第17話 歯車
チームとは有機的なものである。
ピッチャーが強いだけでも、打線が強いだけでも、それで勝てるというものではない。
強いチームは必ず、勝利を得るための必勝法を持っている。
だがそんな常識を、一人で覆していく人間が、たまには存在する。
野球はチームスポーツだが、守備は全てピッチャーから始まる。
つまり試合の半分を、ピッチャーが支配できると言ってもいい。
そして有機的であるからには、ピッチャーがずっと抑えている間に、打線にも力がたまっていく。
やがてそれは爆発するのだ。
ランナーとしてアレクともう一人をランナーに置いた、樋口の第三打席。
今度は狙いすまして、ピッチャーの決め球を放り込んだ。
10日間の離脱があったことを考えると、今季はこれで第3号。
スラッガーのペースでホームランを打っている。
スコアは3-0と変化する。
これでもう、何も起こらない。
今年は五試合に投げて、打たれたヒットがわずかに五本。
そして地区優勝を争うヒューストンとの三連戦の初戦だけに、直史は完全なる勝利を目指している。
バッター全員から、その本来のスイングを奪う。
この三連戦全てとは言わないが、そうやって勝率を高くするのだ。
序盤には三振を奪い、そして終盤に入るにつれ、ムービング系でゴロやフライを打たせる。
ストレートを打とうとして、無意識のうちにスイングが小さくなっているのだ。
メジャーリーガーであっても、バッティングの基本部分が狂うことはある。
安打製造機と呼ばれた人間でも、普通は好調と不調の時期があるのだ。
呪いのように不調を塗りつけることが出来れば、それはピッチャーとしては一線を画する能力となる。
出来る出来ないではなく、やらなければアナハイムがレギュラーシーズンを戦っていくことは出来ない。
それにこの呪いのピッチングが出来るようになれば、むしろポストシーズンでこそ、効果は大きくなるであろう。
レギュラーシーズンの試合の中で、よりバッターのタイミングを狂わせる方法を探る。
それが現在の直史のピッチングである。
完成形へ近づいていく。
そして同時に、その選手としてのキャリアも、終幕に近づいていく。
アマチュア時代に、既に完成と思われていた。
だがプロの世界で、よりその力は増している。
コンビネーションに加えて、駆け引きを含めた投球術。
わずか五年のプロ生活の中で、よりチームを優勝させるために、どれだけの高みへと上ろうとするのか。
完全に他のピッチャーとは、観点が違う。
見えているものも、見ようとしているものも、見る力も全く違う。
その視線の先には、しっかりと道が見えている。
道の果ては見えていないが、進むべき道が見えている。
他の誰も見えていないのに、なぜか直史だけが見えている。
それを単に才能とだけは、直史は思っていない。
最後に回ってきたのは、四打席目の一番打者。
つまりエラーでランナーが出た以外は、完全に封じてしまったのだ。
そして最後に投げたボールは、空振りを奪うストレート。
14個目の奪三振で、試合は終了した。
ヒューストンとしては、何がなんだか分からない試合であったろう。
内野ゴロを打たせる名人である直史が、空振りやフライも打たせてきた。
そして92マイル程度しか出ていないストレートを、ことごとく空振りしたり打ち上げたりする。
去年までも圧倒的に、抑えられてはきていた。
しかし三年前にワールドシリーズに進出する以前から、ずっとある程度の戦力をキープしてきたのがヒューストンである。
だがここまで直史に抑えられるのが続くと、バッターを集めるのが難しくなる。
アナハイム戦で試合に出れば、ほぼ確実に自分の数字が落ちていくのだから。
直史は汗一つかかず、試合を終わらせた。
28人を相手に、91球で14奪三振。
エラーが一つあったため、ノーヒットノーランで試合は終わった。
だがこの試合もやはり、フォアボールは一つも出ていなかった。
去年の直史は、レギュラーシーズンでは一つもフォアボールを出していない。
今年もこれまで無四球で、記録の更新を狙う。
際どいコントロールを持ち、ただパーフェクトを狙うなら、球数は多くなっていく。
重要なのは球数をいかに少なくし、そして失点の機会をどれだけ作らないかである。
試合後のインタビューも、少しは景気のいいことを言ってくれるものか。
そう思っていると、かなり抽象的なものとなったりする。
「究極のピッチングとか、完璧なピッチングとか、そういうものはないと思う」
既に今年二度のパーフェクトと、一度のノーヒットノーランを果たし、全試合を完封しているピッチャーの言葉である。
「試合ごとに重要なことは変わっていくし、ただその試合だけを抑えればいいというわけでもないと、ようやく分かってきた」
ついにパーフェクトを狙うことを口にするのかと、記者たちは前のめりになったものだが。
「今は新しく気づいたことを、どうにか考えながら試しているところだ」
実戦で実験である。
「ピッチングは、本当に奥深い」
直史が言うと、本当に説得力があった。
ここまで直史が投げた次の試合は、相手の打線は間違いなく不調になっている。
正確に言うとカンザスシティからの試合であって、それ以前のオークランドは別である。
オークランド戦までは、去年と同じように投げていたという感じだ。
だが樋口が離脱し、打線の援護がさらに望めないと思った時、何かもっとやらなければいけないと思ったのだ。
思ってしまったのだ。
普通は思った程度で、解決する案などは出てこない。
だが直史は過去に、何度も絶望したチームが力を発揮できなくなっている姿を見ている。
アマチュアにしても、高校時代などは割りと、負けると分かっていても全力で対戦するチームが多かったと思う。
しかし大学以降は、戦意喪失するチームを見るようになったのだ。
アマチュアとプロの違いは何か。
給料が発生するかどうか、というのも一つの違いである。
ただそこには境界の曖昧な、社会人野球というノンプロ枠がある。
決定的な違いは、何を目指すかということだ。
アマチュアは勝利を目指し、プロは己の数字の向上を目指す。
プロも勝利を目指していると言うかもしれないが、それは監督の役目である。
そして監督も、目指しているのは優勝であって、目の前の勝利ではない。
選手というのは、己の技術を売るのが仕事である。
そしてその技術による結果が、数字となって出てくる。
もちろん勝利を、優勝を目指すのが悪いわけではない。
むしろ個々の戦力に劣るチームが活躍するのは、全員が優勝を目指して戦う時だ。
核となる選手がいて、ワールドシリーズまで勝ち進む。
最後の最後には、勝ちたいという意識が重要になる。
ただ最初からそれを当てにしていては、首脳陣のやることがなくなる。
直史としても、別にチームとしての勝利や優勝が、自分の目的だと思っているわけではない。
ただ彼は、自分の成績にすら、こだわっているわけではない。
勝ちたいという意識はとてつもなく強い。
だがその目的は、ワールドシリーズに出場することだ。
そしてそこで大介と戦い、勝つのだ。
戦ってくれとは言われたが、その結果がどうなるかまでは言われていない。
だが直史は全力で大介を封じにかかる。
この先もずっと、大介は力衰えるまで、野球を続けるだろう。
そしてずっと実績を残し続け、伝説の存在となる。
いや、もう既になっているのだろうが。
その大介と、互角以上に戦えたピッチャー。
あまり自身の野球の名誉にはこだわらない直史であるが、相手が大介であれば別だ。
大介と対戦することは、とてつもなく大変なことである。
だがそれだけに、やりがいがあることでもあるのだ。
ヒューストンの打線は、間違いなく次の試合も不調であった。
レナードの投げた第二戦、運悪くフォアボールとエラーが重なったところで一点の失点。
しかしスイングのタイミングの狂ったバッターたちは、クリーンヒットが出ずにもどかしい思いをしているようだ。
自分で考えたことながら、やはり効果は大きいな、と感心する直史である。
打線も樋口が戻って、やや確実性が上がってきている。
やはり味方が打ってくれないと、なかなかピッチャーも抑えきれないものである。
逆に言えばだからこそ、選手は己の個人成績にこだわるべきなのだろう。
それぞれの選手が、自分に出来ることを考えて行う。
その力の方向性をまとめ、一つにするのが監督の力だ。
アナハイムはこの二年、直史の加入で一気に強くなった。
樋口とアレクが加わった去年は、シーズン勝利記録を大きく塗り替えた。
それでもワールドシリーズでは、負けてしまったものだが。
ワールドシリーズ、やはり四試合先発というのは無茶があったと思う。
ただ万全の状態であれば、勝てたかというのも微妙だ。
ぎりぎりの状態だからこそ、到達した境地であるとも言える。
もう二度とあんな勝負をしたくはないから、直史はさらにピッチングの精度を上げていく。
そして他のピッチャーがまだしていないこと、または出来ないことをやっていく。
世界でたった一人の超絶技巧にして変則派。
他の誰にも出来ないピッチングで、全てのバッターを打ち取っていく。
とりあえずこの試合は、アナハイムの勝利に終わりそうだ。
レナードは七回まで投げて、わずかに一失点であった。
そしてアナハイムは、樋口が打点製造機となっている。
長打であれ単打であれ、ケースバッティングで取れる得点は確実に取っていく。
本日のMVPと言ってもいいのではないだろうか。
6-1からリリーフに継投。
五点の差は今日のヒューストンにとって、大きな壁である。あるいは断崖絶壁か。
ピッチャーが代わったことによって、さらにヒューストンのバッティングは乱れていく。
「なんてひどいスイングだ……」
ヒューストンはFMとバッティングコーチが、頭を抱えていた。
直史が今年でいなくなると聞けば、ほっと胸をなでおろす人間は、選手のみならず、かなり多いであろう。
ただそれを知らなければ、特にア・リーグ西地区の選手は、自分の運の悪さを嘆いているだろう。
ヒューストンとしても、直史が今季、アナハイムとの契約が切れるのは知っている。
ただ直史は案外、保守的な人間だということも漏れ聞いているのだ。
アナハイムを彼は、それなりに気に入っている。
大型契約を約束出来れば、おそらく来年以降も残ると思えるのが自然だ。
直史のピッチングスタイルは、おそらく40歳を過ぎても通用するようなタイプだ。
最も彼に近いスタイルのピッチャー、グレッグ・マダックスは41歳のシーズンも二桁勝利をしていた。
ピッチャーの選手寿命が、超一流の範囲内なら、かなり伸びている現在。
パワーピッチャーではない直史がどこまで通用するか、想像するのは難しい。
ただ高年齢ピッチャーの記録というなら、日本にも巨大な記録がある。
50歳まで現役を続けたというピッチャーはいるのだ。
結局、この試合は8-1で決着した。
樋口は三安打で三打点と、素晴らしい活躍を果たした。
復帰してすぐなのに、そのバッティングにずれたところなどはない。
キャッチャーを全力でやるのと、バッターを全力でやるのを、両立しているように見える。
実際のところはまだ、キャッチャー寄りに活動しているのだが。
ヒューストン相手に二連勝。
これだけは確実な事実だ。
そして第三戦、アナハイムは先発が、リッチモンドの試合が始まる。
今年まだ勝ち星のないリッチモンド。
果たして直史の呪いが、どれだけ残っているものか。
樋口としては興味深い一戦になる。
ヒューストンのバッターたちを、最も近くで見ていたのは、樋口である。
直史のピッチングがなぜ彼らを狂わせたのか、理屈としては説明がつく。
バッティングの基本は、タイミングである。
投げられる球が全部タイミングを狂わせてくれば、スイングの基本が壊れてしまってもおかしくはない。
同じカーブであっても、リリースポイントを変えたり、スピードを変えたりする。
それだけでタイミングは合わないのだ。
チェンジアップが有効なのは、タイミングを崩すからだ。
崩されてもパワーだけで持っていくというバッターはいるが、素直に空振りをしていった方がいい。
そして今の直史のピッチングが、何よりもタイミングを狂わせる理由は、ストレートにある。
打てるはずのストレートが打てないことにより、バッターはスイングに自信を失う。
そしてタイミングの取り方自体を忘れてしまうのだ。
MLBのみならず、プロの選手であれば、修正力がずば抜けている。
だがそれを上回るぐらい、直史のコンビネーションの幅が広いのだ。
それに対応しようとして、ヒューストンの打線は網の広さを大きくしたが、むしろそれで特定のボールを、強く打てなくなっている。
リッチモンドのボールに対しても、まだそんなスイングをしていた。
初回からアナハイムは、まず一点を先制した。
そしてリッチモンドは、初回を無失点に抑えた。
キャッチャーボックスから樋口は、ヒューストンのバッティングのスイングを見る。
己を信じられなくなった、スランプ時のバッターのスイングをしている。
主に緩急で、ヒューストンの打線はくるくると回っている。
そして鋭く打とうとしたら、バットのヘッドが加速しない。
内野の間を抜けたり、ポテンヒットはあったりする。
だが完全に全てが、打ちそこないの打球と言っていい。
リッチモンドの目からすると、ヒューストンのバッターは突然、野球が下手糞になったようにしか見えない。
昨日のレナードの投げた試合と、ほとんど同じような感じである。
樋口がボール球を要求すると、それを無理にスイングしてくる。
そして当たっても、ボールは内野ゴロに終わる。
完全にバッティングが壊れている。
凄いことをしているのだ、とはもちろん分かる。
だがリッチモンドは恐怖と、それに哀れみさえ感じていた。
直史は別に、ここまでする必要はなかったのだ。
アナハイムの打線に穴が出来なければ、ここまで過激なことはしなかっただろう。
バッターのこれまでの研鑽を、打ち砕くというピッチング。
ボストンもカンザスシティも、得点力は落ちている。
少なくとも対戦チームまで変わっても、その呪いは有効であるということだ。
そしてリッチモンドとしては、樋口のリードでヒューストンを、少ない球数で抑えている。
打線のほうはある程度の追加点があるが、完全に一方的な展開にはならない。
七回を終わっても、まだ無失点。
そしてまだまだ投げられる球数になっている。
この日、リッチモンドはメジャー初完投を経験した。
そしてそれは、初完封ともなったのであった。
リッチモンドはアナハイムの先発ローテの中では、それほど強力なピッチャーではない。
だがそういうピッチャーであっても、何かのきっかけで一気に覚醒を果たすことはある。
もちろんこの試合だけで、そうだと断言することは出来ない。
だが少なくとも今季、直史以外では初めて、アナハイムの完封勝利投手の出現である。
そもそも今のMLBでは、トップクラスの先発であっても、シーズンに一度か二度も完投すれば、立派なことなのだ。
まして完封となると、少なくとも注目は高まる。
樋口が自分の中で、キャッチャーとバッターの割合を、ようやく上手く両立させるようになった。
ただ直史の目的を知る樋口としては、前日の試合でメトロズが、武史の先発にもかかわらず敗北していることに注目していたりする。
アナハイムだけが勝ってもいけないのだ。
アナハイムとメトロズの両方が勝ってようやく、直史と大介の対決は実現する。
MLBという戦力が均衡しているはずのリーグで、二年連続でワールドシリーズのカードが同じであった。
それだけでもう充分に、運命的と言うか奇跡である。
二人の対決のためだけに、世界の確率がそこまで歪むのか、という気にはなる。
しかしアナハイムもメトロズも、現在のところはかなり怪しい。
ちゃんとワールドシリーズに勝ち進めるのだろうか。
どちらのチームも、地区優勝からディビジョンシリーズにあっさりと進むのは難しい。
そしてリーグチャンピオンになって、ワールドシリーズを勝ち進めるものだろうか。
逆に考えてみる。
むしろこの2チームは、ポストシーズンの方が強くなると。
エースの力がより重要になるポストシーズン。
直史と武史が、無理をすれば勝ててしまう。
ただ去年はそれで、アナハイムがぎりぎりで負けたのだ。
今年はターナーの復帰次第では、どうなるかが分からない。
アナハイムに戻る飛行機の中で、樋口は直史と会話する。
この先にチームがどうなっていくかを。
日本語が分かるのは、他にはアレクと通訳ぐらい。
ただ聞かれたとしても、別に問題にはならないと思う。
「ポストシーズン、出られると思うか?」
「分からん」
直史はそう言うしかないし、事実そう思っている。
自分一人がいくら投げて、相手の打線を封じたとしても、それは完璧ではないのだ。
今は上手く、あいての打線全体を崩すことが出来ている。
ただそれもいずれはアジャストしてくるかもしれないし、もっと過激な手段も取れる。
それは直史と対戦する試合には、主力となるバッターを出さなければいいのだ。
対決して初めて、直史の呪いは相手に通用する。
つまり直史の投げる試合を捨てて、他の試合に賭ければいい。
そもそもMLBではスタメンの選手であっても、ある程度は休むために数試合はDHに入ったり、試合に出なかったりもする。
MLBが真に効率と合理を求めるのであれば、その作戦で勝てるだろう。
だが実際のところMLBという舞台は、非合理的で理不尽である。
人間のやっていることに、確実なことなどそうそうはない。
完璧とか完全とか、そういった言葉を直史は使わない。
散文的な人間であるだけに、究極とかそういう形而上の言葉もあまり必要としない。
ピッチングというのは常に、ベターを追い続けるものなのだ。
ヒューストンから戻ってきたその日は、休養日でオフであった。
四月に残っているカードはあと一つ、ラッキーズとの三連戦だけである。
フランチャイズに帰還した日は、直史はゆっくりと体を休めた。
やはり新しいピッチングスタイルは、体への負荷が大きい。
そしてそんな状態で、今年は去年よりも、ずっと多くの試合に先発するつもりなのだ。
家族四人で食卓を囲むと、幸福を感じる。
テレビをやっていると、今年もやはり、大介のバッティングがニュースとなっている。
まだ四月であり、さらに試合は残っているのに、既に18号ホームラン。
毎試合出場できる野手というのは、それだけ注目が続いていく。
もっとも直史の場合、中四日で投げているので、同じように注目はされているのだが。
ここまでの成績は六先発で六勝無敗。
全て完投完封で、球数が100球を超えた試合がない。
去年よりも奪三振率が上がっていて、そして多くの試合に出ている。
このままの登板間隔ならば、あるいは武史よりも多くの三振を記録するのではないか。
もしそうなると武史に残されるのは、球速だけである。
直史が投げるラッキーズとの三連戦は、二戦目の登板となる。
ボストンにショックを与えたからには、ラッキーズにもショックを与えておきたい。
ミネソタは地区のみならず、ア・リーグ全体で首位を走っている。
優れた得点力で、ピッチャーもしっかりと補強した。
常識的に考えれば、今のメトロズよりも、総合力は上だ。
アナハイムはだから、西地区で優勝し、ア・リーグ全体で二位の勝率になればいい。
そうすればほどよく休んで、少ない試合数でポストシーズンを戦うことが出来る。
もっともまだ四月も終わってはおらず、ターナーの回復についても知らされていない。
あるいはセイバーに聞けば、そのあたりのことも分かるのだろうが。
瑞希の目から見て、直史は焦ってはいない。
普段と変わらないように見えるが、それでも触れ合えば、どこか違うことは分かってくる。
そしてずっと直史を見ていた瑞希は、なんとなく感じるのだ。
今年の直史には、大介との対決は回ってこないのではないかと。
論理的な彼女にとっては、珍しくも女の勘というやつであった。
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