第9話 とても素敵なトルマリンリング
配信映像にはミレミランさんの手元がアップになっていた。実戦形式が終わって三種類のリングを着けている。
注文が落ち着くまでが、私とエリ姉の雑談時間だった。
「雷魔法は水魔法には相性がよいのよね。不利な属性は何かな」
「土属性です。魔法は三属性同士が強弱関係にあって土属性は水属性に弱いです」
「先ほどのオパールペンダントと合わせれば弱点も克服できるね」
「魔法使いは何種類かの属性を使うのが一般的です。マイナの弱点は何かしら」
エリ姉が興味深そうな目で私を見る。配信映像にはミレミランさんのみだった。
「弱点は魔物かな。だからハンターの皆さん、宝石アイテムでみんあを守ってね」
「優等生の答えでお姉さんはつまらないです。マイナの頭を撫でるときにでも聞いてみようかしら」
「エリ姉の暴走は置いておくね。トルマリンリングは三点セットで金貨二枚よ」
『リングサイズの問い合わせが多いです』
プロデューサーから状況報告があった。
『話しの流れで説明する』
私も念話で返した。
「今日のマイナは進行を頑張っているかしら。雷属性の魔法使いにはお薦めの宝石アイテムになります。どのハンターランクでも使える一品になります」
「エリ姉が仕事をしてくれて嬉しい」
「お姉さんはいつも真剣にコメンテーターをしています。ただマイナの可愛い表情を眺めるのが好きなだけです。頭を撫でたときの素敵な笑顔がたまりません」
ミレミランさんが笑いそうになって、ハンターたちは大声で笑っていた。すぐに配信映像が私とエリ姉に変わった。
雑談時間が人気で、エリ姉が私をネタにする。私が適当に受け流しながら進行する流れで、笑いを取りながら宝石アイテムを売る珍しい仕事でもあった。
「エリ姉の宝石アイテム知識は凄いから、お客さんも真剣に聞いてね。今回のトルマリンリングはサイズフリーだけれど、雷属性の魔法使い限定よ」
「宝石アイテムの効果は先ほどの実戦で分かったと思います。多くの注文が来ているけれど、トルマリンリングの数は平気なの?」
「充分用意したから平気よ。この日のために宝石を大量購入したからね」
宝石アイテムに使えない宝石も多く買う。ほしい大きさと高品質のルースのみを買うことはできないから、残りのルースは別の宝石アイテムで使う予定だった。
「使ってこその宝石アイテムです。殲滅速度があがればパーティーが楽です。派手さはないけれど、日常でも使えるデザインです。お姉さんも着けてみたいです」
配信映像が私のみに切り替わった。
その間にミレミランさんからエリ姉へリングを移動させる。
「エリ姉ならどのトルマリンリングでも似合うはずよ。髪の色に合わせて黄色のトルマリンも素敵な感じで、色鮮やかな青色のトルマリンも捨てがたいかな。二色のトルマリンは人目を引くこと間違いなしね」
「お姉さんは三種類とも着けてみました。どれもきれいなリングです。これで魔法強化もできるから優れものです」
エリ姉の指先が写し出された。
「宝石アイテムに負けないくらい、エリ姉の指もきれいね」
「お世辞でも嬉しいです。親指から小指まで、どの指でもサイズは平気です」
エリ姉が親指と小指にリングを交互に着けた。意思があるかのように自由にサイズが変わって、手を振ってもリングは落ちない。
「戦っていてもリングが外れる心配はないから、優れた機能よね」
「いつまでも眺められる美しさです」
「ずっと見たいけれど時間も押してきているかな。最後の商品に移るね」
テーブルの横にある箱から、大きめの黒色ケースを取り出した。
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