性癖
公爵さんの屋敷で大暴れした俺達は、アーリキタの街まで戻ってきた。
あんな感じで公爵さんはフィリスのことを諦めたのかな?
「完全に諦めていないけど、カイトの戦力が軽視できない程に強いことを知って、しばらくは手出ししてこないよ」
思っていたよりクレアとフィリスの攻撃は強烈だったけど、騎士団に死人とかたくさん出たかな?
「カイトは甘いね。向こうも殺す気なのだから、返り討ちにした結果死んでしまっても仕方ないでしょ? 騎士たちはB,Cランク級の強さで、それなりの装備品で固めていたから、けが人は多数だけど誰も死んでないよ」
なら良かった。ところで、フィリスはどう思っているだろう? フィリスを見ると落ち込んでいる感じでは無いが、きっと複雑な胸中なはず。
「フィリスの実家をかなり壊したし、お父さんにも無茶言ったけど、本当に良かった?」
「ホントに無茶苦茶言うんだから。でも、すごくスカッとした。いつも頭ごなしで私の話なんて聞いてくれない人だったから」
フィリスの表情は明るいので一安心だ。
「それに兄様とも初めてあんな風に向き合ったんだよ。今まで私に話しかけた事さえ無かったと思う」
向き合ったというよりも、一方的にボコっただけな気もするが。
「勿体ないなー。もし俺にフィリスみたいな可愛い妹がいたら毎日かまうのに」
「カイトが兄様だったら困るなぁ。実の妹にでも手を出しそうだもの」
「もちろん手は出すけどね」
「カイト兄様いけないわ! とかやりたいの?」
「それいいね!」
「私はむしろカイトに姉様って呼ばせて攻めたいかな」
「あー、そっちのほうがいい! 今夜やろう!」
「え……、うん」
冗談だと分かっているはずだが、フィリスは顔を赤くしている。そんな姿も可愛くて抱きしめたくなってきた。
フィリスは俺から目をそらして話題を戻した。
「……それにしても、エラッソス公爵にあんな態度をして無事に生きているなんて、カイトくらいなものだよ」
フィリスは嬉しそうに微笑んでいる。これなら問題なさそうだな、良かった。
ほっと息をついたところでマユを見る。
「そういえば、公爵さんはマユの能力を見て聖女の再来か? とか言ってたよね」
マユは苦笑いを浮かべつつ「ええ」と頷く。
「マユが20年前の聖女と同じ能力を持っていたなんて驚いたなー。神殿に行って聖女の能力持ってます、って言ってくる? 聖女様! ってみんなにチヤホヤされちゃうかもよ?」
「そんなのやめてよ。私はもてはやされて生きたいわけじゃないから! カイトだけが愛してくれればそれでいいの!」
あかん、胸がキュンって締め付けられた。マユが可愛すぎて辛い。今すぐ押し倒してしまいたい!
湧き上がる感情を抑えつつ、ふとクレアを見ると表情を曇らせて考え事をしているようだ。
「クレア、どうしたの?」
「やりすぎないでとのご命令に、力の加減をうまくできませんでした。カイト様の気が済むように折檻してください!!」
「イヤ、クレアに乱暴する気なんてないから」
首を振るとなぜかクレアは鼻息を荒くして俺に迫る。
「そんな! 私はカイト様の奴隷です! もう、無茶苦茶に乱暴にお仕置きして欲しいです!!」
そういうプレイがしたいのか? この子は……。
「そもそも、クレアのことを奴隷だなんて思ってないよ。そうだ、クレアの奴隷の指輪を解除してもらおうか? 今なら100万イェンくらい大した出費じゃないし」
「えっ!? 嫌です! カイト様、私を捨てないで下さい!!」
「大事な恋人だもん、捨てたりしないよ。奴隷の指輪を解除するだけだって」
「マユ様もフィリス様も綺麗で強くて素敵です……。私は……お二人には敵いません。せめてカイト様の奴隷としてお傍に置いて下さい」
「クレアだってとても綺麗だよ。それに十分強いでしょ? 俺は三人のことを同じくらい大事に想っているんだよ」
「それでもカイト様の奴隷がいいんですー!」
涙ながらに訴えるクレア。俺が困っているとノエルの声が聞こえる。
「この子は、カイトに強引に従わされている性奴隷って設定が興奮する性癖みたいだから、放っておいたら?」
やっぱりプレイだったのか……。まぁ、人それぞれあるだろうから、とやかく言わないでおこう。
「分かったよクレア。今後も俺の奴隷として頼むよ」
微笑みかけると、クレアは「はい!!」と嬉しそうに返事をした。
* * *
この日の夜は、マユとは甘々な言葉を囁き合いながら濃厚に。クレアとはちょっと乱暴かつ強引に。フィリスとは姉様にいたずらされちゃう弟という設定で。
普段とは少し変わったプレイをして盛り上がるのだった。
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