無見無醜

@kotosan0103

序章

「どうして∅さんって」

あぁ、またか。多分次に来るであろう言葉を私は知っている。

「眼鏡かけないの?」

ほらね、やっぱり。『容易』に予測できていた相手のつまらない問いに対してあくまで『用意』してた言葉を口に出す。

「私、眼鏡似合わないからさ」

嫌な顔せず答える、当たり前だろう。あくまで日常のワンシーンの何気ない会話‥そう、ただの眼鏡の話。どこに嫌悪感を感じるというんだ。

「そっかぁ~、それで昨日のテレビでさ」

話題は目まぐるしく進む私達の綺麗な瞬間を一つ残らず落とさまいとばかりに変わっていった。正直


ー気持ち悪い。


しかし、今は眼鏡から話題が逸れたことに安堵することにしよう。そう思って私は自分の席へ戻った。

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