絶望サラリーマンがハンバーグに命を救われる話
駿河鮭
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私の名前は平田渓助、46歳。死ぬことを考えている。
どうして死ぬことを考えているのかというと、生きることに価値を感じられなくなってしまったからだ。
仕事でリストラされたわけじゃない。およそ10年間、中間管理職を続けている。
詐欺に遭って貯金を失ったわけでもない。住む家もある。
誤って人を刺してしまったわけでもない。逮捕歴はない。
ただ、何もないのだ。楽しいと思えることが、何一つ。
離婚したり誰かに捨てられたりするわけじゃない。元から妻も子供もいない。
休みがないわけじゃない。休みがあってもすることがない。
好きなバンドが解散する悲しみも、愛車が故障する悲しみを味わったことはない。そもそも趣味に心がときめくことがない。
特にプラスの要素もなく、小さなマイナスにじわじわと寿命を削られていく人生は、もう懲り懲りだった。
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