第148話 ダンスゲーム、勝負!

 そしてスクショタイムも終えたところで、俺は次の企画へと進んでいった。


「それじゃあ次は……ダンスゲームをやりたいと思うぞ」


 言いながら俺は移動して、ダンスゲームの筐体があるところまでやって来た。どういう技術かは分からないが……ちゃんと配信画面にもその筐体は表示されていて。


『うおっ!?』

『でっかぁ♡』

『ゲーセンで見たことあるやつだ!』

『え、ルイが踊るのか……!?』

『パラパラ踊れ』


「なんと、あの超人気ゲームの『ダンスダッシュ』の使用許可が下りたらしいんだよ。驚きだよな」


 そう紹介すると、コメントのみんなも驚いた様子を見せて……。


『あの!!???』

『俺はお前が踊ることに驚きだよ』

『なんか不安なんですけど……』

『怪我だけはしないでな?』

『実はめっちゃ上手いとかいうオチありますか?』

『ないです』


「……ん? 何を不安がってるんだ、お前らは……で。これを一人でやってもいいんだけど。やっぱり競い合う相手がいないと盛り上がらないよな?」


『あ』

『おっ』

『マジ!?』

『誰かゲスト来るのか!?』

『俺はレイちゃんに賭けるぜ』

『倍率1.0だろ』


 ここで一気にゲストを期待するコメントが流れてくる……良い感じに引っ張ったところで、俺はゲストの三人を呼び出すのだった。


「ということで、ゲストの登場だ。オーウェン組のみんな! 出ておいでー!」


「はーいっ!」

「わーーい!」

「フーーーン!!!」


 ということで三者三様、個性的な掛け声でスタジオにやって来た。どうやらみんな緊張とか全くしていないらしい……ってかこれ絶対、俺のチャンネルだから好き放題やってるだけだよな? まぁ盛り上げてくれるのは、とても心強いんだけど。


『きたああああああああああああ!!!!』

『幼児向け番組かよ』

『やっぱこのメンツだよなぁ!!』

『ルイ嬉しそうだ』

『そりゃそうでしょw』


「ということでレイ、カレンさん、ロビンの三人でーす。同じ魔法学校に通う仲間として、ここまで駆けつけてくれました」


 そして俺は三人の紹介がてら、話を回してく……。


「遅刻魔でお馴染みのロビンも、ちゃんと時間通りに来てくれたな」


「フッ……ルイボーイが『ちゃんと発表するから来てね!』って言うから、わざわざ仕事を抜け出して来てやったんだぞ?」


「言ってねぇから……授業参観日の子供かよ」


『草』

『草』

『かわいい』

『捏造されてら』

『ロビンパパ!?』

『これ実話らしい』


 そして次は「私の番?」と、カレンさんもボケだして。


「えっと……ルイさんに黒魔術使われて、いつの間にかここまで来てました!」


「使ってないから……あと未だに黒魔術イジってくるのやめてね?」


『草』

『えっど』

『やめてね』

『これ事案だろww』

『ルイの黒歴史の黒魔術……』

『黒魔術って結局なんなんだよ』

『催眠アプリみたいなもんでしょ(適当)』


 そして最後は彩花……。


「……マネージャーさんに言われたから来たよ!」


「お前だけガチっぽいのやめろ」


『草』

『草』

『草』

『間の取り方がプロなのよ』

『良いオチwww』

『レイちゃんも素直じゃないなぁww』


 全く打ち合わせしてなかったのに、このボケをかましてくる彩花は、正直凄いと思う……まぁここで褒めるわけにもいかないので。俺は次の説明へと進んでいった。


「はい、そんなわけで早速ダンスゲームをやりたいと思うよ。俺と勝負してくれるのは……コイツだ、ロビン・フレイル」


『あ』

『あっ』

『はい』

『解散』

『なんで一番強そうなヤツと勝負するんだよ』

『カレンちゃんならワンチャンあると思ったけどなぁ……』


 そう言うと、一気にコメントは負けムードが流れるが……もっと俺を応援してくれてもいいだろ!? それに、戦う前から負けることを考えるヤツはあーだこーだって言うじゃないか!! 


 そしてロビンは俺の前まで歩いてきて。


「フッ……やはりライバルである我が相手するべきだろう」


「別にライバルとか思ったことねぇんだけどな……」


「では、先行後攻を決めようではないか」


 そのままロビンは、手に持っていた謎のコインを親指で弾いて……。


「いくぞっ、運命のダイスロール!!!」


「コイントスな」


『草』

『どこをどう間違えるんだよ』

『セリフ言いたいだけだろww』

『この茶番いる?』

『いる』

『いらない』


 そのコインは回転しながら宙を舞って……謎のおじさんが描かれている面を表にして、コインは落ちたのだった。


「ふむ……表か。なら我が先行ということになるな」


「じゃあ俺は後攻か? 本気でやれよ、ロビン」


「無論だ……もしルイボーイが負けたら、我にアイス奢ってくれ」


「小学生かよ」


「では……負けたほうが好きな人でも発表でもするか?」


「ぜってぇしねぇからな」


『草』

『すぐ賭けしたがるなコイツらww』

『ルイの場合は罰ゲームになるのか?』

『ならんよ』

『じゃあ大きな声で発表してもらおう』

『好きな人発表魔道士さん!?』

『レイちゃんどんな反応するんやろうなぁ……』


 …………ついさっき発表して大変なことになったんだよ。まぁ……そんなこと、この場で言えるわけないけどさ……。


「では参ろうか」


 そしてロビンは移動して筐体の上に立ち……ゲームを開始させ、踊ってみせた。一度練習したからだろうか、リハーサルの時よりもロビンの動きは格段に良くなっていて……特に大きなミスもすることなく、一曲を終えたのだった。


「フッ……決まった。自己ベスト更新だな!」


『うまい』

『うますぐるwwww』

『これは動ける魔道士』

『もうアイドルみたいなもんだろ』

『これに勝てるのか?』


「……」


 この動きを見せられて、流石に俺もちょっと萎縮してしまうが……。


「次は俺の番か……」


「大丈夫、類なら勝てるよ!」


「いけますよ、ルイさん!」


『いけるいける』

『神回起こすルイなら余裕だよなぁ!?』

『万が一があるかもしれないからな』

『見せてみろ……お前の実力を』

『勝つさ』


 みんなが期待してくれてるんだ。半端な気持ちじゃいけない……俺はロビンに勝たなきゃいけないんだ! じゃないと安心して、レイが……帰れないんだ!!


「ありがとう……行ってくる!」


 そして俺はロビンと入れ替わって、筐体の上に立つのだった……。


「プレイを選択して……よし、さぁこーーい!!!」


 気合を入れ、俺はプレイを開始した。早速流れてくるノーツを踏んで、踏んで、踏んで……ふん、とっ、飛んで、ふんで……す、スライド! スライド!!


「……」「……」「……」


『草』

『草』

『何なんすかねこれ』

『足追いついてませんよ』

『ドタバタ鳴ってて草』

『お前ってゲームやってるだけでも面白いんだな』


「はっ、グッ、うっ、クソっ、おしいッ……!!」


『どの辺がだよ』

『判定厳しいな』

『そりゃ譜面に追いついてないからねぇ……』

『大丈夫だよルイ。頑張って』

『シンプルな応援が一番心に来そう』

『じゃあどんな反応すればいいんだよ』

『笑えばいいと思うよ』

『w』


 そして俺はアホみたいに流れてくるノーツを、続けて踏んで踏んで……無事かは分からないが、なんとか最後まで踊り切ることに成功したのだった。


『ゲームクリアー!』


 ゲームが終わるなり、俺は倒れるように床へと転がり込んで……両腕を伸ばしながら、こう叫んだのだった。


「ハァハァ……や、やった……! リハーサルの時より2点上がったぞ!!」


『草』

『8888888888888』

『おめ』

『おめでとう』

『よかおめ』

『GG』

『俺は感動したよ、ルイ』

『なぜだろう、涙が止まらない』

『普通にスコア負けてるけどな……?』

『でもルイは頑張ったから!!!!!!』

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