第146話 Lebe für Liebe~愛に生きる(6)
「・・真尋くんは。 絵梨沙とのことをどういう風に考えてるの?」
母親として一番心配なことを聞いてしまった。
「おれは。 絵梨沙なしの自分が考えられない。 絵梨沙がここを離れる時、きっといつか一緒になって二人で生きて行きたいって思いました。 お互いがピアニストの道を諦めることなく、やっていくことはきっとできるんじゃないかって。」
真尋はひとつひとつ言葉を選びながら言った。
「正直・・今はまだ自分も半端だし。 ちゃんとは、まだ、できないですけど・・」
そして正直な気持ちを言った。
それでも絵梨沙は嬉しくて涙があふれてしまった。
「フェルナンド先生や絵梨沙ママには申し訳ないって思うけど。 今は・・一緒にいさせてください、」
真尋は静かに頭を下げた。
すると絵梨沙も泣きながら
「ごめんなさい・・ママ・・あたしも真尋と一緒にいたいの。 彼の重荷になるんじゃないかって心配だけど。 でも! あたし、もう真尋から離れることが考えられないの。 彼のピアノと共に、生きたいの・・」
今まで溜まっていた気持ちを一気に吐き出した。
真理子はしばらく黙って考えた。
「・・マークには。 あなたからきちんと正直な気持ちを説明しなさい。 彼はあなたに全てをかけてやっていこうと決めてNYに行くことにしたんだから、」
そして、最後はふっと微笑んでそう言った。
「ママ・・」
絵梨沙はもっともっと泣いてしまった。
「え・・沢藤先生、帰ったの?」
真尋は南に電話をした。
「うん。 たぶん夕方の便で。 絵梨沙は送りに行った。」
「どないしたん??」
「絵梨沙・・しばらくおれんとこに住むことになったから。」
「え・・」
「もう。 絵梨沙には何も考えずに休んでほしいんだ、」
その言葉で南は全てを悟った。
「そっか。 聞いたんや、」
「おれに気を遣って。 志藤さんもみんな黙ってたんだろ、」
「今が大事な時だから。 エリちゃんもあんたの重荷になりたくないって言ってたし。」
「おれはね。 そんなに弱い男じゃねーからな。 好きな女が苦しんでる時に守ってやれなかったら男がすたる。」
その言葉にはクスっと笑ってしまって
「ほんま。 逞しいなあ。 真尋は。 ウン、そこがあんたのいいトコやな。」
「絵梨沙がいれば。 おれだってホッとする、」
そして真尋は最後に本音を言った。
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