My sweet home~恋のカタチ。18 --cobalt blue--

森野日菜

第1話 Eine Öffnung~はじまり(1)

11月に生まれたばかりの三番目の子は



産まれたときから大きくて。




体重も3400グラムを超えた赤ちゃんだった。



この子を見たとたん、義母は



「真尋が生まれた時にそっくり! あの子も大きかったから。」



と笑っていた。



確かに上の二人よりも真尋に似ている気がする。




名前は


『ひいらぎ』と書いて



『柊(シュウ)』。




何年振りかに見る赤ちゃんは



大きいと言われても、やっぱり小さくて。



本当に見ているだけで笑顔になる。






「エリちゃん、ちょっといい?」



義母がやってきた。



「ハイ。」



「あのね。 お客さまが階下に来ているの。 エリちゃんもいらっしゃいよ。 志藤さんも真太郎も来ているのよ、」



お客さま・・??





柊をお手伝いさんに見ていてもらって義両親の家のリビングへと降りて行った。





お義兄さんと志藤さんがソファに座っていた。



「あ、こんちわ。 おじゃましてます。」



志藤さんはいつものように笑顔で会釈をしてくれた。



「こんにちわ。 この前はお祝いをいただいてありがとうございました、」



柊の誕生祝いをわざわざゆうこさんがウチまで届けてくれた。



「ああ、なんも。 ウチなんか、ほら。 5人ももらっちゃってるし。」




本当にこの人は変わらない。



今は事業部の本部長をやめて、取締役としてお義兄さんを助けてくれている。



お義父さんが倒れてからは、志藤さんの存在がどれだけ頼もしいかと南さんも話をよくしていた。



そして。




その横に座っていたのは



初対面の初老の男性だった。




「真尋のかわいい奥さんのエリちゃんです。」



お義母さんはそんな風に自分を紹介してくれたけど



もう30も過ぎていてちょっと恥ずかしい。



「初めまして。 桜井と申します。」



礼儀正しく立ちあがって挨拶をされ



「あ、初めまして。 絵梨沙と申します。」



慌てて頭をペコリと下げた。




ニコニコとして



すごく温かい瞳で。



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