第5話 オパールペンダントの性能
「ミレミランさんの胸元が素敵な感じになっているね」
「淡い色合いのオパールが、ミレミランさんと合っています。誰にでもお勧めできる色合いです。普段のお出かけに使えて、魔物に襲われても活躍できます」
ミレミランさんが上半身を左右に動かすと、ペンダントトップの角度が変わる。オパールの輝きも変化していた。
「付与魔法の性能はどの程度なのかな」
「街周辺の魔物には効果大で、ダンジョンでも一定の効果が見込めます。中堅クラスでも、お守りには充分効果が期待できます」
「長く使える宝石アイテムで価格も金貨三枚とお得ね。オパールの色合いが好みと異なったら返品も可能よ」
ミレミランさんが歩き出すと、配信映像も一緒に動いた。手前側のハンターたちがいる近くまで移動すると、ハンターたちの後ろ姿が配信映像に入ってくる。
対戦エリアの奥側では魔方陣が姿を現した。魔法が得意な番組スタッフが木のゴーレムを召喚しようとしている。
「素敵な宝石アイテムにゃ。誰かうちのために買ってほしいにゃ」
ハンターたちから笑いが起こった。買ってやるぞーの声も聞こえた。
「ミレミランさんは愛されているよね。ミレミランさんのパーティーは楽しそう」
「マイナは誰に愛されたいのかしら」
『私も知りたいです』
プロデューサーの念話に、吹き出しそうになった。自由で楽しくが番組目標だけれど、たまにプロデューサーも面白い発言を織り交ぜてくる。
「それは秘密よ。それよりも付与魔法の効果を実際に見てもらいたい。具体的な内容はエリ姉にお願いするね」
ミレミランさんが元の位置へ戻って、宝石アイテムは取り外されていた。視線の先には木のゴーレムが立っている。ハンターたちも楽しみだったみたいで、大きな声援が飛び交った。
「万能型の宝石アイテムなので全てを確認してみます。最初は宝石アイテムなしで攻撃と防御、回避を見て頂きます。次に宝石アイテムありで同様に試します。ミレミランさんの準備は平気かしら」
「うちは大丈夫にゃ。いつでも平気にゃ」
両手でナイフを構えていた。いつでもゴーレムに向かっていける。
「ゴーレムはランクB相当の手強い相手です。ミレミランさん、開始して下さい」
「行くにゃー」
ミレミランさんが動き出した。姿勢を低くしてゴーレムに近づいて、的確にナイフを当てていた。ゴーレムはその場に留まっていて、あまり効いていないみたい。
ゴーレムも動き出して拳を振り上げる。ミレミランさんと同等以上の素早さで、素人の私でもミレミランさんが押されていると分かる。
「ミレミランさんの動きは悪くありません。でも相手が一枚上手です。ランク相当の差が確認できたと思います」
「私にも強さの差が分かった。ランクの違いがそのままの強さなの?」
「一概には言えませんが、概ねその傾向にあります。宝石アイテムなしの状態は把握できたと思います。対戦を中止してください」
ゴーレムの動きが止まって、配信映像は私とエリ姉に切り替わった。
「何度見てもハンターの戦いは迫力あるよね」
「ランクC以上の対戦は長引く傾向にあります。極端なランク差以外は一撃では決まりませんから、宝石アイテムの有無が勝敗を分ける場合もあります」
『宝石アイテムを着け終わりました』
「宝石アイテムの効果が想定と異なったら、がっかりするよね。私たちが紹介する宝石アイテムは、実際に効果を見られるから安心よ。そろそろ準備ができたみたい」
配信映像はミレミランさんの上半身のみで、胸元にはペンダントトップが輝いている。ミレミランさんの全身が写し出されて、奥側にはゴーレムが見えた。
「今度は勝つにゃー」
先ほどと同様に動き出して、突進の速さは変わらないように見える。右手のナイフがゴーレムに当たった。間髪を入れずに左手のナイフも胴へ打ち込んでいる。
遅れてゴーレムが動き出したけれど、ミレミランさんはその場に留まっていた。戦闘に不慣れな私は、先ほどとの違いがよく分からなかった。
「私には、ミレミランさんが頑張っているとしか言えない」
「一人前以上のハンターなら、効果を確認できていると思います」
エリ姉は付与魔法が得意だけれど、戦闘も得意でハンターの素質もあった。ただ護衛などの長旅やダンジョン探索は疲れるから嫌いみたい。
「宝石アイテムの効果を説明して貰えるかな」
「注目はゴーレムに押されていない点です。攻撃の威力が増して、下がらなくても戦えています。防御と回避の向上でダメージが少ないです。息も上がっていません」
「本当に万能なのね」
「ただ付与魔法は水なので、雷魔法の相手には相性が悪いので注意です」
「何事も使い分けが必要なのね。宝石アイテムの効果は確認できた」
魔法には基本の六属性と相性があって、強い魔物との対戦では重要みたい。
「格上ランク相手に互角な戦いが分かったかしら。この性能で金貨三枚です。お姉さんは安いと思います」
『対戦は終了で平気よ』
『通常のモデルに戻します』
「私にも効果が分かった。次は宝石アイテムをじっくり見たい」
配信映像に私とエリ姉がアップされて、宝石アイテムの説明が終わった。ここからはしばらく雑談できる時間だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます