、それ言わない約そ……」


これはもうだめだ。消そう今すぐ消そう


「そっか」


もうこれ父さんに感謝の念とかわかないわ。これ父さんには“さようなら”がお似合い、誰かに刺されて〇ね!!全く何、都合が悪いだ。絶対後回しにして打だけだな


はあ


「わ、わたし彩人君に会えるの楽しみにしてたのよ!!恵一さんったら彩人君の話をする時すっごく瞳を輝かせて物凄く可愛かったの。その時の話ていた時に想像した以上に可愛いよ彩人君は!やっぱり恵一さんの子供だって思ったよ!」


父さんのフォローしているのか。腕を動かしながらも、俺を説得するかのように話。あわあわ、としている


これじゃあ俺が悪役だな…


「そっか、わかったよ。それで海外行くなら準備とかって…ん?」


そうだったのか、「旅行に行くぞ」と前日にまた・・言われるかと思った、あの・・荷物は海外出勤の荷物だったか…


「そのことなんだが…」

「はあ~もういい。言わなくても想像できるから」


俺は思わず頭を抱えたくなった


(わっかりにくいんだよ~~~)


父さんからしたら、普段の前日まで旅行の話を伏せたサプライズ(毎回気づく)なのかもしれない。でも、隠しきれずわかりやすいから。どっちかわかんねーだよ


はあ~いつ来るか分らんから。春休みの予定全部開けて朝になっても何も言わなければ、予定を作るって感じでやってたけど気づかいしなければよかった


「え、そうなのか」


いっそ言ってやろう。テンプレなら言わないだろう。でもこれは言ってやるのが本人の為ってもんだ


「父さん…」

「なんだ」


俺が神妙な顔つきで父さんに話を切り出すと、父さんは雰囲気を読み取って返事をした


「隠し事はもっと上手くやってくれ」

「?」


全く効果ないなこりゃあ


「まあいいや。取り合えず父さんが言いたい事をまとめると」


・「再婚する事にした」と言いながらも、もう再婚していた

・再婚相手には二人の姉妹がいる

・今日から一緒に暮らすが、明日には海外出張し、美紀子さんもそれについて行く


「で、良いかな」

「ああ、間違いない」

殴り飛ばすぞ


「頭痛くなってきた。出かける、夜には帰って来るかも。夜ご飯は要らないよ」


一度自分の部屋に戻り着替えることにした。何せ俺もつい先ほどこの家を父さんと美紀子さんが出て行ったら、新築マンションに逃げると決めたからな。まずは家具と書置き作成しないと。


まあ、書置きに関しては適当でいいけど。家具は早めにいかないと明日までにそろわない。床で寝るとかいやだからな


ややあって


「ちょっと待ちなさいよ」


俺が自分の部屋に入ろうとしたときである春奈が俺に話かけてきた


「どうした」

「あなたさっきの言い方はないんじゃないの、実の親に向かってあの態度は…」

「別にいいよそう言うの、あなたの考えと俺の考えが一致しないだけ。人に自分の考えを押し付けるだけだと面白くないよ」じゃあな


そうして俺は部屋の中に入ろうとするも。っサ


ドアを足で止められた


春奈は俺の部屋に入り「フン、汚い部屋しっかり掃除しなさいよ」なぜ入ってくる


「こんな汚い部屋に住んでるの、信じられない。私なら絶対に住めない、いえ入ることすらできないわ」


じゃあなぜ入ってくる。いや理由は何となく分かるけど


だってこいつ俺に惚れてるよな、いや真面目にな。俺が父さんを心の中で罵倒をしている中。次女の秋奈は家の周辺を見ていた。それに対して春奈はどうだろうか、一辺自己紹介も冷たいようだが、ずっと俺の事を見ていた。最初はな何か気に食わないのかと思ったよ。だけど殺気が感じない


今もそうだ罵倒はしているものの、本音を言っているようには見えない。まあ一部は本当のことを言っているようだが。汚い部屋って部分は嘘だろう


目の動き唇汗に呼吸、そして分かりにくいが心拍数など


普通に見れば分かりやすい。ドアの前で話しかけられた時に何となくわかった


あ、こいつ俺に惚れた。もしくは興味をもった、と


まあなぜ先ほど惚れたなと言ったかというと。


(夢は大きく持とう、だ)


「で、何の用。俺これから忙しいから手短にして。俺は父さんの再婚は認めたけど、あなた達とは表向きでしか仲良くするつもりないから」


よし来たこれで、これ春奈のフラグは叩き折ったも同然。これ春奈がドⅯでない限り


とりあえず、テンプレ突然の再婚でできた姉妹での恋愛系のテンプレは折れただろう。


秋奈に関しては大丈夫だろう、俺に友好的だがその好意は恋愛ではなく家族や友人におくるそれであった。人間としても秋奈のほうがずっと楽にすごせる


まああと一日の関係だけどな!


「お、表向きですって!い、いえそう。それはいい考えだわ、これから私に関わらないで。美少女が家族になったからって、お近づきになれると思わないこと」


うん、ツンデレだわ。めんどくさい


心にも無いことを言って何かメリットがあるだろうか、いやないただただ自分の主張が相手に伝わることなく終わるだけ。まあ俺は最初からそのつもりだったから別に問題はない


今だけはツンデレも話が早く終わるからいいのかもな

ツンデレってほめれば、満足するからとにかく肯定してやればいい


「ありがとう、助かるよ」

「え」


「いやー最初『あなたさっきの言い方はないんじゃないの、実の親に向かってあの態度は…』なんて言ってたから。家族は大切にする人かと思ったけど、同じ考えで助かったよ。

君とは馬が合いそう」


「フン、勘違いもほどほどにしなさい。馬が合う?どの口が言ってるのもう言い、とにかく私に話かけないでよね!」

「…」

「なによ、何か言ったらどうなの」


(め、めんどくせー)


話しかけるな、というから話しかけなかったら。今度は返事ですか…これがツンデレ


まあデレがないツンだが。デレ隠すの上手いな、女優になれるぞ。じゃねーよ


「わかった、出てけ」


はあ、かなり時間を取られた。世の主人公よこのツンデレでのストレスはどこで発散しているのかどうか教えてください


「はあ~私みたいな美少女に向かって“出てけ”ですって」

「出て行ってください。お願いします」


「もう怒りました、許しま…ってちょ何脱いでいるのですか」


もう、ね。無理


無視しよう。無視しかないわ


とりあえず着替えよ、パジャマじゃあ外に出られないし


このパジャマも今日から使わなくなるのか…持っていくか?いや無理だな、俺友達いないし直ぐにばれそう


やはり手ぶらが一番だな


「えーと…あ、あったあった」

「ちょ、あなた何で無視するの?ねーってば」


自称美少女が何かを言っている。無視無視


「父さんちょっとじゃあまた夜に」


何かがついて来ているような気がするけど気のせい気のせい



ややあって


今は隣町に来ている。もしもの時のために、な


まあストーカみたいな奴がいるけどきにしないっと


それから俺は様々な日需品を購入した。いよいよ電化製品だな、これが終われば椅子・机そしてベットなどを購入したらマンションを下見して終わりかな


あ、夕食何にしよ。久しぶりに焼き肉?一人って悲しいな…


いや気にしてもしょうがない


よし、行くか



Side:春奈


あいつ何を考えているの。思わずつけてきたけど


日需品はまだ分かる。でも電化製品はおかしいでしょ、学生で買いにってのもそうだけど今日はママと新しいパパが再婚をして祝うのじゃないの?


明日からいないんだから今日じゃなくてもいいじゃない


話を聞いていたら、再婚の話は初めて聞いたらしいし。何かを買ってきて、と言われているとは思えない。あいつが自主的に買うとも思わない


じゃあなんで日需品以外にも電化製品?これじゃあまるで引っ越し…え


あいつ何処かに引っ越すってこと、そんなの許さない。い、一応あいつも家族なんだから。け、決してあいつと一緒に暮らしたいとかじゃない。


だから勝手に家を出ていこうとするまで監視…そう監視する。決してストーカーと言う訳ではない


「な!あ、あいつどこに行った」


私があいつから目を離した一瞬の隙に見失ってしまった。


(ま、まさか!私の完璧な隠れ見を見破っ…え)


それから目の前が真っ暗になり。意識を失った



Side:彩人


追われてる?


気が付いたのは家をでて直後からだ。まあ誰かは知っていた……俺の新しい姉の長女春奈だ。どんだけ俺のこと好きなんだ


はあ、さすがにしつこいぞ。わざわざ隣町まで行って買い物してるってのに……


強制退場させる?さすがにもう無理か…


これでまだ騙せるのなら、本物のバカだからな

いや、うん…まさかな。はずがないってことで……………逃げるか


春奈の視線が一瞬でも外れるのを伺いつつ、適当に歩いていた


「それにしても、ここは初めて来たが人がそこそこ多いな…」


あ、言い忘れていたが。上の人間は俺のことを知っている奴がまあ居るわけだ、つまり誘拐だってされる可能性がない。とは言い切れない


だから俺は普段護衛をつけている。その護衛は同年代の女性だが、俺への感情は主従愛ってとこ。彼女は自分より強い人の下に付きたいって言う人種で。実際彼女の実力派かなりのもの、俺だって本気でやらないと危ういからな。そして彼女は気配の各仕方がすごくうまいのだ


これに関しては俺でも見つけれない、まあ要するに優秀すぎる護衛ってこと。だから危ういのだが、忠義心が強いっていうか。強すぎるって言うか。冗談で俺をバカにしたやつを一度半殺しにした事があるくらいには…


俺でも制御が難しい、その忠義心に助かっている部分も存在するが。今日彼女が俺の護衛をしているのなら、危ういかもな…なにせはたから見れば春奈はストーカーとさほど変わらない。ま、まあ最悪の場合ってだけだし、彼女は優秀だ。春奈が俺の家族だってことを既に知っている可能性だってある。


それって彼女がストーカーでは?ってうん、確かに今思えばやってることストーカーだな。たまに俺の入浴中に覗こう…見張りしてくる


鼻時を出しながら。でも恋愛感情は彼女には存在しないのだ、不思議だ


少し危うくもあるが、大丈夫だろう


お、春奈が俺から意識をそらしたな



ややあって


ふー春奈の追跡から逃れたかな、少し様子を見るか。これで帰ってくれると嬉しいのだが…


えー誘拐されてるじゃん。あのマークは…百合組!!


ヤクザか…少し厄介、いやゆり組自体は別に厄介じゃない。だって百合組ってそこまで力は強くない


でもあの情報門の少ない百合組が春奈を誘拐………俺がかかわってないとしたら春奈を誘拐はしないだろう。


単純な話だ、確かに春奈は美少女。それには俺も同意しよう


でも別に春奈が特別に美少女って言われるとそうでもない。仮にも俺が知っているヤクザだぞ弱いとはいえ、世間ではまあまあ影響力を持っている組の一つである。春奈より美少女を手に入れろってのはそう難しくない。それが裏であろうと表であろと、な


百合組の情報門は先ほども言ったが正直弱い、俺がちょっといじれば直ぐにでも崩壊するであろう。そんな百合組が春奈を誘拐する理由は。たったそれだけのことでで十分な理由だろう。だからこそめんどうだ、その情報が百合組にまで回った。つまり上層部は皆知る情報って訳だ


まだ俺が春奈たちに護衛を付けていない時を狙ってやったことだろう


ああ、クソめんど


「綾乃」

「は」


マジでいたよ彼女…綾乃が


「春奈のことは知ってるな」

「はい」


うん、マジで知ってたよ


「じゃあ今の状況は?」

「恐れながらも、我が主様のご家族様を誘拐する愚か者がいることでしょうか?」

「ああ、そうだ」


怖いよ綾乃。なんでそこまで知ってるの?


「適当に対処しといて。百合組程度なら君一人でもなんとかなるでしょ。まあ一応あと一人は影を呼んどいてね」

「は」


いや、否定しろよ!!どこの世界にヤクザそれも世間ではかなり大規模な策座を少女一人で、崩壊可能って


いや、うん。綾乃なら可能だろうけど…怖い



さて、綾乃がいるなら春奈は大丈夫だろう。買い物は終わったし、マンションでも見に行こうかな



ややあって


「ん~~上手い。久しぶりに焼き肉食べたがやっぱり美味しいね!」


え?焼き肉の気分じゃないって?まあそれはあの時だから夕方になるにつれ焼き肉が食べたくなっただけだから


「主様」


いたのね綾乃。うん怖い


「で、春奈はどうなった?」

「はい、とどこうりなく」


こわい、あいまいにする所がまたこわい


「まあよくやった。食べ放題偶然二人にしてたから、綾乃もお食べ」

「は」

どこの時代に、ごはんを食べるときに「は」なんて発する。ここは日本つまり「いただきます」であろう。まあ綾乃だしなしょうがない


「で…」

「掃除しました」


まだ“で”しかいってない。なんでわかったの


「な」

「主様ですから」


だからそれなに?こわい


「フフ、主様かわいいです」


もうあきらめる、綾乃にはもう驚かされないぞ


「フフ」


その意味部かな笑みやめて


結論。謎ッ!!

まあいいけど。家に帰ろ…



ややあって


「ただいま…」

「おかえり」


俺は今日家の扉を開けたとき。今日一ビビったその時だった


なんと春奈が素直になっている。俺を監視しているときまではまだツンデレのツンが残っていた。だが今はデレしかないのだ


いや、正確にはものすごくふわふわしてるって言うかなんと言うか。言葉では言い表せないのだが。何かが違う


そうか、綾乃のあれはこれだったか。一体なにを吹き込んだのだ?まあ俺はツンデレはめんどうなだけだから助かるけど


「彩人大丈夫、このな夜遅くまでへんな雌犬に襲われなかった。心配したんだよ?」


なんか違う。違うよデレにはなったけど。これじゃあヤンも入ってそうなのだが…いやほんとにどうしてくれるの


雌犬とか春奈は言ってるけど、今の俺からしたらお前がやばい雌だよ!!


こえーここで面白がって「お姉ちゃん」とでも言ってみろ。バットエンド間違いなしだな


ただ、だめだと知ってても言ってみたくなる俺もいたりする


「うん、大丈夫だよお姉ちゃん」


はい、言っちゃった。なぜ一時の感情に身を委ねてしまったのだろうか?過去の俺よなんてことを。そして未来の俺よ正気をたもてよ…


「はうー」


なんとの、なんと春奈は顔を真っ赤にしてその場でぶっ倒れたのだ。これには予想外の予想外


いや、ある意味予想できたかも、でも助かった


「そう言えば父さんたちはどこだろ」


夜ごはんどこかに食べに行った?でも春奈いるしな


「ただいまー」

俺はリビングにつながるとびら開けて中に入っていくのだった


そこに広がっているのは


酔っぱらったおっさんとそれを介護する美人。そしてテレビを見ている美少女だった。やはり謎だ


なぜ父さんはこんな美人を捕まえれたのだろうか?まさか脅し…あり得る


いや、でも父さんって確か真面目だったような…


「しゃけがないとやってられふか~~」


やばい完全に出来上がったおっさんだ。真面目バカ言えあれはただの厄介なおっさんそれ以上でもそれ以下ではあるかも


キィィィーー


「見なかった事にして寝るか」


それにしても明日から主張それも海外なのに、あれで大丈夫なのだろうか?


まあ大丈夫だろうな、なんだかんだ父さんって色々乗り越えた男だし


「えへへ、みきこひゃん」大丈夫

「らいしゅきれふよ」大丈夫、と言ってくれ

「ぐへへ」大丈夫のはず。若干犯罪要素のある言葉だったが…

「よーひきょうはやるぞ~ぼくは」だめだわ、さようなら父さん…いやおっさん



「弟君!!」

「えっと、君は…秋奈さんだったよね?」


「そだよ!弟君今日何してたの?折角新しい家族ができて会うの楽しみにしてたのに~」


姉妹だよな。全然性格が違うぞ、春奈は綾乃のちょっとかなりやばめな何かにより、ツンからヤンのデレになったが。秋奈は活発系と言うか物凄く元気だな。…もう夜なのに


「ごめんちょっと用事があってさ。父さんに朝再婚話を持ち掛けてきたから予定をずらすことができなかったんだ」

「嘘だ」

「え」


え、何この子。何か確信めいたこと言ってる


「これ証拠」


秋奈が言うと携帯を触りだし、突然ぴたりと止め画面を見せてきた。そこにはなんと俺と綾乃がいた


それも綾乃が跪いている場面だ。これは今日のやつじゃない


そもそも綾乃は人前では跪かない、いや最初はやっていたな。だが俺が人前ではあまりするな、と言った時から俺の知っている数人がいる前や、二人っきりの時にかやらない。今日はやっていないのだ


それならいつか


この服そしてこの建物は…中学の修学旅行の時だな


だが秋奈がその写真を何故持っているのか。そして今この写真を見せた真意は何か…分からない


「それで何かな、その写真がどうしたの?」

「惚けないで」


「惚けないでって言われても…中学の写真を何で秋奈が持ってるの?としか感想がわかない、かな」

「え」


秋奈は素っ頓狂な声を出し、一度携帯を確認した。そこで「あ、間違えた」と言って少し操作をしてから、また画面を見せてきたのだ


そう、これはそこそこの問題だった



そこにはマンションの写真だったのだ。ここまでくれば理解できる、つまり秋奈は裏側の人間


(迂闊だったな。春奈が目立ち過ぎて気づかなかった)


俺とした事が迂闊だったな、だが油断したとはいえ俺を出し抜くとは一体何者なんだ


そしてようやく繋がった。百合組がの情報門を操ったと言うわけだ。だって百合組にまで手に入る情報…それなら何故ほかの上層部が手を出さなかったのか


今考えればおかしい


故に秋奈は上層部の中でもかなり上の人間。でも実の姉まで利用するとは…こうなってくると美紀子さんも怪しいな。


(少し探るか)


「それがどうしたのかな」

「お、これでも白を切るんだ」


読めない…まるで目ため相応な高校生としか


「何が目的だ」

「フフ、目的、目的かー。うーんなんだろうな~…あ、一つあるね!♪」


白々しいな、そして底が見えない。この俺でも未知、そしてこの状況すらも秋奈は読んでいるだろう。どうする、逃げるか?いや既に退路は防がれているだろう


「弟君ってさ。もしかして…」


くそ、何を考えている?



「このマンションのオーナーと知り合いだったりするの?」



「いやー友達にさー弟ができたって言ったら。なんか驚かれてね、それも君の写真を見たら。それで何で驚いたんだろうってずっと気になっていたの。そこでどうにか教えてもらおうとしたら、ある写真が送られてきたの…そこにさっきの跪いた女性と弟君がいたってわけ」


それでね。そこから語られる言葉は少し耳を疑いたくなった。まさかのここまで優秀な人材がこの年でいるとはな


逸材だ。正直話の内容はほとんど聞いていない。まさかこの俺の情報をたったの半日で見つけるとは


「つまり秋奈は国の情報を盗すったと」

「ひどい!もうちょっとましな言い方をしてよ~」


国の情報だけなら俺でもできるし、それ専用の部下もできる。だけど半日か…俺の情報はかなり固いセキュリティだった。それもものすごく丁寧に一般人としての情報を。空いた時間のアリバイのようなものまでも


普通ならただの一般人としか判断がつかない。そこを探りあてるか


世界でもトップクラスだな


「知り合い、か。そこまで調べたなら知っているだろ。」


だが、その話が本当なら百合組のことが分からなくなったな。


「綾乃」

「は」

「っうわ本当に出た!てかまじかで見るとメッチャ美少女!!」


「光栄です」


「綾乃、今は情報だ」

「はい、情報提供者は秋奈様で間違いありませんでした」

「うん、それで。」

「美紀子様と百合組の組長が旧友らしく…」


うん、だいたい理解した。つまり下っ端の馬鹿が春奈を襲っただけってことか何も知らないって、怖いね。襲った娘が組長の旧友の子供とは…運がないい


「組織の練度が落ちてるな…」


で、どうなってるの


「つまりなんだ、春奈は百合組のことを知っているのか?」

「多分知らないと思うよ私だってたまたま知っただけだし。ママの友達にあんな大物が居るなんて。まあ弟君からしたら、百合組も下の人間になるだろうけど」


「なあ秋奈あの計画もばれてたりするのかな?」


マンションがばれてる以前に俺の存在がばれたなら、もう知ってるかもな


そしてここまで優秀なんだ、今日電化製品やらなんやらをかった理由も確信しているだろう。ならいっそ開き直ろう


「うん!たまにお邪魔するかも」


「父さんたちには言わないでくれると助かる」

「別に言わないよ~ただ私は弟君の姉って立場を生かしたいかな?」


まあ、そうだよな俺のことを知ってるなら。でもそれは助かるかも秋奈みたいな技術者を仲間として取り組めるのは大きいからな


「ああ、こちらからお願いしたいくらいだ。でも一つ聞きたい、その友達って俺のことを知ってる。つまり結構格のある家柄だよな…それも友達っていうくらいだ同年代がまず思いつく。まあ秋奈レベルの技術だ大人の友達って可能性も捨てがたいが。子供だった場合秋奈が通っている高校って…」

「想像どうり、私とお姉ちゃんは君がこれから入学するところで間違いないよ」


「ハ、ハハ。テンプレ死」

結局テンプレか。引っ越しても意味ないじゃん!


だって同じ学校じゃあ…はあ


テンプレには勝てないな…


突然親の再婚。そしてその再婚相手の娘とのラブコメ。


俺は絶対に屈しないぞ、学園ラブコメも俺は絶対に。俺は俺は絶対にテンプレ恋愛ルートには行かない。ごくごく普通のリアル性がある恋愛をする!!

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強制テンプレ〜テンプレは強敵すぎる 寝る人育つ @hiiraginokinositani

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