第8話 小学生1
小学校に上がる前の春休み。
隣のアパートに同じ歳の女の子(Kちゃん)とその弟と妹ご家族が引っ越してきた。
私が1人で外で遊んでいるとKちゃん達も
外に出て来る時がある。
.....気まずい。
幼稚園のようにバスから降りたら子供の集団から解放されていた状況とは異なり、自分の遊びテリトリーに子供がいる状況が初めてだった。
私はどういう経緯でKちゃんと仲良くなったのかさっぱり覚えていない。
気が付いたら家を行き来する仲になっていた。
間違いなく言えるのは、歩み寄ってくれたのはKちゃんの方からだということ。
.....ありがてぇー。
そうなるまできっと無愛想に返事とかしていたに違いない。マジごめん。
私は幼稚園でKちゃんは保育園だったのだが
保育園ではお昼寝タイムがあることを知り
凄く驚いた記憶がある。
そうして同じ小学校へ入学し、
同じ放課後保育(学童)に通うことになる。
私にとって初めて出来た人間の友達だった。
でも私はあまり笑わなかった。
理由はわかっている。学童という場所が嫌い。
簡単に言えば幼稚園よりは自由度のある子供の集団に変わりはないこと。
お迎えがいつも最後だったこと。
母はいつもギリギリ滑り込みセーフのように
迎えに来る。仕事をしているから仕方ない。
もちろんわかっている。
でも、続々とお迎えに来る親子を見送り
私だけの時間になると節電のため部屋の半分の電気を消し学童の先生は部屋から居なくなる。
薄暗くなった部屋にある弾けもしないピアノに座り、もうママは迎えに来ないんじゃないかとメソメソ涙が零れてくる。
そう、私は無愛想な寂しがり屋なのだ。
母が絶対にお迎えに間に合わない時は
前もって兄に迎えを頼んでいた。
祖母も時計を作る仕事に出ていたからだ。
兄は1度家に帰り、ランドセルを置いて
自慢のマウンテンバイクに乗って来る。
その自慢のマウンテンバイクに足をブラブラさせた私を跨がせ、押して帰ってくれる。
この思い出だけで飯が食える。
毎日兄が迎えに来てくれればいいのに。
そう思っていた1年生の秋頃。
Kちゃんを含む数人で隠れんぼをしようとしていた時、また私に1枚の写真が焼き付かれた。
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